2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
9月に入り雨の日が続いたこともあり、今回目に止まったのは菌類、かわいいキノコを記録しようと思う。
しかし、私が使っている植物識別アプリ「Picture This」はキノコには弱いようで、正確な名前は特定できていない。
ネット上の写真と見比べながら私が独断で判定した「クヌギタケ」と「ヒイロタケ」を記録する。
「ハナオチバタケ(花落葉茸)」

玉川上水沿いの「小鳥の森」周辺で見つけた小さなキノコ。
ジブリ作品に登場しそうな愛らしい姿に思わずしゃがみ込んで写真を撮った。
植物識別アプリ「Picture This」で調べてみると「クヌギタケ科」と表示された。

家に帰ってネットで調べると「クヌギタケ科」には実にたくさんの種類がある。
「クヌギタケ」として出てくる写真と比べると、形は似ているが色がもっと白いようだ。
どうやら別のキノコのようだが、私が目撃したキノコとそっくりな写真はなかなか見つからない。
オレンジ色っぽい似たクヌギタケの仲間としては、「ベニカノアシタケ」や「チシオタケ」などがあるが、やはり違うようである。
いろいろ調べていくうちに、「ハナオチバタケ」というキノコに行き着いた。
我が家からさほど遠くない野川公園のオフィシャルブログにこの「ハナオチバタケ」のことが写真付きで書かれていて、ほぼこれに間違いないだろうと判断した。

「ハナオチバタケ」は、クヌギタケ科ではなくホウライタケ科に属するという。
きわめて小型なキノコであり、傘は直径0.8~1.5 cm、初めは鐘形~まんじゅう形で後に円錐状丸山形からやや平らに開き、中央部には小さな突起がある。淡紅色~紫紅色、黄土色、肉桂色など様々な色の個体があり、中央部は濃色、表面には放射状の溝が見られる。ヒダは直生または離生、数は少なく16~19本。柄は長さ3~6 cm、細長く針金状で上下同幅。柄表面は平滑、黒褐色で上部は白くなっている。肉はきわめて薄く、皮質であり、食用には不向きとされる。水分が非常に少ないため押し花にすることができる。
出典:ウィキペディア
この小さなキノコは落ち葉を分解して生きているそうで、「森のお掃除役」とも呼ばれているという。
「ハナオチバタケ」 分類:ホウライタケ科ホウライタケ属 特徴:菌類 季節:初夏〜秋
井の頭公園の「ハナオチバタケ」はここ!

「ヒイロタケ(緋色茸)」

伐採されたまま公園内に置かれている枯れ木や切り株には、この季節たくさんのキノコが生えているが、その中でもどぎつい色で目を引くのがこちらのキノコ。
「Picture This」で調べると「サルノコシカケ科」と出る。
ただ、私が見知っているサルノコシカケとは色も大きさも随分違う。

そこでサルノコシカケの仲間を調べてみると、この色のキノコが出ていた。
「ヒイロタケ」、まさに「緋色」のキノコである。
南方系のキノコで、日本国内では本州、四国、九州の平地に広く見られる。国外では中国、東南アジア、オーストラリアなどに分布する。白色腐朽菌の一種で、主に広葉樹の枯れ木に重生するが、カワラタケのように密生することはない。その名のとおり全体が鮮やかな緋色~朱紅色のキノコであり、傘は半円形~円形、幅は3~10 cm。傘表面は無毛、平滑で、不明瞭な環紋がある。風雨にさらされると表面の鮮やかな色は退色し、灰色となる。
出典:ウィキペディア
確かにサルノコシカケの仲間ではあるが、漢方薬としての効能はなく、その代わり「きのこ染」の材料として使われるという。

キノコ栽培の大手「ホクト」のサイトには、この「きのこ染め」について書いてあった。
このヒイロタケ、「きのこ染め」の原料として使用されているのです。
引用:ホクト「きこのアルバム」
きのこ染めとは、草木染のように、きのこを煮出した汁で糸や布を染める技術。
ヒイロタケの学名「coccineus」には「真っ赤な、深紅色の」という意味があり、その鮮やかな色が特徴のきのこなのですが、ヒイロタケできのこ染めを行うとしっかりと黄土色~オレンジ色に染まるそうです。
きのこ自身が作り出した色素で染め上げるというのはなんだかロマンを感じます。
確かにこの鮮やかな朱色、昔の人には絵の具のように見えたことだろう。
「ヒイロタケ」 分類:タマチョレイタケ科シュタケ属 特徴:菌類 季節:初夏〜秋
井の頭公園の「ヒイロタケ」はここ!

井の頭公園の植物2021
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