8月の岡山帰省で一番残念だったこと。
それは大豆のさやが全部黒くなってしまい収穫を断念したことだった。

7月初め、雑草に覆われた畑の中でもエダマメがすくすくと育っていた。
案外簡単なものだと感じたものだ。

たわわに実ったエダマメのさやは、この時点ではまだきれいな緑色をしていて、妻も「上出来、上出来」と喜んでくれた。
この段階で数株収穫し、残りは7月半ばに遊びにくる三男夫婦のために残しておいたのだが・・・

7月半ばに三男夫婦と再びエダマメの収穫に行くと、畑の様子が明らかに変わっていた。
立ち枯れて、さやが茶色になった株が目立ち始めたのだ。
エダマメはそのまま秋まで置いておくと大豆になる。
だからそのための変化かとも思ったが、まださやが緑のままの株もある。

これは病気なのか、それとも害虫による被害なのか、私には判断できなかった。
美味しい自家製のエダマメを三男たちに食べさせて自慢しようという高揚感はすっかり打ち砕かれ、辛うじてまだ食べられそうな豆だけを選んで摘み取った。
もうエダマメとしての賞味期限は終わり、残りの株はそのまま畑に放置して大豆になるのを待とうとこの時には考えていたのだ。

ところが、それから半月、8月に再び大豆の様子を見に行くと、事態はさらに悪化していた。
さやのほぼ全てが茶色く変色していたのだ。
葉はまだ緑を保っていたが、つる草が絡みついて弱々しい姿になっている。

黒ずんださやには大きな穴が開いたものもある。
やっぱり害虫に食い荒らされたのだろうか?
穴が開いていないさやを開いてみると、中の豆はエダマメの頃より縮んでいて、おまけにカビのようなものが生えているではないか。
これはやっぱり病気だろうか?

このまま畑に残しておいても大豆の収穫は見込めないだろう。
そう判断し全部の株を引っこ抜いた。
こんなことになるのなら、7月初めの段階ですべて収穫して、食べてしまえばよかった。
冷凍保存しておけば、8月にもまだ食べられたかもしれない。

しかし厄介なのは、この失敗の原因がよくわからないことだった。
ネットで大豆の病害虫について調べてみると、実にたくさんの病気や害虫が出てくる。
可能性がありそうなものだけあげても、病気でいえば「立枯病」「黒根腐病」「茎疫病」「ダイズ黒とう病」「斑点病」、害虫でいえば「ハスモンヨトウ」「シロイチモジマダラメイガ」「ダイズサヤムシガ」「ダイズサヤタマバエ」などなど。
しかし、「これだ!」と断定できるようなピッタリの症状が見当たらない。

容疑者が多すぎて犯人を特定することは素人には無理である。
原因が特定できないと来年以降の教訓は得られない。
誰か詳しい人にこの写真を見せたら、診断してもらえるだろうか?

大豆は残念な結果となってしまったが、抜き取った畑を再び耕す。
気を取り直して秋野菜の準備だ。
9月にはいろいろな野菜を植え付ける適期となる。
自然相手の農業はやはり思い通りにはならない。
ましてやずっと面倒を見るのではなく、東京から通って育てるのだ。
そう簡単にうまくいくはずはないだろう。

9月になればいよいよブドウの収穫時期になる。
伯母が長年守り続け、伯母の生活を支えてきたブドウ畑だ。

袋の中を覗くと、ピオーネが紫色に色づき始めていた。
誰かが畑に入ってブドウを取っていくのを見たと隣のおばさんが教えてくれた。
今流行りのブドウ泥棒が我が家のブドウも狙っているのか?
害虫に狙われ、イノシシや鳥にも狙われ、そして人間にも。
作物を無事に収穫するというのはやはり並大抵のことではない。
もしも美味しいブドウが収穫できれば、自分で自分を褒めてあげたい、そんな気分である。