ゴールデンウィークも後半戦、5連休の初日となる今日は吉祥寺も多くの人でごった返していた。

観光地はどこも人・人・人。
こんな時には休日が貴重な現役諸君を優先して、私のようなシニアは静かに過ごすに限る。
今日も午前中は市民プールで体を動かし、ランチタイムには以前から気になっていたお店を予約して妻と2人でちょっとリッチなランチを楽しむ。

選んだのはスペインバルの「PEP」。
吉祥寺を代表する人気イタリアン「trattoria e pizzeria MOTHERS」や人気パン屋の「EPEE」などを運営する株式会社MOTHERSの系列店で、吉祥寺の繁華街から少し外れた吉祥寺シアターの向かい、焼き鳥屋「たまや」の2階にある隠れ家的なお店である。

この店の特徴といえば、まず第一に目立たないことだ。
ランチタイムで賑わう「たまや」の脇の無愛想な扉がお店への入口である。
目立った看板はなく、紙に印刷されたメニューが無造作に貼ってあるだけだ。
私がこの店の存在を知ったのも、「たまや」に来た時に偶然このメニューを見つけたことだった。

階段を上っていくと、2階の扉は閉ざされていて看板も何もない。
「あれっ? 3階だったかな」と思い階段をさらに上がりかけたほどあえて目立たなくしているようだ。
まさに「知る人ぞ知る」会員制のクラブのようだ。

恐る恐る金属製の扉を開けると、無愛想な階段とは別世界のような空間が広がっていた。
お店は賑わっていた。
ほとんどは若者たち、女性客が多い印象だ。
奥のテーブル席はすでに一杯で、空いていた入口近くのカウンター席に座る。

カウンターの前はオープンキッチンになっていて、若いスタッフたちが忙しそうに働いている。
とてもカジュアルで、活気があって、オシャレな空間だ。

紙のメニューを渡された。
平日はランチメニューがあるというが、週末や祝日は夜と同じメニュー。
小皿のタパスも1000円前後のものがほとんどで、値段的には吉祥寺としては高めだと感じる。

ワインが欲しいと思いメニューを見るが、グラスワインが見当たらない。
目の前の店員さんに聞くと、今日のグラスワインのメニューを出してくれた。
1杯900円からとこちらもちょっと高めだ。

メニューを睨みながら妻としばし作戦会議をする。
パエリアを一つ頼み、好きなタパスをそれぞれ選ぶという形で一致した。
パエリアはレギュラーがお茶碗2杯分、ハーフだとお茶碗1杯分だと教えられた。
とりあえず、少なめに注文してその量を見てから追加を考えることにする。

まずはグラスワインから。
店員さんの勧めもあって、私が選んだのは白ワインの「ケメトナー グリューナー」(900円)。
スペインではなくオーストリアのワインのようだ。
スッキリして美味しいワインだったが、残念ながら予想していたよりも量は少なかった。

最初のタパスが運ばれてきた。
私が選んだ「鹿児島産 真蛸とセロリのセビーチェ」(980円)である。
「セビーチェ」というのはペルー名物の魚介のマリネのことらしい。
ライムをたっぷりかけていただく。
蛸が美味い。
昔は蛸などあまり好きではなかったのに、近頃では蛸と見るやすぐに注文してしまう。

続いて出てきたのは、妻が注文した「ひよこ豆とチーズのフリット」(550円)。
表面はカリカリで、中はトロトロ。
見た目は多くないが、お腹に溜まる一品だ。

そして、パエリア登場。
私たちが選んだのは「炭火焼きした地鶏と京都産九条葱のパエリア」のハーフサイズ(1200円)。
量が少ないかなと思ったが、お皿に薄く広げられているため、それなりの量に見える。

焼き上げるのに時間がかかるため、注文してから出来上がるまで30分以上はかかっただろう。
最初にパエリアを注文してからタパスを選ぶのが賢明だ。

パエリアというと大きなフライパンで焼き上げるイメージがあるが、この店のパエリアはお皿に入れたまま焼くらしく、お皿の底におこげができている。
トマト味が濃厚でとてもジューシーなパエリアに仕上がっていた。
とても美味しい。

もう少し食べられそうなので、追加でお肉を注文することにした。
「イベリコ豚肩ロースの炭火焼き たまり醤油柚子胡椒ソース」(100g 980円)。
肉を焼く場所は私たちの目の前にあり、イベリコ豚を炭火でじっくり焼き上げる過程をずっと見ていた。
そして目の前に運ばれてきた炭火焼きのイベリコ豚を口に運ぶ。
実に美味い。
豚肉の臭みが全くなくて適度な塩分が肉の旨みを引き立てる。

最後に注文したのは「バスクチーズケーキ」(550円)。
濃厚なチーズケーキに少しだけ添えられた塩をつけていただくとこれまた絶品。
たくさん量を食べるのではなく、美味しいものを少しずつ食べたい、そんな時にオススメのお店だと感じた。
これでタパスやグラスワインがもう少しお手頃価格なら申し分ないのだが・・・それは贅沢というものだろうか。
食べログ評価3.46、私の評価は3.50。
「PEP」 電話:050-5592-9566 営業時間:[火~土]11:30〜15:00 /17:00〜23:00 [日・祝]11:30〜15:00 /17:00〜22:00 定休日:月曜 https://www.mothersgroup.jp/shop/pep.html