自分でブドウの世話を始めて2年目。
今年もなんとか収穫の時を迎えることができた。

観測史上一番暑い夏、岡山ではほとんど雨らしい雨も降らず、ブドウ畑がどんなことになっているかと心配したが、ブドウは元気に成熟していた。
下草はしっかり伸び放題。
長く伸びたツルが草に絡んでジャングルのようになっていても、袋の中ではスーパーの店頭で見かけるような「ピオーネ」の黒い房ができている。
むしろ9月上旬だというのに、もう傷み始めている房も目について、これはさっさと収穫して知り合いに送らなければと、ここ数日毎朝ブドウの収穫と発送が日課となってしまった。

一輪車を畑に持ち込み、摘み取ったブドウを農業用コンテナに入れて納屋に運び込む。
袋を破り、中の状態をチェック。
傷んだ粒は取り除き、専用のビニール袋に詰め、クッション剤を巻いて、農協で買い求めたブドウ専用の2キロ箱に収めていく。

黒いピオーネは見た目もなかなか良く、甘味も十分のっている。
これなら人様に差し上げても問題ないだろう。
一方、緑の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は、味はとても美味しいのだが、粒と枝の継ぎ目のところが黒く変色していて、贈答用としては見た目が良くない。
房の中に蜘蛛の巣が張っていたり、白い粉のようなものが付着していたり、食べる前段階としてちょっと気持ち悪いと感じられるかもしれない。

そこで、送るのはピオーネだけにして、マスカットが好きな家族にだけ少しだけ緑のブドウも入れることにする。
ブドウの箱はまだ伯母が残したものがあったが、蓋がなくなったので農協に買いに行った。
こうしてせっせと箱詰めをして近くのコンビニで家族や友人にブドウを送っていたのだが、コンビニの窓口を長時間占拠するのがどうも他の人に迷惑をかけているようで心苦しく感じた。

そこで昨日、ヤマト運輸の営業所を調べて最寄りの店までブドウを持って行ってみた。
すると住民票のない住所でも「クロネコメンバーズ」の登録が可能で、カードにチャージして支払うと宅急便の送料が1割引になることを知った。
コンビニに比べれば多少遠いものの、こうして直接営業所に持ち込めばコンビニで感じた心苦しさを味わわなくて済むので気が楽だ。

そして予め送り先の住所録をパソコンで作っておけば、スマホ1つで簡単に送り状を作成することもできる。
これは便利で、送るたびにいちいち相手先の住所や電話番号を調べる手間が省けるのがいい。
妻は依然として手書きの方が慣れていていいというのだが、そうして新しくて便利なツールを避けていてはどんどん脳が退化していくのではないかと心配だ。

こうして3日間、朝起きると妻とブドウを発送する作業をし、まだ送っていないのはこの夏に引っ越してタイミングが合わなかった友人1人だけとなった。
今月末には大学時代の友人たちがブドウ狩りに来ることになっているが、その頃にはもうブドウはボロボロになっているだろうから、その友人たちにも旬なブドウを送って味わってもらうことにした。
とはいえ、去年同様、ブドウ畑には行く宛のないブドウたちがまだたくさんぶら下がっている。
人様に送るにはふさわしくない出来のブドウたちは自家用として我が家の冷蔵庫を占拠している。
明日の朝、すでに収穫適期を迎えているブドウを全て収穫して、「コミュニティフリッジ」に持っていくつもりだ。
ブドウが腐ってしまう前に、1人でも多くの人に食べてもらいたい。
私のブドウが誰かを幸せな気持ちにすることができれば、そんな気持ちを込めて私は今年もブドウを寄付することにしている。