2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
ジブリ美術館前の庭で見つけたちょっと不思議な植物を2つ記録する。
「キブシ」と「シナフジ」だ。
「キブシ(木五倍子)」

ジブリ美術館のカラフルな建物をバックにぶら下がるちょっと不思議な花。
『キブシ』という低木の花だという。

枝ごとに暖簾のような黄色い花が垂れ下がる様子は、ジブリのアニメに登場してもいいような謎めいが印象を与える。
魔法の薬を作る材料にでもなりそうだ。

「キブシ」は日本固有の植物で、その独特の形状を人それぞれに形容する。
北国の軒端のつるし柿を連想する。フジの花にも似ているので、「黄藤」と書かれることもあるが、その果実を粉にしたのが付子(ヌルデの葉の虫こぶ)の代用品として黒色染料に使われるところからキブシの名が出たといわれる。
引用:横田正平「多摩の植物散歩」
「付子」は、「ヌルデ」というウルシ科の植物から取れる染料で、お歯黒などに使用されたものらしい。

お歯黒というのも謎めいた風習だが、古墳時代にはすでにお歯黒が確認されていて、明治時代に入った1870年に「お歯黒禁止令」が出されるまでは皇族・貴族の間ではまだお歯黒の習慣が続いていたという。
ジブリ美術館前にある「キブシ」の木。
そんな「お歯黒」の歴史を知るきっかけにもなる不思議な樹木だ。
花言葉は「出会い」と「嘘」、ただものではなさそうだ。
「キブシ」 分類:キブシ科キブシ属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:3〜5月 実がなる時期:9〜10月
「シナフジ(支那藤)」

「キブシ」の木があるジブリ美術館前の庭園でもう一つ不思議な植物を見つけた。
まるで蛇の頭のようなこれは何だ?
植物識別アプリ『Picture This』をかざしてみると、『シナフジ』と表示された。
これは花なのか、蕾なのか・・・。

草むらからウネウネと伸びた細い枝の先にいくつもの「蛇の頭」がついている。
『Picture This』の説明を見ると・・・
シナフジ(支那藤)は春に香りの良い花を咲かせるフジの一種です。花を立派につけるようになるまで最大20年かかります。非常に寿命が長く、樹齢1000年の老木もあると言われます。日本へは原産地の中国から昭和初期に伝わりました。
出典:「Picture This」

ネットで調べると、この蛇の頭のようなのは花の蕾で、この後鮮やかなフジの花が咲くようだ。
「フジ」というと私はたくさんの花がぶら下がった藤棚しか見たことがなかったが、日本で普通に見る「フジ」の蕾もやはりこのような蛇の頭みたいなものらしい。

この「シナフジ」もジブリの世界に登場しそうな不思議な風情がある。
果たしてどんな花を咲かせてくれるのか、その変化はぜひ見守ってみたい。
フジの花言葉は「歓迎」、果たしてどんな歓迎をしてくれるのだろう?
《追記》
4月9日、「シナフジ」の見事な花が咲いていた。

「シナフジ」 分類:マメ科フジ属 特徴:落葉つる性樹 花が咲く時期:4〜6月 実のなる時期:8〜10月
井の頭公園の「キブシ」&「シナフジ」はここ!

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