<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌾七十二候「水始涸(みずはじめてかる)」に気持ちの良い水辺を歩く #211003

緊急事態宣言が解除されると同時に訪れた快晴の週末。

今日は昨日より少し気温が下がり、秋らしい最高の天気に恵まれた。

トイレの歳時記カレンダーを見ると、今日から秋分の末候「水始涸(みずはじめてかる)」だと書いてある。

カレンダーでは「天地の水気が涸れ始める頃」とその意味が書かれていたが、果たしてどういう意味だろうと疑問を抱いてネットで調べてみると、どうやら「稲刈りに備えて田んぼの水を抜く頃」という意味があるらしい。

これならよくわかるし、農家にとって重要な歳時記に違いない。

天高く馬肥ゆる秋。

まさに、真っ青な天はどこまでも高い。

Tシャツと短パンで散歩すると、暑くも寒くもなく、一年で最も気持ちの良い日と言ってもいいかもしれない。

今日は、七十二候にひっかけて、井の頭公園の水辺をひとまわりすることにした。

台風がもたらした大量の雨が弁天池に流れ込む。

それを眺めながら、池の水がすごくきれいになっているのに気づく。

弁天橋を渡ると、池の底がはっきりと見えるではないか。

夏の間に繁茂した水草が池の水を浄化してくれたことは間違いない。

10年ほど前までは生活用水によって濁り、死んでいた井の頭池がボランティアたちの努力によって確実に再生している。

きれいになった水面を無数のトンボが飛び交う。

トンボは小さくて、スピードも速いのでカメラに収めることは難しい。

飛んでいるところは捉えることができないので、葉っぱの上に止まった糸トンボを撮影した。

名前は定かではないが、「アオモンイトトンボ」という名前のトンボではないかと思う。

こちらは夏によく見かける「ハグロトンボ」。

6〜7月に羽化した後、しばらくは林の中など暗い場所で過ごし、成熟すると再び水辺に戻ってきて産卵するそうだ。

ちょっとピンボケだが、赤トンボもいる。

赤トンボにはいろんな種類があって、どのトンボだか識別ができないが、「ショウジョウトンボ」ではないかと思っている。

井の頭池近くのボードには、「マユタテアカネ」や「ネキトンボ」といった赤トンボも記載されていたので、別のトンボなのかもしれない。

いずれにせよ、トンボたちの季節もまもなく終わる。

狛江橋から弁財天方面を望む。

雲ひとつない青空。

心が洗われるような清々しい空である。

中之島沿いに群生しているガマもだいぶ秋色になってきた。

よく見ると、すでにガマの穂が破れて、綿毛が飛び始めているものもある。

ガマ(蒲)は、古事記の「因幡の白兎」にも登場するように日本人の生活と密接に関係してきた。

「蒲の穂」はかまぼこ(蒲鉾)の語源である。昔のかまぼこは板に盛られた現在の形とは異なり、細い竹にすり身を付けて焼いた食べ物を指していた。これは現在のちくわにあたる。ちくわと蒲の穂は色と形が似ていて、矛のように見えるガマの穂先は「がまほこ」と言われている。蒲焼きも、昔はウナギを開かずに、筒切りにして棒に差して焼いていたので、その形がガマの穂に似ていたことから「蒲」の字が当てられている。

出典:ウィキペディア

「蒲鉾」と「蒲焼き」。

これまで意識したこともなかったが、確かにアメリカンドッグのようなガマの穂の形状は人々に様々な連想を呼び起こすのがよくわかる。

そんな水辺の茂みに身を潜め、獲物を狙っているものがいた。

「アオサギ」である。

井の頭公園に生息する鳥の中では最も大きく、アオサギが飛んでいると思わず「オ〜!」と声が出そうになる。

弁天様の境内のすぐ脇では、真っ白な「コサギ」が浅瀬をゆっくりと移動しながら餌探しに余念がない。

すぐ近くに人間がいてもお構いなしだ。

澄み切った池の中では、今年生まれたばかりと見える「カイツブリ」の雛鳥が慌ただしく動き回り、すっかり身についた潜水を繰り返している。

あの独特の鳴き声も公園内に響いていた。

「カルガモ」たちは思い思いの場所でひなたぼっこ。

人間だけでなく、今日のお天気はすべての生き物たちにとって最高なのだろう。

あれ?

こいつら、くちばしの先が黄色くないということは「カルガモ」じゃない?

調べてみてもどうもはっきりしないが、「オナガガモ」のメスに似ている気もする。

「オナガガモ」はシベリアなどで繁殖して秋になると日本にやってくる冬鳥だ。

まだ最高気温30度と暑い日が続くが、そろそろ冬鳥がやってくる季節なのだろう。

暦の上では「水始涸(みずはじめてかる)」とは言うものの、井の頭公園は水に溢れた清々しい季節の真っ只中にある。

こんな気候が少しでも長く続いてくれるといいのだが・・・。

御神水

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