今日から5月。

井の頭公園も新緑に包まれ、気持ちのいいゴールデンウィークを迎えている。
妻がお昼に歯医者の予約が入っているというので、今日も『ゴールデンウィークに行きたかったお店を食べ歩く』シリーズの第3弾に出かけることにした。

選んだのは三鷹駅南口からすぐにある長崎ちゃんぽんの老舗「グラバー亭」。
昭和48年創業で、今年でちょうど50年目を迎える。
長崎くんちで有名な龍踊りが描かれた看板テントはずっと変わらず、昔からすごく気になるお店だった。

ゴールデンウィークなので混むかなと思って開店の10分前に行くとまだ誰も並んでいなかった。
ところが、私の後から次々に人がやってきて、お店が始まる11時半にはそれなりの行列ができ、20席ほどある席は開店と同時に満席になった。
それだけ通い慣れた地元の人が多いということだろう。

私はお店の一番奥、カウンター席に座った。
厨房ではご夫婦らしき男女が手分けして、一斉に入る注文をさばいていく。
年季が入ったこの厨房は、50年前の創業当初から変わっていないという。

様々なラーメンやチャーハン、野菜炒めなど、案外たくさんのメニューが用意されているが、ほぼ90%以上の客は「ちゃんぽん」か「皿うどん」を注文する。
ちゃんぽんには普通の「ちゃんぽん」(900円)とうずらやいかが入った「特製ちゃんぽん」(1100円)があり、皿うどんには通常の硬い細麺のほかに太麺も選べる。
街中華によくあるラーメンとチャーハン、餃子などを組み合わせたお得な「サービスセット」も6種類あったが、「ちゃんぽん」「皿うどん」が組み込まれたセットがないためこちらを注文する人は少ないようだ。

店に入ってから10分もせずに、私が注文した「皿うどん」(950円)ができあがった。
昔懐かしきラーメン丼の紋様「雷文」が描かれている。
いやはや奇を衒わないオーソドックスな皿うどんである。

あんかけの中央に置かれた1匹の小エビ。
そして鮮やかなピンク色をしたかまぼこ。
おそらく50年前から変わらぬ「皿うどん」なのだろう。
これでいい、これでいいのだ。

箸でかき混ぜると、餡の下からパリパリの麺が出てきた。
この麺もかまぼこも本場長崎から取り寄せた本場ものだそうだ。
食べるとそこらの揚げた麺よりも一段硬い印象を受けた。

卓上に置かれたお酢をたっぷりとかけていただく。
おお、これこれ!
これぞ皿うどんだ。
文句なしに美味い。

カウンターの目の前には「金蝶ソース」のポスターが貼ってあった。
長崎の人はこのソースを皿うどんにかけて食べるというのは長崎に行った時に聞いて試してみたが、個人的にはやっぱりお酢と辛子の方が好みなので、あえて「金蝶ソース」は使わずに完食した。
辛子が卓上になかったのは残念である。

私と同じく開店の11時半に入った客たちは、私同様20分ほどで食べ終わり、外で行列している客たちと入れ替わる。
ここにはおしゃべりを楽しむ客などはほとんどおらず、純粋にちゃんぽんや皿うどんを食うために集まってくる客ばかりだ。
オヤジにはこういう店が好ましい。

半世紀続く長崎ちゃんぽんの名店「グラバー亭」。
こういう店にはもっともっと長く営業を続けてもらいたいものである。
食べログ評価3.49、私の評価は4.20。
「グラバー亭」 電話:0422-45-1267(予約不可) 営業時間:[月~金]11:30~14:30/18:00~21:00 [土・祝]11:30~14:30 定休日:日曜 https://www.facebook.com/people/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E4%BA%AD-%E4%B8%89%E9%B7%B9/100064781922901/