2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
11月に入って、実をつけた植物がいろいろ目につくようになった。
その中から赤い実をつけた植物を3つ、「ナンテン」「センリョウ」「ノイバラ」である。
「ナンテン(南天)」

冬に赤い実をつける庭木の定番といえば「ナンテン」。
井の頭公園でもジブリ美術館の周辺や「うさぎ館」の脇に植えられている。

ナンテンという名前は、中国名で食堂の灯りを意味する「南天燭(ナンテンチュー)」に由来し、実に野鳥が集まることを意味する。日本では漢字の読みが「難転」に通じるという語呂合わせから縁起の良い木とされ、災いや穢れを断つため、玄関先やトイレ付近、鬼門の方角に植えられる。
出典:庭木図鑑 植木ペディア
かつてトイレの手水鉢の近くに「ナンテン」が植えられたのは、この植物の葉に殺菌作用があったためで、トイレットペーパーの代わりとして使われた。

我が家でも「南天のど飴」を昔愛用していたが、これも本当に効果があるという。
10~11月に熟す果実は直径6~7ミリで、中には種子が二粒入っている。果実にはアルカロイドの一種であるナンテニンが含まれ、乾燥させたものは漢方薬「南天実(なんてんじつ)」として咳止めや喉飴に使われる。
出典:庭木図鑑 植木ペディア
花言葉は「私の愛は増すばかり」。
「ナンテン」 分類:メギ科ナンテン属 特徴:常緑広葉樹・低木 花が咲く時期:5〜7月 実のなる時期:11〜2月
井の頭公園の「ナンテン」はここ!

「センリョウ(千両)」

一方、テニスコートの脇でひっそりと赤い実をつけていたのは「センリョウ」。
「ナンテン」や「マンリョウ」とよく似ているが、「センリョウ」が最もモダンな印象がある。

日本列島でも広葉樹林で多く自生しているが、冬の観賞用として栽培されお正月の縁起物としても広く利用される。
「センリョウ」は葉の上に赤い実をつけるのに対し、「マンリョウ」は葉の下に実をつける。
他にも、「百両」「十両」「一両」という名の植物もあるそうだ。

「ナンテン」同様、「センリョウ」も枝葉を煮出して生薬として利用され、抗菌、抗ウイルス、抗炎症、抗腫瘍などの効能があるそうだ。
花言葉は「利益」「富」。
「センリョウ」 分類:センリョウ科センリョウ属 特徴:常緑広葉樹・低木 花が咲く時期:6〜7月 実のなる時期:11〜2月
井の頭公園の「センリョウ」はここ!

「ノイバラ(野茨)」

「センリョウ」の近くテニスコート脇の吉祥寺通りに植えられていた植物にも赤い実がなっていた。
「ナンテン」や「センリョウ」とは様子が違うため、植物識別アプリ「Picture This」で調べてみるとなんと「ノイバラ」と表示された。
「ノイバラ」って、こんな実がなるのかと疑いネットで調べてみると、確かに赤い実をつけることがわかった。

よく見ると、茎には確かにトゲが確認できる。
どうやら本当に「ノイバラ」の実のようだ。
「ノイバラ」は日本列島に昔からある最もポピュラーな野ばらの原種で、つる性で他の植物に絡んで藪を作るため雑草として扱われることも多いという。

この赤い実は甘くジャムなどにも使えるが、利尿や便秘の治療など薬用にも利用されてきたという。
未熟な実を乾燥させたものは漢方薬で「栄実(エイジツ)」と呼ばれ、利尿、下痢止め、肌荒れ予防などに効果があるとする。近年では美白やアンチエイジングの化粧品に果実エキスが使われる。
出典:庭木図鑑 植木ペディア
花言葉は「上品な美しさ」。
「ノイバラ」 分類:バラ科バラ属 特徴:落葉つる性広葉植物・中木 花が咲く時期:5〜6月 実のなる時期:9〜11月
井の頭公園の「ノイバラ」はここ!

井の頭公園の植物2021
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