全国的に大気の状態が不安定で、各地で大雨が降ったようだが、どういうわけか岡山には雨が降らない。
今日は日中まとまった雨が降る予報だったにもかかわらず、私の家のあたりには一滴の雨も降らなかった。
もう畑はカチカチで、これではジャガイモを植え付ける準備がなかなか進まない。

それでも夏の間に背丈を超えた雑草をまず刈らねばならない。
この草、あまり馴染みがない奴だが、何という名前なんだろう。
明らかに雑草の王者セイタカアワダチソウではない。
背は高いのだが、先端はヒョロヒョロしてもうすぐ小さな花が咲きそうだ。

もうこうした雑草にも驚かなくなった。
とりあえず愛用の電動草刈機で必要な部分だけざっと草を刈っていく。
草刈りは朝起きて涼しいうちに、もしくは日没前後の夕方になってから。
まあ焦っても仕方がない。
大昔の人たちが雨を待ってタネを蒔いたように、私も雨が降るのを待ってジャガイモとニンニクの植え付けを行おう。

さてそのジャガイモの話である。
朝、草刈りを終えて一休みしていると、妻に起こされた。
「納屋にあるジャガイモ芽が出始めているんだけれど、まだ大量にあって食べきれないからコミュニティーフリッジに持っていこう」
このジャガイモは6月に収穫したもので、段ボール箱に入れたまま納屋の中で保管していた。
だから、まだ食べられる状態なのだが、一部確かに芽が出始めている奴がある。
このまま放置していると、どんどん芽が出て飲食に適さなくなることが予想された。

私はもう少しゴロゴロしていたかったけれど、働き者の妻にお尻を叩かれて渋々納屋に向かう。
確かにとても2人で食べ切れる量ではない。
妻が言う通り、これは寄付した方が良いと判断した。
ジャガイモ10個ほどを小さなビニール袋に小分けにしていく。
全部でこんな袋が50袋以上できただろうか。

このジャガイモを車に積み込んで向かったのは去年ブドウや柿を寄付した公共冷蔵庫「北長瀬コミュニティフリッジ」である。
「コミュニティフリッジ」とは、ドイツで生まれた共助の形で、余った食糧などを持つ人がこの「冷蔵庫」に食品を寄付し、生活に困窮する登録者がこの「冷蔵庫」から必要なものを持ち替えるという仕組みだ。
もちろん私は1円も受け取らないし、ポイントなどをもらえるわけではない。
でも、いつでも受け取ってもらえるから、捨てるよりはもったいなくない気持ちになれる、それだけのことである。

ジャガイモが詰まった段ボール箱を3つ、妻と手分けして窓口に持ち込んだ。
私の登録カードを提示し、ジャガイモの箱を渡す、ただそれだけ。
実に簡単で、ちょっといい気分になる。
今や農作業を始めた私にとって、この場所は必要不可欠な施設となった。
一体どんな人がこのジャガイモを受け取ってくれるのだろう?
今、ジャガイモの値段が高いのか安いのかさえも知らないが、どうせなら値段が高い時に寄付してあげたいと思った。

夕方、再び畑に行って、耕す予定の場所を少し念入りに草刈りをする。
スコップで少し土の硬さを確かめたが、我が家の小さな耕耘機ではちょっと歯がたちそうもない。
雨が降ってほしい。
先週見た週間予報では今週はずっと雨続きのはずだったのに、どうして岡山はこんなに雨が降らないんだろう。
「晴れの国」だから?
まあ、いい。
昔なら9月に入れば少し涼しくなっただろうけど、今年はまだまだ暑い。
植え付けが多少遅くなっても、きっとジャガイモは育つだろう。
そうだ、今回は種芋を買わず、芽が出た自分のジャガイモを植えてみよう。
結果的に失敗するかもしれないけど、何事も試行錯誤するのが面白いのである。
雨よ降れ!
私は雨を待ってジャガイモを植えるのだ!