<吉祥寺残日録>月一のハローワークで20万円をゲットする #200903

台風9号が九州の西を抜けて朝鮮半島に進んだ関係で、今日は南から北へ、雲がどんどんと流れていく。

今日の予報は、曇りで時々強い雨が降るはずだったが、朝から青空がのぞいていた。

上空にはかなりの風が吹いていると見え、晴れているところは、青空がとても綺麗だ。

日本列島の南では、巨大な台風10号が発生し、週末には九州に接近するとして気象庁は特別警報級の超大型台風に備えるよう異例の呼びかけをした。

今年は海水温が過去に例を見ないほと高く、巨大台風の当たり年になりそうだ。

でも、朝から天気が気になったのは、台風が気になったせいではない。

今日はハローワークに出頭する日。

自転車で行くのに雨が降るかどうかが気になったのだ。

6月に会社を辞め、失業給付を受けるためには、月に一回、ハローワークに顔を出して失業認定を受ける手続きがある。

指定された時間は9時半なので、9時すぎに家を出ようと思っていたら空模様が徐々に怪しくなってきた。

少し早めに家を出たのだが、案の定、ちょうど雨が降り始めた。

リュックを背負った上に雨合羽を羽織り、自転車を漕ぐ。

雨は一瞬ザーッと降ったと思ったらすぐに上がり、今度は強い日差しが降り注いだ。

暑い!

雨合羽を脱いで走り出すと、また雨が降り出す。

仕方なく再び雨合羽を羽織ると、またまた雨が上がって暑くなった。

わずか10分ほどの移動なのに、雨合羽を着たり脱いだりしているうちに、三鷹のハローワークに着いていた。

上空には真っ青な空が広がっていた。

本当に変な天気。

雨雲に遊ばれているようだ。

ハローワークも今回が3回目なので、勝手知ったるなんとかである。

総合案内に寄ることもなく2階に上がり、20番の窓口で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出する。

今日はなぜか、8月に比べて待っている人数が少ない。

そのため10分も待たないうちに名前を呼ばれ、今日の手続きはあっけなく終了した。

職員の人からは、「後日20万円ほどが口座に振り込まれる」と伝えられた。

先月は期間が日数が短かったので14万円ほどだったが、どうやら毎月20万円というのが私の受給額のようだ。

確か受給期間は150日と書いてあったので、5ヶ月ぐらいもらえると約100万円になる。

まあ、38年間にわたって毎月毎月多額の雇用保険料を納めてきたのだから仕事を失ったらもらうのが当然の権利なのだが、やはり収入が途絶えた後にもらえるお金は嬉しいものだ。

この失業給付を受けられるのは64歳まで。

もし65歳まで会社に勤めていたとしたら、ずっと雇用保険を払ってきたのに失業給付を受けることはできなかったわけで、そう考えるとちょっと得した気にもなってくる。

ちなみに、失業給付を受けるための条件は、当たり前のことながら「失業」の状態にあることが求められる。

大切なのは「失業」の定義であり、「しおり」にはこう書かれている。

『ここにいう失業とは、「積極的に就職しようとする気持ち」と「いつでも就職できる能力(環境・健康状態)」があり、「積極的に就職活動を行っているにもかかわらず、職業に就くことができない状態」にあることをいいます。』

私の場合には、「積極的に就職しようとする気持ち」も「積極的に就職活動を行っているにもかかわらず」という点が微妙である。

それでもコロナの影響もあって、今はハローワークのサイトで求人情報をチェックするだけでも就職活動とみなされるので、提出する書類に不備さえなければ特段詮索されることもなく、数ヶ月の間、失業給付を受けることができるのだ。

新型コロナの影響で職を失う人も多く、先日発表された7月の完全失業率は2.9%と前月よりもわずかに上昇し、有効求人倍率は1.08倍、7ヶ月連続の低下で2014年4月以来の低い水準となったそうだ。

この数字の中に私も含まれていると思うと、生活に困窮している方々に対して、いささか申し訳ない気持ちにもなってしまう。

ということで、失業給付をもらうために、私も時々「ハローワークインターネットサービス」という求人サイトを見るようになったのだが、そこに掲載されている求人情報を眺めているといくつか面白いことにも気づく。

私の場合は「パート」の仕事を検索するのだが、まず感じたのは予想した以上に「年齢不問」という求人が多いということ。

そして、介護、清掃、警備といった特定の職種がやたらに目に付くということだ。

若い人の求人は民間の就職サイトに出ていて、ハローワークには年齢不問の不人気な仕事が回ってくるということかもしれない。

私の場合は正社員に興味がなく、遠くまで行く気もないので、自分が住む武蔵野市に限定してパートの求人を見るのだが、意外なほど店舗や飲食店の求人がなくて、とにかく介護関連の求人が目立つ。

介護の仕事はどう考えても大変だが、その割に時給は高くない。

これでは人材が集まらないのも無理はないだろう。

日本のような超高齢化社会では、介護の仕事を担ってくれる人たちにもっと大切に扱い、もっと高い給料が支払われる仕組みが必要だ。

介護関連の膨大な求人情報を眺めながらそんなことを感じた。

そんなハローワークのサイトの中にも、ちょっと興味をそそられる仕事もある。

たとえば、こちら・・・「らかんスタジオ」の撮影補佐のお仕事。

「らかんスタジオ」は吉祥寺で大正時代から営業している老舗の写真館だ。

ここでバイトしながら、カメラの知識を本格的に身につけられれば今後の活動にいろいろ役に立つかもしれない。

もし私が何か仕事をするとしたら、もはやお金のためじゃない。

自分のスキルアップになるか、地域に貢献できるそんな仕事だったら、試しにやってみるのも面白いかもしれない。

もちろん、フルタイムで拘束されるのはゴメンだ。

理想的なのは短期のアルバイトだが、そういう仕事はほとんど見つからない。

あと数ヶ月は失業給付が受けられそうなので、それが終わってからゆっくり考えてみよう。

ハローワークから帰る際、出口近くに新着の求人情報が掲出されているのが目に止まった。

興味本位で眺めると、その中に「武蔵野赤十字病院」の求人があった。

職種は「検査部受付パート業務員」、業務内容としては「検体受付及び周辺業務」と書かれていた。

武蔵野赤十字病院はコロナ患者をかなり受け入れている総合病院である。

「ひょっとするとPCR検査のお手伝いか?」と反射的に思った。

「PCR検査のお手伝いならやってみようかな」と一瞬考える。

でも次に瞬間、「岡山にいる高齢者の面倒をみないといけない立場なので、コロナの感染リスクを高めるわけにはいかない」と思い直す。

まずは今、自分がやらなければならないことを優先して仕事を探そうとすると、なかなか条件に当てはまる仕事というのは見つからないものだ。

家に帰り、再び空を眺める。

天気は目まぐるしく移り変わり、都心の方では激しい雨が降っているようだ。

しばらくして外を見ると、今度は気持ちの良さそうな青空が広がっていた。

そして、午後・・・

突然強い南風とともに、激しい雨がベランダに吹きつけてきた。

9月に入り、いよいよ本格的な台風シーズンの到来なのだ。

目まぐるしい天気の移り変わりを眺めながら、私は漠然と人生を想う。

今ののんびりとして生活は、一体いつまで続くのだろうか?

介護という名の台風は、いつ我が家に上陸してくるのだろう?

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