38年間勤めた会社を6月末で辞め、1ヶ月が経った。
この1ヶ月が早いのか遅いのか、自分でもよくわからない。
でも、確実に言えるのは、いい辞め時だったということだ。
まったく後悔はない。
今年の7月はずっと雨が降ったり止んだりしていた気がする。
東京の梅雨入りはいつだったかと、ブログを読み返しているとなんと6月12日。会社を辞める準備を進めていた頃だった。
あれから1ヶ月半、まだ梅雨が明けないまま7月が終わろうとしている。
1ヶ月が経って、会社を辞めた直後の高揚感は失われたが、穏やかな日々の中で自分なりのルーティーンというものが少しずつ出来上がってきている。
たとえば・・・
- 吉祥寺の飲食店でテイクアウトのランチを探す
- 気が向いた時に井の頭公園を走ったり歩いたり
- 吉祥寺に関する本を読んだり、街を知るために自転車で回る
- 世界恐慌から戦争に突入していった100年前の歴史を調べる
- ラジオアプリでいろいろな英会話番組を聞く
- ラジオアプリで小説の朗読を聴いたり漢詩を聴いたり
- 気になるテレビ番組を片っ端から録画して気が向いた時に観る
- ユーチューブを見ながらヨガをする
- インターネットで好きな音楽を聴く
- 月に一回のペースで岡山に帰省、親の見守りと月一農業
- 山梨の農家など応援したい人たちのために活動する
こんなことをしているだけで、1日はあっという間に過ぎていく。
でも、もし会社勤めを続けていたら、朝の満員電車に乗って会社に行ってもワクワクするような仕事もなく、それでも会議や雑務で会社にいなければならず、後輩たちから白い目で見られる。
そんな状況を想像すると、コロナ禍での身の処し方として今の生活は悪くなかったと思う。
そんな生活の中で、今お気に入りな場所が「井の頭自然文化園」である。
上のシカの写真。
これだけ見ると「一体どこ?」と思うような自然がここには残っている。
年間パスを買ったので、井の頭公園のジョギングルートに自然文化園も組み入れて、ちょくちょくお邪魔するようになった。
自然文化園に行くと私が必ず見に行くのは、イノシシである。
雨が降ってぬかるむ泥の中に鼻先を突っ込み、一生懸命エサを漁っている姿には貪欲さと生命力を感じる。
イノシシを見にくる親子連れはほとんどいないので、人との距離を気にすることもなく静かに過ごすことができる。
イノシシの近くには、タンチョウヅルもいる。
普段は人間から見えにくい奥の方にいることが多いのだが、雨が降った平日には歩道のすぐ近くを悠然と歩いていた。
こうした動物たちについて、私が持っている知識は非常に乏しい。
いずれ、自然文化園の人と知り合いになって、一つ一つの動物についてちゃんと調べて、来園する人のために役立つ情報を描いてみたいなんてことも思ったりする。
そんな小さな動物園で、私が衝撃を覚えたのはこの「ニホンキジ」である。
この羽根の色使い。
赤といい青といい緑といい茶色といいグレーといい、どれ一つとっても単純な色はなく、まるで歌舞伎俳優たちの衣装のようだ。
日本人の伝統的な色彩感覚は世界的に見ても突出して優れていると私は思っているのだが、それは日本列島の持つ多彩な自然によって育まれたものだということを、このキジは教えてくれているように感じる。
色鮮やかなのがオスで地味なのがメス。
でも、狭い檻の中で鳥たちは静かに暮らしている。
ニホンキジだけではなく、様々な野鳥が飼育されているこのヤマドリ舎、野鳥の森、和鳥舎のエリアは、来る人も少なく私のお気に入りの場所だ。
木陰に座って耳を澄ますと、鳥たちのさえずりが聴こえる。
吉祥寺にいるとは思えない秘密の楽園である。
夕暮れ時、ベランダでラジオを聴いていると、突然頭上で多くの鳥たちが乱舞したことがあった。
よく見ると、小さな鳥たちの中に何羽か大きな鳥の姿が見えた。
都会のオアシス井の頭公園で、こんな野生の営みが繰り広げられていたことに私はこれまで気がついていなかった。
時間があるからこそ気づけることがある。
明日からも、そんな新たな発見をしながら生きていこうと思っている。