<吉祥寺残日録>岡山二拠点生活🍇 大根とニンジンの種を蒔き、白菜とキャベツの苗を植える #220907

朝、寒さで目が覚めた。

妻も寒くて起きてしまったらしく、外が明るくなるとすぐに畑に向かう。

今日は朝からまる一日、農作業の予定である。

9月に入り、オレンジ色のかわいい花を咲かせる「オシロイバナ」がやけに目につくようになった。

人の手が入らない耕作放棄地などはこの植物に覆い尽くされ、それはそれで美しい風景と言えなくもない。

でも草刈りをする立場から見ると、この小さな可憐な花からは想像もできないほど厄介な存在なのだ。

伯母の古民家から一番離れた山裾の畑。

この畑はいつもジメジメしていて作物が育たないので、切った枝や刈り取った雑草を捨てるゴミ捨て場として利用している。

今日も病気にかかったために切り倒した庭木を捨てるためにこの畑を利用するつもりだった。

しかし、先月草刈りをしたばかりなのに畑は一面の雑草畑。

まずは草刈りをしなければゴミも捨てられない。

それでも今年は春から毎月草を刈っているので、先月までは短時間で必要な箇所の草刈りを終えることができたのだが、今月はこの「オシロイバナ」をはじめとするつる植物のせいでなかなか前に進めない。

セイタカアワダチソウなど太い茎の植物につる植物が絡みつくと、単体でいるよりもずっと手強くなり、草刈機をそれなりの力を入れて振らなければならないのだ。

それでも30分ほど格闘してなんとか畑の奥まで辿り着いた。

この畑の一番奥に、栗の木が1本だけ植えられていて、今月そろそろ収穫時期を迎えるはずなのだ。

しかし栗の木は無惨にもつる植物にすっぽりと覆い隠されていた。

このつる植物の正体は「クズ」、あの葛湯や葛餅、葛根湯の材料となるクズである。

ちょうど今、クズの花が咲いていた。

いかにも強そうな花である。

栗はどうなっただろうと思って目を凝らすと、クズの陰に隠れるように、いくつか申し訳程度にイガイガの実が見つかった。

こんなに太陽を奪われても、栗もしぶとく生きているんだ。

でもまだ実は緑色。

茶色くなって自然に落ちた頃が収穫時期らしい。

この調子では、今月の滞在中には栗の収穫は難しいかもしれない。

墓のまわりの畑では先月ミモザの挿木に失敗した畝を使って、大根とニンジンの種を蒔くことにした。

枯れてしまった挿木を引き抜く。

根は全く生えておらず、これではミモザが育つはずがない。

ミモザを抜いた後に蒔くのは、「総太り大根」と「黒田五寸人参」。

私が初めて小さな畑に挑戦した時に蒔いたものの残りだ。

あの時は、周囲の雑草に飲み込まれて大きく育てることはできなかった。

これが大根の種。

黒マルチに開けた穴に、大根の種を5つずつ蒔いて土をかける。

ニンジンの種はもっとずっと小さく、深いと発芽しないという厄介者だ。

とにかく適当に蒔いて水をかけて、これでおしまい。

あとは虫除けのために防虫シートをかぶせて発芽を待つだけだ。

午後にホームセンターに買い物に行ったついでに苗のコーナーを覗くと、白菜やキャベツの苗がずらりと並んでいた。

ちょうど今頃が購入した苗の植えどきで、帰省前からこの秋はこうした葉物野菜にも挑戦してみようと考えていたところだった。

いろいろな種類がある中で、3種類の白菜と2種類のキャベツを1つずつ育ててみることにする。

夕方、涼しくなるのを待って畑に行き、白菜とキャベツの苗をあらかじめ用意してあった畝に植えていく。

白菜もキャベツもかなり大きくなるので、40センチほど間隔を取り植え穴を開けていく。

まずは白菜、早どり品種の「味王」(217円)を植える。

値段は少し高めだが、年内に収穫できるスピードが特徴らしい。

2つ目の白菜はその名もズバリ「白菜の王様」(129円)。

肉質が柔らかく、耐病性が抜群と書いてある。

そして白菜の3つ目は「如月(きさらぎ)」(129円)。

その名の通り一番寒い2月ごろに収穫する品種らしい。

その違いはよくわからないが、収穫時期が違うのは食べる方としてはありがたい。

一方のキャベツ、「極甘キャベツ サトウくん」(118円)という苗を買ってみた。

農家のおすすめ品種だそうで、やはりネーミングは重要である。

そして最後に、「中生キャベツ」(58円)と書かれた棚から選んだ苗を植える。

ところが植える時になって、苗が入れられていたポットに「茎ブロッコリー」と書いてあることに気づいた。

「えっ? これってキャベツじゃなくてブロッコリーなの?」

キャベツの苗もブロッコリーの苗も初めてみるので判断ができない。

でももしブロッコリーだったとしても妻の好物なのでその時は妻は食べるだろう。

ちなみに私はブロッコリーが大嫌いだ。

こうして5つの苗を植え終わったらたっぷりと水をかけ、同じく防虫シートを被せて作業終了である。

苗を買ってきて植えるだけ。

実に簡単だが、この雑草だらけの畑で多くの虫たちに囲まれて葉物野菜が育てられるのか、これはまさにチャレンジである。

ちょうど西の空に夕日が沈もうとしていた。

昼間の暑さは相変わらずだが、朝夕はかなり凌ぎやすくなった。

去年の11月、タマネギから本格的な農作業に挑戦してそろそろ1年が経つ。

少しずつ畑仕事にも慣れてきたが、その分作業が雑になっているのも感じる。

大根とニンジン、白菜とキャベツ。

こんなんで果たして育ってくれるのだろうか?

楽しみでもあるが、またもや自然の力に負けて屈辱を味わう悪い予感がする。

<月一農業>2019年12月/放っておいても大根は育っていた