全国的にコロナの感染が下火になったのを受け、昨日からかつての「GO TO トラベル」に代わる新たな旅行支援策「全国旅行支援」がスタートした。
「GO TO」と比べると予算規模も小さく都道府県が事業主体となるなど、使い勝手は悪くなっているが、それでも初日から大変な反響で、旅行予約サイトにアクセスできない状況が続き、あっという間に予算を使い切ってしまった自治体も現れた。
私もこの支援策を利用して11月に岩手の被災地にでも行ってみたいと考えていたが、岩手県はすでに予算額に達して受付終了となったらしい。

外国人の入国制限も撤廃され、一気に活気づいた羽田空港に今朝私もいた。
今日から1週間ほどの予定で岡山への帰省を決めていたからだ。
いつものラウンジに入ると、座る席を探さなければならないほど満席に近い繁盛ぶりだった。
私はどうなるかわからない「全国旅行支援」をあてにせず岡山への往復を予約した。
飛行機と1泊のホテルをセットにしたツアーの形で申し込んでいたのだが、昨日楽天トラベルから連絡が入り、「全国旅行支援」の対象となるので支援を受けるためには自ら申請する必要があるとのメールをいただいた。
申請と言っても、サイト上に用意されたボタンを押すだけ、1泊につき最大8000円が払い戻されるという。
今回のツアーは往復航空券の値段よりも安い2万円ほどだったので、もし8000円が払い戻されればなんと片道料金よりも安い1万2000円で岡山との往復ができたことになる。

飛行機も混雑していた。
3人がけの真ん中の席まで客で埋まっている光景を見たのは久しぶりだ。

岡山空港で車をピックアップして伯母の古民家を目指す。
途中、黄金色に染まった田んぼが広がり、すでに稲刈りを始めている人もいた。
いよいよ実りの秋である。

3週間ぶりに訪れた古民家は、夏までとは違い、雑草が繁茂してはいなかった。
秋になるとさすがの雑草も勢いを失うのだろう。

玄関を開けようとすると、玄関前に1匹の蜘蛛が死んでいるのを見つけた。
玄関を入ったところにある土間でも1匹蜘蛛が死んでいる。
台所でも1匹、そしてトイレの前にも1匹、干からびた蜘蛛の死骸が転がっていた。
1年周期で命を刻む昆虫たちにとって、秋は死の季節でもあるのだ。

庭に咲いていたさるすべりの花は散り、枝先には小さな実のようなものがたくさんできていた。
隣の家ではすでに庭木を短く剪定している。
もうそろそろ伸びた枝を切り詰めてやる時期なのだろうか?

裏庭に行くと、先月蒔いたラディッシュのタネが発芽し大きく育っている。
もうそろそろ収穫しても良さそうだ。
一方、ルッコラなど他のタネはどうもうまく発芽しなかったようだ。

黒マルチの外側に、妻が無造作にタネを蒔いたパクチーは雑草にも負けず芽吹いていた。
あの強烈な匂いは他の雑草をも寄せ付けない強さを持っているのだ。

裏庭の柿の実が赤や黄色に色づいていた。
背が高くなりすぎて実を取るのが困難になり、妻からは「上の方をバッサリと切って」と命じられている渋柿の「西条柿」も、そろそろ実を収穫しなければならない頃なのだろう。

一方で、義母の大好物であるいちじくは、今年はどうも出来が悪い。
実が小さい上にまだほとんど赤くなっていないのだ。
施設に入所している義母からのリクエストで、いちじくが熟したら差し入れしてあげるつもりだったが、この調子では今月は無理そうである。

家のまわりをチェックした後、畑の草刈りに出かけた。
こちらも先月までとは違って、雑草の伸び方が小さくなっている。

先月、苗を植えたばかりのキャベツや白菜が予想以上に大きくなっていた。
防虫ネットのおかげで、ある程度虫の侵入は防いでくれたようだ。

キャベツと間違って買ってしまったブロッコリーの苗は、驚くほど背が高くなって、すでに防虫ネットの天井に頭がつっかえている。
そろそろ防虫ネットを外してやった方がいいのだろうが、まだ周囲には多くの虫たちが蠢いている。
果たしてネットを外すべきか、もうしばらくこのままにしておくべきか、悩みどころだ。

お隣では、やはり先月植えたニンニクが発芽していた。
ただ、大きく伸びているものもあれば、まったく発芽していないものもあり、成長スピードがバラバラなのが気になる。
植えたニンニクのかけらの大きさで、育ち方が違ってくるのだろうか?

最も残念だったのは、大根とニンジン。
先月タネを蒔いてからだいぶ時間が経ったにもかかわらず、まったく発芽していない。
何が悪かったんだろう?
水やりができなかったのが原因だろうか?
今月再度タネを蒔き、岡山にいる間毎日水やりをやろうかななどと考える。

そうして作物の生育状況を一通り見て回った後、畑とお墓周辺の草刈りに移る。
その時に、見つけてしまった。
この憎っくき姿。
去年雑草の片付けをする際に散々苦しめられた針のようなタネを持つひっつき虫の「コセンダングサ」。

11月になると葉も落ちて、針のようなタネだけが残り、知らぬ間にズボンにくっついてちくちく肌を刺す最悪の雑草だ。
ところが10月にはまだ黄色いかわいい花をつけていて、小さいうちはまさかこれがあの憎らしい「コセンダングサ」に成長するとはおよそ想像できない可憐な姿であった。
この小さな黄色い花に騙されてそのまま放置してしまうと、来月には棘のついたタネを持つ凶暴な姿に変身してしまうのだ。
タネができる前に刈り取ってしまわねば厄介なことになる。

そんなことを考えている間にも、あの忌々しい棘がズボンに刺さっているではないか。
よく見ると、お墓の周囲は「コセンダングサ」の黄色い花で覆い尽くされている。
今年はこまめに雑草を刈っていたため、秋に成長する「コセンダングサ」にとっては厄介なライバルがいなくて勢力を拡大しやすい環境になったのかもしれない。

草刈りを終え、いつものように畑の雑草を数本摘んで、玄関先の花瓶にさした。
柿の実を添えて、秋を演出する。
私が初めて本格的に農作業に取り組んだ2022年。
うまくいったもの、思い通りにいかなかったもの、いろんな経験ができた。
そんな中で定着した新たな習慣は、季節ごとに変わる雑草を摘み家に飾ることである。
お花屋さんで売られる立派な花よりも私の心にフィットするささやかな趣味となった。