2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
10月も今日が最後の日となったので、今月私の目についた植物についてランダムに記録しておこうと思う。
「ミツバオオハンゴンソウ」「キクイモ」「クズ」などである。
「ミツバオオハンゴンソウ(三葉大反魂草)」

井の頭池を回る遊歩道の植え込みに咲いていた黄色い花。
「ミツバオオハンゴンソウ」という北米原産の帰化植物で、昭和初期に観賞用に日本に入ってきたが、今では道端や草原などで自生しているという。
この花壇でも誰かが植えたものではなく、勝手に生えてきたもののようだ。

確かに、見た目は可愛らしいので、観賞用で輸入した人がいたのも理解できる。
しかしこの花を含めた「オオハンゴンソウ」の仲間はすべて外来生物法によって特定外来生物に指定され、許可なく栽培・保管・運搬・輸入・譲渡を行うことは禁止されている。
日光国立公園戦場ヶ原、十和田八幡平国立公園、富士箱根伊豆国立公園、利尻島といった国立公園でも「オオハンゴンソウ」が在来種を駆逐して大繁殖していて、全国各地で駆除作業が行われているという。

かわいい姿には似合わず、膨大な数の種子を撒き散らすだけでなく地下茎でも繁殖する厄介者で、井の頭公園でもそのうち対策が必要になってくるのかもしれない。
花言葉は「あなたを見つめる」。
「ミツバオオハンゴンソウ」 分類:キク科オオハンゴンソウ属 特徴:多年草 花が咲く時期:7〜10月
井の頭公園の「ミツバオオハンゴンソウ」はここ!

「イヌキクイモ(犬菊芋)」

井の頭線の井の頭公園駅の法面で、セイタカアワダチソウなどの雑草に紛れるように黄色い花が咲いていた。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると「キクイモ」と表示された。
「キクイモ」も北米原産の外来種で、江戸時代末期に飼料用として輸入されたものが野生化したとされる。

ただネットで調べてみると、東京周辺ではよく似た「イヌキクイモ」という植物が多く自生しているというので、おそらく正確には「イヌキクイモ」なのだろうと判断した。
「イヌキクイモ」も「キクイモ」同様、高さ1〜2メートルになる多年草で、地下に根茎を持つ。
しかしキク科の植物なので、イモ類のようなデンプンはほとんど含まず、主成分は主成分は多糖類イヌリンを含む食物繊維だという。

見た目は華やかな「キクイモ」の仲間も「要注意外来生物」に分類されていて、決して歓迎される存在ではないようだ。
花言葉は「陰徳」。
「イヌキクイモ」 分類:キク科ヒマワリ属 特徴:多年草 花が咲く時期:7〜10月
「クズ(葛)」

同じ井の頭公園駅の法面に設置されているフェンスに絡み付いているつる植物があったので、植物識別アプリ「Picture This」で調べてみると、これがなんと「クズ」と表示された。
あの「葛餅」の原料となる「クズ」である。
日本では昔から、クズの根を用いて食材の葛粉や漢方薬が作られ、万葉の時代から秋の七草の一つにも数えられている。

花の時期はすでに終わっていたが、この大きな三つ葉が「クズ」の特徴である。
世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。山野の林内や林縁、土手などに自生しており、荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。絡みつく相手を求めながらつるを長く伸ばして、広い範囲で根を下ろし、繁茂力が高い。クズは根茎と種子により増殖する。除草剤に強く、根絶は困難であり、雑草としてはこびることもしばしばである。
刈り取りを行わない場合は短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。 伸び始めたばかりの樹木の枝に巻き付くと、それによって樹木の枝が曲がり、やがては枯死、さらに森林全体を衰退させてしまうこともあるため、林業ではクズなどを除去するつる切り作業は森林を健全に成長させる作業の一つとされている。 地上部のつるを刈り取っても地下に根茎が残り、すぐにつるが再生する。
出典:ウィキペディア
とてつもなく厄介な植物だが、これから葛餅を作っていたのだから、昔の人はやはりしぶとい。
花言葉は「芯の強さ」。
「クズ」 分類:マメ科クズ属 特徴:つる性多年草 花が咲く時期:7〜9月
井の頭公園の「イヌキクイモ」&「クズ」はここ!

