今日からゴールデンウィーク。
東京でのんびり過ごす今年のゴールデンウィークは、気になりながら未だ行けずにいたお店を少しずつ回ってみようと思っている。
昨日一人で訪ねた「挽肉と米」で刺激を受け、妻と以前から行きたいと話していた西荻窪の古民家カフェを予約してランチタイムに行ってみた。

吉祥寺と西荻窪の駅の間、住宅地のど真ん中にその古い家はある。
目立った看板などもないが、その独特の佇まいは自ずと目につく。
この店の名前は「松庵文庫」。
2013年にオープンしたというからまもなく開店から10周年を迎える。

この店の存在は、西荻窪への散歩の途中、偶然に見つけた。
家の前には立派な木があり、窓の奥には何やらショップのように商品が並んでいる。
その家を目指して集まってくる人たちがいて、ここがただの民家ではなく何かのお店なのだということがわかった。

ただ、玄関は閉まっていて、最初この扉を開けるのに少し勇気が必要だった。
中に入って「ここはお店ですか?」と聞いた。
その時はイベントをしていて飲食をすることができなかったので、また来ようと妻と話したのはだいぶ前の話だ。

今回、予約の電話を入れると「13時半でよければ」と言われ、初めてランチに伺うこととなった。
入口を入った玄関で靴を脱ぐ。
ここからこの店のこだわりは始まる。

少し早く到着したので、玄関脇の売店で待つことになった。
こちらには、お店がセレクトした小物類が並ぶ。

窓際に並ぶ、女性雑誌さながらの可愛らしい雑貨たち。
先ほど通りから見えた大きな窓はこの売店の窓だったようだ。
こうしてこだわりの小物を眺めながら時間を潰す。

予約時間の13時半を過ぎ、ようやく席へと案内された。
古い古民家の壁を抜いて改装された広い板の間に不揃いなテーブルや椅子が置かれている。
右手にはカウンター、左手と奥が客席になっているようだ。

庭に面した広い窓からは大きなツツジが見える。
ちょうど今、満開の季節を迎えていてピンク色の花をたくさん咲かせていた。

さて、何がいただけるのかなとメニューを見ると、「春の御膳(万年茶付き)」の一択だった。
値段は1980円。
追加料金でプリンやケーキ、コーヒーなどを付けることができるようだ。

こちらが「春の御膳」。
なかなかヘルシーな見た目である。
献立には二十四節気と七十二候が印刷されているので、5日ごとにメニューが入れ替わるのかも知れない。

今日のお米は、「お米農家やまざき ひなたの粒」。
「お米農家やまざき」を調べてみると、茨城県で丁寧にお米づくりをしている農家さんのようだ。
「クロワッサン」などでも紹介されているらしく、女性誌の世界では知る人ぞ知る有名農家なのだろう。

お味噌汁は、「蕪のすり流しのお味噌汁」。
これまた女性的な、やさしい味のお味噌汁だ。

そして今日のメインディッシュとなるのが「鯛のフライ」と「古来在来種野菜のグリル」。
フライの脇に塩が置いてあり、お好みでつけて食べるスタイルだ。
鯛のフライは初めてだが臭みがなく美味しい。

小皿が2つ付いていて、一つは「カラスミと胡瓜のポテトサラダ」。
カラスミは非常に薄くスライスしてあるので、あまり魚卵という印象はない。

もう一皿は「帆立と新生姜と紫キャベツの豆乳マヨ春巻き」。
名前はとても複雑そうだが、実際に食べてみると名前ほどには個性を感じない春巻きだった。

そしてこちらが「万年茶」。
「万年茶」について検索してみると、熊本の清香園というお茶屋さんが販売している「ふるさと万年茶」が表示された。
このお茶は、「どくだみや柿の葉、桑茶をはじめ、自然が育んだ伝承野草と、香ばしい豆殻類のお茶を配合して、誰もがおいしく飲めるよう作られたお茶」だと清香園のホームページには説明されていた。

食事が終わり、220円の追加料金でホットコーヒーを注文した。
コーヒーは、ショップで販売されていたカップに入って運ばれてきた。

初めての訪問で感じたのは、どうやらこの店は私の好みではなさそうだということだ。
料理はそれなりに美味しいのだが、2000円払うほどではない。

オシャレで環境にやさしい生活を志向する女性たち向けのお店。
この空間とこだわりに共感した人だけを満足させるお店のようで、私のようなオヤジにはいささか蘊蓄疲れしてしまう印象を与える。
おしゃべりに花を咲かせる女性たちを横目に、食べ終わるとさっさと店を後にした。
食べログ評価3.51、私の評価は3.20。
「松庵文庫」 電話:03-5941-3662 営業時間:[水~金]11:30~21:00 [土日]11:30〜18:00 定休日:月曜、火曜 http://shouanbunko.com/