中央アジア旅行の疲れも少し癒えたところで、今日岡山にやってきた。
9月のミッションはブドウの収穫と秋野菜の種まき、植え付けだ。

今朝の東京は雨だった。
吉祥寺から羽田に向かうバスは、ルート上で2件の事故があったということで下道を迂回して通常の1.5倍ほど時間がかかった。
なんとなく数日前から運気が下がってきる気がする。
そんな嫌な予感がして少し早めに家を出たので、フライトの時間にはまだ余裕があった。
でも、岡山空港に降り立つと嘘のように晴れていて、相変わらずの暑さだった。

古民家に着くと、鶏小屋に絡まった夕顔が枯れ始めていた。
結局、白い大きな花が咲く季節はほとんど岡山にはいなかったということだ。
庭の芝生は伸びていたものの、全体的にはそれほどの惨状ではない。
東京と岡山の二拠点生活にも一定のリズムが生まれてきた感じがする。

裏庭に回ってみると、案の定、草がボウボウでとてもキッチンガーデンと呼べる状態ではなかった。

キュウリはやっぱり枯れていた。
8月の段階でもう瀕死の状態だったので、これは想定の範囲内だ。
ナスも同じく。
水が大好きな野菜は放置栽培には向かないらしい。

トマトは、熟しすぎて腐ってしまった実がぶら下がっている。
ただ虫や動物に食い荒らされた形跡はなく、単に収穫時期を逸してダメにしてしまったにすぎない。
やはり夏の放置栽培にはトマトが向いているようだ。

一番元気がよかったのはシシトウ。
すでに赤く変色してしまっている奴もあるが、それはそれで食えることを8月に実証済みである。
元気がなかったピーマンもしぶとく生き残り、いくつかの実をつけていた。

草むらの中で生き残った野菜だけを収穫する。
3週間、一切水やりをしなくても、このくらいの野菜は採れる。
これはこの夏の研究成果と言っていい。
早速妻が調理をして、今日の食卓にのぼった。

さて、今月のメインイベント、ブドウの方はどうか?
長ズボンと長靴に履き替えて、恐る恐る草が伸び放題になっているブドウ畑に足を踏み入れた。

ブドウの袋はパンパンに膨らんでいる。
それなりに立派に成長してくれたということだろう。
ただ、ブドウの葉はかなり傷んで茶色く変色している。
今年のブドウ、果たしてうまくできているだろうか?

袋の下から覗き込むと、黒ブドウの「ピオーネ」はもうすっかり色づいていた。
よしよし、これならもう試し採りしてもいいだろう。

ピオーネを4房、ついでに緑のマスカット・オブ・アレキサンドリアも。
袋を破ると、まずまずのブドウができていた。
これが今年の初収穫である。
やったあ!

味見をすることもなく、黒と緑のブドウを1房ずつ持って、マンションで一人暮らしをしている母の家に持っていく。
プロの農家にはとても敵わないが、ブドウ作りも2年目、このくらいの手抜きでもブドウ本来の生命力によってちゃんと実を収穫できることがわかった。

母のマンションから戻り、夕方、ブドウ畑の草を刈る。
相変わらず低い棚に閉口しながら、通路部分だけをざっと刈っていく。
結局、今年は一度も除草剤を使わなかった。
それでもブドウはそれなりに育ってくれた。
害虫の被害は今年もあまりなさそうである。

冷蔵庫で冷やしたブドウを夕食後のデザートに食べる。
甘い。
今年は雨がほとんど降らず、ずっと猛暑日が続いたのでどうなることかと思ったが、この暑さがとても甘いブドウを育てたようだ。
私が草刈りをしていると近所の師匠が畑を覗き、「いい色がきてる」と言って褒めてくれた。
ピオーネはもうなるべく早く収穫した方がいいともアドバイスをしてくれたので、今月半ばまでの滞在中にブドウの半数以上は収穫し家族などに送ろうと思っている。
これまでの苦労が無駄にならず、ひとまずホッとした一日であった。