<吉祥寺残日録>シニアのテレビ📺 NHK高校講座「地学基礎〜太陽系の広がりと地球」 #210622

テレビ局を退職後、本当に役に立つテレビ番組を探して、これまで一度も見たことがなかった番組も意識的に見るようになった。

そんなテレビ番組の一つがEテレで放送されている「NHK高校講座」である。

高校時代に教わって忘れてしまった知識だけでなく、私たちの世代が学校で習ったことのない新しい知識を分かりやすく習得することができる。

様々な教科がある中で私のお気に入りは「地学基礎」だ。

以前地球温暖化問題に関し、この番組で仕入れた大気の構成や熱収支についてこのブログでも書いた。

今回衝撃を受けたのは太陽系に関する最新の情報。

「水金地火木土天海冥」という私たちの習った太陽系惑星の知識はすでに時代遅れになっていることを知った。

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6月9日に放送された「太陽系の広がりと地球」という回の冒頭。

「太陽系の一番外側にある惑星は?」と聞かれた女の子が当然のように「海王星」と答える。

「え? 冥王星は?」と私は思う。

なんとこの40年の間に冥王星は惑星ではなくなったと言うのだ。

では番組の中から、その説明を・・・

太陽系には太陽から最も遠い惑星、海王星よりさらに大きな軌道で太陽の周りを回っている冥王星という天体があります。

冥王星は第9番目の惑星として親しまれていましたが、2006年からは準惑星に分類されるようになりました。
発見された当時は水星と同じくらいの大きさだと考えられていましたが、実際はもっと小さいということが分かりました。さらに海王星の外側にある天体が続々と見つかり出して、そのなかには冥王星よりも大きい天体があることが分かりました。
冥王星はほかの惑星よりもかなり小さく、しかも同じような星がたくさんあるため、惑星ではなく準惑星というグループに入ることになったのです。

「NHK高校講座 地学基礎」より

冥王星は2006年に「準惑星」に格下げになった。

こんなニュース、あったっけ?

まったく記憶にない。

そして・・・

海王星の軌道の外側にある準惑星や小惑星のことを「太陽系外縁天体(たいようけいがいえんてんたい)」と呼んでいます。
太陽系外縁天体は、太陽系が誕生する時にできた微惑星の名残なのではないかと考えられています。

冥王星と同じように氷でできた太陽系外縁天体は、現在約2500個確認されていますが、実際には10万個くらいはあると予想されています。

冥王星の軌道付近の領域は、「そこにたくさんの天体が集まっている」という仮説を立てた2人の天文学者の名前をとって、「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれています。

また、太陽系の天体には彗星も含まれます。太陽系はエッジワース・カイパーベルトよりさらに外側に広がっているのです。

「NHK高校講座 地学基礎」より

「太陽系外縁天体」? 「エッジワース・カイパーベルト」?

米中の宇宙開発競争が激化するこれからの世界を見る上で、宇宙についての私の知識をブラッシュアップする必要を強く感じた。

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続いて番組で提起されるのは、「太陽系の果てはどこか?」という問いだった。

私たちの世代が習った知識では、冥王星が太陽系の果てというイメージだったが、エッジワース・カイパーベルトの外側にもまだ太陽系は広がっていることがわかったきたという。

楕円軌道をもつ彗星のうち、公転周期が200年以内のものはエッジワース・カイパーベルト付近からやってきます。
そして、公転周期が200年以上のものは、さらに遠い「オールトの雲」という領域からやって来ると考えられています。

「NHK高校講座 地学基礎」より

最も有名な「ハレー彗星」は海王星か冥王星の軌道あたりまで離れると再び太陽に近づいてくる。

しかし、太陽系はさらに外側に広がると考えられ、この「オールトの雲」と名付けられた天体が太陽系の果てと考えられるようになった。

太陽から「オールトの雲」までの距離は、太陽から地球までの距離の約1万倍、約10分の1光年。

ただ番組では触れられていないが、「オールトの雲」は1950年オランダの天文学者ヤン・オールトが提唱したが、今も観測的に確認されたわけではなく、あくまで理論的な天体なのだそうだ。

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1週間前の6月2日の放送では、「太陽の活動と地球への影響」というテーマでより身近な太陽が取り上げられた。

