<吉祥寺グルメ>「カフェモスクワ」の「佐助豚のカツサンド」 @バー@カフェ

図書館で借りてきたハモニカ横丁に関する本を読んでいたら、まだ行っていない店がたくさんあることに思い至った。

吉祥寺の駅前で独特の存在感を示すこの「ハモニカ横丁」を少しじっくり眺めて見たくなって、まだ行ったことのないテラス席のある店を訪ねてみた。

この前の日曜日のことだ。

「カフェモスクワ」。

ウクライナ戦争が世界中の注目を集める昨今ピッタリの名前だが、ロシア料理のお店ではない。

ハモニカ横丁に12店舗を展開する手塚一郎さんが運営するお店の一つで、ホームページを見るとスペインバルと紹介されている。

しかし手塚さんの店に共通する国籍不明な雰囲気をまとい、従業員もほとんどが外国人という不思議なお店である。

ハモニカ横丁の中心に位置するこの3階建ての建物全体が「カフェモスクワ」だ。

1階はワイン樽なども置かれた立ち飲みスペース。

まさにスペインバルという佇まいである。

赤い怪しげな階段を上っていくと・・・

2階は少し落ち着いたテーブル席になっている。

日曜日のランチタイムだが、この赤い階段を上ってやってくる客は私以外いなかった。

そして3階に上がると、まるで隠れ家のようなテラス席が待っている。

まるで海の家のような仮設の屋根が架けられ、手塚さんのお店のシンボルである赤い提灯がぶら下がっている。

そして何より、このテラス席からはハモニカ横丁の屋根が眺められるのだ。

戦後のヤミ市の雰囲気をそのまま引き継いで令和の世まで生き残ったハモニカ横丁。

あのゴミゴミした路地がどうなって形成されているか気にしたことがなかったが、このテラスから見るとその全体像がよくわかる。

そこはトタン屋根で覆われた小さな家屋の集合体だったのだ。

12人ほどが座れるそのテラス席に客は私一人。

小さな賄いで外国人スタッフの女性が黙々と夜の準備をしていた。

「ランチ食べられる?」と聞くと、「ランチは3年前に終わった」という。

「食べるものないの?」と聞くと、あるというのでとりあえずテラス席に一人座ってメニューを持ってきてくれるのを待つ。

今度は別の男性スタッフがやってきてメニューを渡してくれる。

聞くとネパール人だという。

メニューを開くと、実に様々なお酒が並んでいる。

ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、シェリー・・・もちろんビールやウィスキー、日本酒や焼酎もある。

ワインもいろいろあって、1本3000円ぐらいから1万円のものまで懐事情に応じて選ぶことができる。

スペインバルということで、スペインのワインが多いようだ。

食べ物も思いのほか種類が多く、洋風のおつまみ類はどれも美味そうだ。

基本的に夜営業中心のお店なので、それを考えると決して高くはない。

面白いのは、「VIC」という手塚さんが経営するハモニカ横丁の他のお店のメニューも注文できることだ。

「片口」の握り寿司や「てっちゃん」の焼き鳥、「ポヨ」のローストチキンなど、ハモニカ横丁を代表する料理の数々が「カフェモスクワ」で食べられるシステムのようである。

せっかくなので私は「カフェモスクワ」のメニューから「佐助豚のカツサンド」とグラスワインの白を注文した。

すぐに白ワインが運ばれてきた。

「ハウスワイン 白」(670円)。

ワイングラスはちょっと大きめで、通常のお店で出るランチタイムのグラスワインよりも少し量が多いようだ。

他にスペイン産のスパークリングワインや「本日のグラス」という日替わりのワインも選べるので、晴れた日の昼下がり、ワインを飲みながらのんびり過ごすには悪くない。

この仮設感満載のテラス席、どこか懐かしさを感じる。

若き日にアジアやアフリカの発展途上国を取材していると、どこの国にもこんな感じのテラス席があった。

決して綺麗ではないのだが妙に居心地が良くて、熱帯の強い日差しを遮ってくれる軒下で風に吹かれながら食事をしていると、「この国もあながち悪くないなあ」などとますます途上国好きが高じていったりしたものだ。

そうこのテラス席は日本ではない。

どこか南の国の、外国人観光客があまり立ち寄らない飲食店の風情があるのだ。

時折吹き抜ける5月の風を感じながら、ハモニカ横丁のトタン屋根を眺めているうちにカツサンドが運ばれてきた。

「佐助豚のカツサンド」(1370円)。

「佐助豚」というのは、岩手県「久慈ファーム」が生産する自社ブランド「折爪三元豚 佐助」というこだわりの豚肉のことらしい。

カリカリに焼かれた薄切りのパンにしっかりとした厚みのあるトンカツが挟んである。

カツは決して柔らかくはなく噛みごたえがあり、存在感を主張する。

ほっこり揚がったポテトフライも美味しい。

日曜日の昼下がり、白ワインを飲みながらちょっと塩味の効いたポテトフライ、悪くない。

結局私が食べ終わるまで、客は誰一人やってこなかった。

ハモニカ横丁の上にこんな隠れ家のようなテラスがあることを知らない人が多いのだろう。

エスプレッソなどコーヒーやソフトドリンクも用意されているので、天気の良い日に穴場のカフェとして利用するのもいいかもしれない。

料理がとびきり美味しいというよりも、こういう場所が好きな人には最高のテラス席。

吉祥寺のお気に入りの場所がまたひとつ増えた。

食べログ評価3.46、私の評価は3.70。

「カフェモスクワ」
電話:0422-23-5865
営業時間:平日:15:00-24:00
                土日祝:11:30-24:00
定休日:無休
http://hamoyoko.jp/menu/kichijoji_moskow/

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