2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
この季節、黒い実をつけている植物をよく見かける。
その中から「サカキ」「ヒサカキ」「イヌツゲ」「シロヤマブキ」「ヤブラン」と取り上げる。
「サカキ(榊)」

まずは小鳥の森近くで見かけたこちらの黒い実。
植物識別アプリ「Picture This」で確かめると、「サカキ」と出た。
「榊」といえば、木偏に神と書くように、神社で神事などに使われる常緑の樹木である。

古来、植物には神が宿り、特に先端が尖った枝先は神が降りるヨリシロとして若松やオガタマノキなど様々な常緑植物が用いられたが、近年は身近な植物で枝先が尖っており、神のヨリシロにふさわしいサカキやヒサカキが定着している。家庭の神棚にも捧げられ、月に2度、1日と15日(江戸時代までは旧暦の1日と15日)に取り替える習わしになっている。
出典:ウィキペディア
「ヨリシロ」とは、依り代(依代、憑り代、憑代)と書き、神霊が依り憑く(よりつく)対象物のことだそうだ。
ご神体などを指すほか、神域を指すこともある。

井の頭公園では「サカキ」の木はあまり見ないが、その分布範囲は茨城・石川以西ということらしく、関東以北では「サカキ」の代わりに類似種の「ヒサカキ」を神事に使うようだ。
花言葉は「控えめな美点」。
「サカキ」 分類:モッコク科サカキ属 特徴:常緑広葉樹・小高木 花が咲く時期:6〜7月 実のなる時期:10〜12月
井の頭公園の「サカキ」はここ!

「ヒサカキ(姫榊)」

こちらが「ヒサカキ」。
「サカキ」に似ているが、全体に小さめで葉のまわりがギザギザしている。
年間を通じて艶のある葉をつけるため「サカキ」同様に縁起の良い木とされ、神棚へ供える玉串に使われる。
「サカキ」よりも耐寒性があり、関東以北では「サカキ」と呼ばれることも多い。

井の頭公園にもたくさん植えられていて、こちらの「ヒサカキ」のちょうど実が緑色から黒色に変わるところだ。
「サカキ」に比べて「ヒサカキ」の方が実をたくさんつける。
花言葉は「神を尊ぶ」。
「ヒサカキ」 分類:モッコク科ヒサカキ属 特徴:常緑広葉樹・低木 花が咲く時期:3〜4月 実のなる時期:10〜12月
井の頭公園の「ヒサカキ」はここ!

「イヌツゲ(犬柘植)」

公園案内所の目の前で黒い実をつけているこちらの植物は「イヌツゲ」。
「ヒサカキ」に比べて、少し実が大きいように見える。
刈り込みに強いため、生垣などに利用される樹木だ。

「モチノキ」の仲間で、樹皮から鳥もちが取れ、昔の人はそれを使って鳥や昆虫を捕まえた。
モチノキ同様に樹皮から鳥もちがとれ、モチノキから得たものがシロモチやホンモチと呼ぶのに対し、イヌツゲから得たものをアオモチという。
出典:ウィキペディア
花言葉は「魅惑」。
「イヌツゲ」 分類:モチノキ科モチノキ属 特徴:常緑広葉樹・小高木 花が咲く時期:6〜7月 実のなる時期:10〜11月
井の頭公園の「イヌツゲ」はここ!

「シロヤマブキ(白山吹)」

4つの黒い実がきれいに並んでいる。
ジブリ美術館前の花壇で見かけたのは「シロヤマブキ」。
もとは中国地方の石灰岩地だけに自生する落葉低木だそうで、挿木で容易に繁殖するため庭園でよく使われるという。

その名の通り、4〜5月に白いきれいな花が咲き、葉はすべて落ちた秋に黒い実だけが残る。
それでも鳥たちには人気がないようで、長い間枝先に黒い実が残るという。
花言葉は「細心の注意」。
「シロヤマブキ」 分類:バラ科シロヤマブキ属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:4〜5月 実のなる時期:6〜9月
井の頭公園の「シロヤマブキ」はここ!

「ヤブラン(藪蘭)」

地面から突き上げるように黒い実をつけているのは「ヤブラン」。
御殿山の下草として歩道に沿って縁取りとして植えられている。

果実の皮はすぐにむけて、黒いのは種子が剥き出しになっているのだそうだ。
花言葉は「忍耐」。
「ヤブラン」 分類:キジカクシ科ヤブラン属 特徴:多年草 花が咲く時期:7〜10月 実のなる時期:9〜11月
井の頭公園の「ヤブラン」はここ!

井の頭公園の植物2021
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