「キズタ(木蔦)」

「小鳥の森」で倒木に絡まって花を咲かせているつる植物。
代表的なツタの一種「キヅタ」だ。
常緑で冬でも緑の葉が落ちないため「フユヅタ」とも呼ばれる。

そしてこの不思議な形のボール状のものが「キヅタ」の花である。
まるでウイルスのような形だが、この後に直径8ミリほどの実がなって、春には黒紫色に熟す。
花言葉は「永遠の愛」。
「キヅタ」 分類:ウコギ科キヅタ属 特徴:常緑つる性広葉木本 花が咲く時期:10〜12月 実のなる時期:3〜5月
井の頭公園の「キヅタ」はここ!

「ツワブキ(石蕗)」

こちらは冬に咲く花として有名な「ツワブキ」。
テニスコート近くの吉祥寺通り沿いに咲いていた。
観賞用に日本庭園などに植えられるが、もともとは海岸沿いに多く自生していたキク科の植物である。

フキと同様、食用や薬用として利用されることもある。
奄美大島などの奄美料理では塩蔵した骨付き豚肉とともに煮る年越しの料理「うゎんふねぃやせぅ」の具に欠かせず、沖縄県でも豚骨とともに煮物にして食べる。フキを原料にした煮物、佃煮と同様に「キャラブキ」と呼ばれることもある。
民間薬として、主に茎葉を8 – 9月ごろに採取して天日乾燥したものを生薬とし、蓮蓬草(れんぽうそう)や橐吾(たくご)と称して、のどの腫れ、おでき、切り傷、打撲や火傷に用いる。
出典:ウィキペディア
花言葉は「謙譲」。
「ツワブキ」 分類:キク科ツワブキ属 特徴:常緑多年草 花が咲く時期:10〜12月
井の頭公園の「ツワブキ」はここ!

「キンシバイ(金糸梅)」

井の頭池のほとりで見つけた黒い実。
初夏に黄色い花を咲かせていた「キンシバイ」だった。
華やかなその花とは対照的に、秋の「キンシバイ」は渋い。

中国原産で公園樹などによく利用されるという「キンシバイ」。
ちょうど雨上がりだったこともあり、水滴をまだ葉の上に止め、これはこれで風情を感じさせた。
花言葉は「悲しみをとめる」。
「キンシバイ」 分類:オトギリソウ科オトギリソウ属 特徴:半落葉小低木 花が咲く時期:5〜7月
井の頭公園の「キンシバイ」はここ!

「イノコヅチ(猪子槌)」

10月に公園内でよく見かけた雑草といえばこちら。
「イノコヅチ」という名前らしい。
平安時代の書物にもその名が登場するほど昔から日本に生えていた草で、薬用にも用いられた。
イノコヅチの根を乾燥させて作った漢方薬(生薬)を牛膝(ごしつ)といい、利尿、強精、通精、通経薬とする。牛膝は、秋に根を掘り採って天日乾燥して調製される。
出典:ウィキペディア

夏から秋にかけて目立たない小さな花をつけ、その後できる果実の外側に2本のトゲがあって、動物や衣服に付着するという。
第二次大戦中の日本では、この「イノコヅチ」を「夏の七草」と称して、食べられる雑草として奨励したのだそうだ。
花言葉は「命燃え尽きるまで」。
「イノコヅチ」 分類:ヒユ科イノコヅチ属 特徴:多年草 花が咲く時期:8〜9月
井の頭公園の「イノコヅチ」はここ!

井の頭公園の植物2021
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