孫娘の誕生日プレゼントを買った後、一緒にランチを食べることになった。
選んだのは私一人では絶対に行かない類のお店である。

ダイヤ街商店街にある古い商業ビル「レンガ館モール」は、私の行きつけの根子眼科があり、地下の飲食店にも私が時々通う渋いお店が多い。
そんなちょっとレトロなビルの3階にある「幸せのパンケーキ 吉祥寺店」。
孫娘に提案するとパッと嬉しそうな顔になった。

エスカレーターで3階まで上がると、お店は南側の一番奥にあった。
偶然通りがかるというロケーションではなく、パンケーキ目当ての客しかやってこないスペースである。

店内に入ると、予想以上に明るい空間が広がり、予想通りお客さんはほぼ全て女性だった。
やっぱり私が一人で入るには抵抗を感じるお店であるが、事業を始めたのが2015年とまだ新しく、現在海外店を含めて26店舗を展開しているという。

入り口の目の前にはガラスで仕切られた広いキッチンが置かれ、鉄板の上にいくつかのパンケーキが焼かれている。
スタッフも全員、女性のようだ。

私たちは窓際のテーブルに座った。
大きく切られた窓は商店街を見下ろすように傾斜がつけられていて、ちょうど昼時なので太陽の光が燦々と降り注いで眩しいほどだ。

メニューを見ると、いかにも甘そうな「スイーツパンケーキ」がずらりと並び、下の方にオムレツなどとセットになった「お食事パンケーキ」が用意されていた。
チョコとバナナが好きな孫娘は「バナナホイップパンケーキ チョコソース添え」(1320円)、甘いものがさほど好きではない妻は予想通り「パンケーキ&きのこチーズオムレツ」(1210円)を注文。
私は「濃厚チーズムースパンケーキ ベリーソースがけ」(1370円)を選び、私と妻はセットドリンク(+330円)でホットコーヒーもつけてもらうことにした。
さして材料費がかからないであろうパンケーキにしては結構な値段だ。

最初に運ばれてきたのは、私が注文したパンケーキだった。
「濃厚チーズムースパンケーキ ベリーソースがけ」(1370円)。
ミントと一緒に上に乗っかっているのがチーズムースで、たっぷりのベリーソースがかかっている。

お店の売り物は、『世界一ふわふわでしっとり感のあるパンケーキ』。
北海道産の発酵バターやニュージーランドのマヌカハニーなどこだわりの素材を使って、1枚1枚20分をかけて「ふわふわ」に焼き上げるのだそうだ。

カットしてみると確かにふわふわではあるが、密度が低いためか断面が潰れてしまう。
食感も柔らかすぎて、個人的には普通のホットケーキの方が好みかもしれない。

このパンケーキに、チームムース、ベリーソースと共に添えられている生クリームを適当につけていただく。
正直言うと、濃厚チーズムースがやや期待はずれで、濃厚の文字とは裏腹にチーズの味が足りない気がした。
だから、チーズに期待した塩分がないため、全体に甘いだけのパンケーキである。
でも、今の時代、何でも甘さだけが尊ばれて味が単純化しすぎるのは残念だ。

こちらは孫娘が注文した「バナナホイップパンケーキ チョコソース添え」(1320円)。
大好きなバナナが横たわり、その上にこれまた大好きなチョコソースをかけて頬張る。
「美味しい」「美味しい」と何度も言いながら、満面の笑みを浮かべて全部一人で平らげてしまった。

そして妻が注文した「パンケーキ&きのこチーズオムレツ」(1210円)もやや遅れて運ばれてきた。
妻が全部は食べきれないというので、残った分を私が食べたが、これまたチーズオムレツのチーズ味が足りなかった。
お食事パンケーキは、スイーツとは少し粉の配合が違っているようで、よりパンに近い味がする。
とにかく私のお腹もふわふわに膨らんで明らかな食べ過ぎである。

+330円のホットコーヒーは紙コップでの提供で、全体的に高い印象を受けた。
だが所詮は私はお店のターゲットではないことは明らかで、女子が喜ぶ店作りに私が文句を言う筋合いではないだろう。
もう一度行きたいかと問われれば、一人では行かないと答えると思うが、孫娘に誘われたらまた行ってしまうかもしれない。
食べログ評価3.20、私の評価は3.10。
「幸せのパンケーキ 吉祥寺店」 電話:042-221-2222(予約不可) 営業時間:平日10:30~19:30 土日祝10:00~20:30 定休日:不定休 https://magia.tokyo/