今回の帰省も残すところ2日ほどとなった。
やろうと思っていた仕事はだいたい片付き、今朝はフィルムが破れたブドウ棚の補修などをして過ごす。

ビニール製の農業用トンネルに張られた透明なフィルムはすでに経年劣化していてあちこち破れてしまっている。
80代のおばあさんが一人でこの棚を直すのは至難の業で、本来なら定期的に張り替えるべきフィルムを騙し騙し使っていたのだろう。
でもこのタイミングで穴を補修するのはやめた。
というのも、金網で組まれた骨組みが歪んで、本来半円状であるべきものが平べったくなってしまっている。
そのため、雨が降るとフィルムのところどころに雨水がたまる。
その重みでますますフィルムがたわみ、水溜りが大きくなる悪循環になっているのだ。

それを多少解消するために骨組みを歪みを針金を使って補正することにした。
骨組みの両端の針金を内側に引き寄せて固定することで、天井が上がり元の半円状に近い姿に戻るのだ。
これで少しは雨対策になるかもしれない。
大きな穴が開いた部分は破れたビニールを丁寧に引っ張って洗濯バサミで止め、可能な限り穴を小さくするように補修した。
それでも場所によって雨が侵入するが、これもある意味で実験である。
雨が吹き込む部分のブドウがどんな成長を遂げるのか?
未知の体験ばかりなので、全てが来年以降の教訓となるだろう。

そんな感じでブドウと格闘していると、何やら動くものがいた。
小さなアマガエルだ。
都会ではほとんど見ることはない。

スマホを取り出して写真を撮ってもすぐに逃げずにくるりと向きを変えた。
なかなか愛嬌がある。
雑草や剪定した枝などを捨てるゴミ捨て場に使っている家から一番離れた畑に行くと、すぐ脇のため池にカルガモがいた。
この池ではいつも亀たちが日光浴をしていて、私が行くとバタバタと水中に身を隠す。

畑に行けば、成長したエダマメの葉や茎にびっしりと小さな虫がついているのを見つけた。
なんじゃ、こりゃ!
エダマメにつく虫について調べてみると、いろいろな害虫の中にそっくりな奴を見つけた。

この小さな丸っこい虫は、どうやら「マルカメムシ」というらしい。
マルカメムシ Megacopta punctatissimum はマルカメムシ科に属するカメムシの1種。この科のものはカメムシ一般と異なってとても丸っこい形をしており、本種は日本ではそのもっとも普通な種である。
農業害虫としてはダイズ、アズキなどのマメ科の農作物に付くほか、時にイネの穂に群れることがある。基本的には幼虫、成虫共に果実には付かず、茎や葉柄から汁を吸うもので、極端な高密度にならない限りは減収などを引き起こさないと見られている。
出典:ウィキペディア

「極端な高密度」というのがどの程度を言うのかわからないので、とりあえず退散願いたいと思いモモの害虫対策として購入していた家庭用の殺虫スプレーをエダマメに散布してみた。
どれほど効果があるかはわからないが、せっかく育っているエダマメがこの小さな虫のために台無しになったのではあまりに悲しい。

エダマメと同じ畑で栽培しているサツマイモにも異変が生じた。
何者かがサツマイモの葉を食べてしまったのだ。
犯人の姿は捉えられなかったが、サツマイモの葉を食べる虫として「ハスモンヨトウ」という蛾の幼虫が有名だという。

食葉性の農業害虫であり、野菜・果樹・花卉・タバコ・綿など幅広い種類の作物に被害をもたらす。特に、ほかの昆虫があまり食べないシソの葉も好んで食害する。日中は土の中に潜み、主に夜間に食害する。日本では1950年代後半より増加し始め、現在では関東・中部以南で発生が見られる。耐寒性が低く、北日本での被害は比較的少ない。例年では6月頃より被害が出始め、8月~10月頃にピークを迎える。日中は地表に現れないこと、中齢以降の幼虫は殺虫剤に対する感受性が低いことから、防除は難しい。
出典:ウィキペディア
なるほど日中は土の中に潜んでいるなら、犯人の姿を見つけられなかったのも無理はない。
被害のピークは8〜10月で防除が難しいとなると、この畑のサツマイモはもうダメかもしれない。

それでもエダマメと同じ殺虫剤を、残ったサツマイモの葉にもかけておいた。
果たして効果があるかどうか、あとは生命力の強いサツマイモに頑張ってもらうほかはない。

家に帰ると、ツバメたちがいつも軒先の電線に止まっている。
どうしてもこの家に巣を作りたいらしく、忙しそうに庭を飛び回るのだ。
先月は、玄関先に巣を作ろうとするツバメと私が格闘したが、今月は妻がツバメと戦っている。
玄関先の候補地にはエアコンのホースが設置され巣が作りにくくなったのか、今月は門の内側に巣の候補地を変更したらしく、数羽のツバメが代わる代わる門を出入りしてなんとか巣を作ろうと試みている。
私は「門ならいいんじゃない。好きにさせてあげれば」と言うのだが、妻はどうしても門の掃除をするのが嫌らしく、ツバメが巣を作り始めるとすぐに箒でせっせと取り除く。
だから、ツバメたちは妻の姿を見るとけたたましく鳴き声をあげ、仲間に危険を知らせるのだ。

都会にいると人間様中心に世界は回っているように感じるが、こうして田舎暮らしをしていると私たちの周りにはいかに多様な生き物が暮らしているのかを嫌でも思い知らされる。
そろそろ蜂も飛び始めた。
家の中にも蜘蛛やムカデが出現することもある。
ホームセンターには実に多種多様な殺虫剤が売られているように、人間様の快適な暮らしを守り抜こうと神経質になればなるほど、ちょっとした隙間から入り込む虫たちに悩まされてしまうのだ。
夏になれば虫が出るのは当たり前。
それこそが本来の自然のメカニズムなんだと思って鷹揚に構えることが、田舎暮らしを楽しむためには不可欠なのだろう。