2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
この季節、公園を歩くとそこかしこに小さな実をつけた植物に出会う。
その中でも、赤い実がとても目立つ植物を記録したい。
「イイギリ」と「マユミ」、「サンシュユ」である。
「イイギリ(飯桐)」

まるで真っ赤なブドウのようにたくさんの実をつけた樹木を見つけた。
「イイギリ」という名のヤナギ科の高木で、本州以南の山林に広く分布しているという。

井の頭池の近くにも何本かあるのだが、他の樹木が邪魔になってその赤い実がよく見えない。
観察に最も適しているのは、第二公園の隅っこに植えられている立派な「イイギリ」だ。
桐の木に似ていることや、ハート型の大きな葉におにぎりを包んだことから「飯桐」という名前がついたというが桐とは種類が違うらしい。

それにしても、鮮やかな実で、この秋私が公園で見かけた植物の中では間違いなくナンバー1だと言っていい。
観賞用で栽培されることが多いが、赤い実は生食もできるそうだ。

今はまだたくさんの葉が残っているが、落葉後も赤い実は残るとのことで、より一層遠目にも目立つようになるそうだ。
花言葉は「恵まれた人」。
「イイギリ」 分類:ヤナギ科イイギリ属 特徴:落葉広葉樹・高木 花が咲く時期:3〜5月 実のなる時期:10〜12月
井の頭公園の「イイギリ」はここ!

「マユミ(真弓)」

西園の陸上トラック近くで見つけたサクランボに似た赤い実。
これは「マユミ」という樹木の実だ。
果実は熟すと、ニシキギやマサキと同じように四つに裂け、中からオレンジ色の種(仮皮種)が顔を出す。この様子を繭(まゆ)に喩え、繭実(まゆみ)が命名の由来であるとする説もある。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

ただし、名前の由来は実ではなく弓に使われる材に由来するという説も有力だ。
枝には柔軟性があり、よくしなる。弓(丸木弓)の材料になったことが縄文時代の遺跡によって証明されており、「真弓」と名付けられた。弓に使われた木には、イチイ、ミズメ、ケヤキ、ニワトコ、ヤマナラシなどがあるが、「真」は「最高の」意味があり、マユミが高級な弓材であったことが分かる。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

万葉集には、「マユミ」を詠んだ歌が11首あるそうで、昔の日本人には馴染み深い植物だったようだ。
花言葉は「艶めき」。
「マユミ」 分類:ニシキギ科ニシキギ属 特徴:落葉広葉樹・小高木 花が咲く時期:5〜6月 実のなる時期:10〜11月
井の頭公園の「マユミ」はここ!

「サンシュユ(山茱萸)」

赤い美味しそうな実がついていたのは「サンシュユ」。
早春に黄色い花を咲かせる中国原産の小高木で、その花の色から「ハルコガネバナ」と呼ばれる一方、この赤い実から「アキサンゴ」の別名も持っている。

見た目はグミのようだが、生食はできない。
それでも甘くて酸味と渋味があり、ジャムなどに適しているのだという。
また生薬としても利用されてきた。
赤熟した果実を採取し、熱湯に数分間浸してからザルに上げて種子を取り除き、日干し乾燥させた果肉(正確には偽果)は生薬に利用され、山茱萸(さんしゅゆ)の名で日本薬局方に収録されている。強精薬、止血、滋養強壮、頻尿、収斂、冷え性、低血圧症、不眠症に効用があるとされる。果肉は長さ1.4 cm程の楕円形。滋養強壮の目的で、牛車腎気丸、八味地黄丸、杞菊地黄丸等の漢方方剤にも使われる。
出典:ウィキペディア

普段はあまり目立たない植物だが、早春と初冬には俄然存在感を増す。
人間もこうありたいものだ。
花言葉は「持続」。
「サンシュユ」 分類:ミズキ科ミズキ属 特徴:落葉広葉樹・小高木 花が咲く時期:3〜5月 実のなる時期:10〜11月

井の頭公園の植物2021
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