番組の冒頭は、「なぜオーロラが見えるのか?」という問いから始まった。

オーロラが見られる条件は、高緯度・晴天・開けた視界のほかに太陽の活動が影響する。

太陽は常に同じ状態を保っているわけではありません。
黒点、フレア、プロミネンス、コロナなど、さまざまに変化していて、これらを称して「太陽の活動」といいます。

黒点は、磁力線が集まって太陽の表面をつき抜けたところに見られ、常に形や数が変化しています。

多くの天文学者たちによって観測が行われてきた結果、黒点の数と太陽の活動に関係があるということが分かっています。

「NHK高校講座 地学基礎」より

画像は、太陽の黒点の数の変化を表したグラフで、規則正しい間隔で増減を繰り返していることが分かります。太陽の黒点の数は約11年周期で増減を繰り返しています。
太陽の活動が活発になって、黒点の数がもっとも多くなる時期のことを「黒点極大期」、反対に太陽の活動が低下して黒点の数がもっとも少なくなる時期を「黒点極小期」といいます。

「NHK高校講座 地学基礎」より

黒点の数の変化を長期間 記録したグラフです。
1645年から1715年までの期間は、太陽の黒点の数が極端に少なくなった時期で、これを発見した研究者の名前にちなんで「マウンダー極小期」と呼ばれています。

黒点の数が少ないということは、太陽の活動が活発でないということを意味します。
マウンダー極小期には、世界中が寒冷な気候になりました。そのため、作物が不作になり、飢餓で多くの人が命を落としています。
日本でも江戸時代の前期、2度の深刻な飢饉に襲われています。

太陽黒点の数と地球の気候変動に、何かしらの関係があることは分かっていますが、そのメカニズムはまだ解明されていません。

「NHK高校講座 地学基礎」より

太陽の活動の11年周期というのが気になって、今がどの段階にあるのかを調べてみた。

そしてわかったのは、2019年12月に「第24太陽周期(サイクル24)」が終了し、現在は「第25太陽周期(サイクル25)」に入ったところだということだ。

「第24太陽周期」はこの100年で最も活動が弱く、サイクル25も24と同じ程度のピークになるのではないかと予想されているという。

1980年頃のサイクル21以降、極大期での黒点数が減少しているのは気になるところだが、17世紀の「マウンダー極小期」にはならないだろうというのが専門家の見方だ。

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番組は次に太陽フレアと太陽風、磁気嵐の話に進む。

太陽は磁場を持っており、磁場の変化は、さまざまな太陽の活動として現れます。
そのひとつが、「フレア」という爆発現象です。
フレアが発生すると、コロナと光球の境にある彩層が急激に明るくなり、その際に強力なⅩ線が放出されます

放出されるのは、Ⅹ線のような電磁波だけではなく、太陽風」も噴き出します。
太陽風の正体は、主にプラスの電気を帯びた水素原子核(陽子)と、マイナスの電気を帯びた電子です。このように分子が陽子と電子に分かれ、バラバラになったイオン状態の粒子をプラズマといいます。
フレアが発生すると、膨大なプラズマが太陽風となって、秒速 数百kmの速さで太陽系全体に広がっていくのです。

「NHK高校講座 地学基礎」より

太陽からのプラズマをまともに受けると人間は生きてはいられない。

しかしこの太陽風を遮ってくれているのが地球の磁気圏と大気だ。

地球は大きな磁石のような性質があります。宇宙空間で地球の磁場が及ぶ範囲のことを「地球磁気圏」といい、太陽や宇宙空間からやってくるプラズマを防ぐバリアの役割をしています。

地球磁気圏は、太陽側では常に太陽風によって押しつぶされるため、磁場の密度が高くなります。

一方、反対側は尾のように引き延ばされることで不安定になり、磁場の密度も薄くなります。
太陽風が強まると、プラズマ粒子の一部が太陽の反対側から侵入します。
さらに磁力線に沿って加速し、磁極、つまり北極と南極に流れ込んでいくのです。

飛んできたプラズマの粒子は、大気中の酸素や窒素の原子にぶつかります。
すると電子の軌道が広がりますが、すぐに元へと戻ろうとします。
このときエネルギーが放出されることで、オーロラが生まれるのです。

「NHK高校講座 地学基礎」より

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オーロラは地球上で太陽から放出されたプラズマを直接目にできる貴重な現象なのだ。

私もパリ支局時代、スウェーデン北部でオーロラ観測をする日本人研究者の取材をしたことがある。

真夜中に氷点下の屋外でオーロラの撮影を試みた。

しかしあいにくその年は気温が高く、美しいオーロラを拝むことはできなかった。

その意味で、オーロラは私の残された人生における宿題ともなっている。

太陽活動のことをもっと理解してオーロラを眺めれば、地球環境のことももっと理解が進むだろう。

トランプさんが去り、地球温暖化対策が前に進むのはいいことだが、ペットボトルやレジ袋のことだけではなく、私たちはもっと地球や太陽の仕組みを知る必要がある。

そんなことをNHK高校講座を見ながら考えた。

<吉祥寺残日録>世界的な競争に入った地球温暖化対策!日本の新たな希望は「人工光合成」か? #210528

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