2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
夏草に覆われるこの季節にちょっと派手目の花を咲かせる2つの植物について書いておきたい。
名前は正確ではないが、「ノカンゾウ」と「コウホネ」ではないかと思う。
「ノカンゾウ(野萱草)」

御殿山の山野草エリアでこの時期に咲いているユリに似た橙色の花。
植物識別アプリ「Picture This」で調べると「ヤブカンゾウ」と表示された。
しかしネットで「ヤブカンゾウ」を調べると、もう少し花弁がゴテゴテした八重咲きの花の写真が並んでいた。

むしろ同じ仲間である一重の「ノカンゾウ」に似ていると私は判断した。
「ノカンゾウ」は日本列島に広く分布した植物で、田んぼの畦道など湿った場所に自生していた。
花は早朝に開き、夕方には閉じる1日花で、4月ごろこの山野草エリアに咲く「ムサシノキスゲ」と同じワスレグサ属の植物である。

アクがほとんどなく、甘みがあってシャキシャキした歯ごたえとヌメリが特徴の山菜として、昔から日本人の食卓に季節の味として登場したそうだ。
春には若芽をおひたしや酢味噌和えに、初夏には蕾も食用とされた。

中国でも「ノカンゾウ」の蕾は「金針菜」と呼ばれる季節の食材で、炒め物などに使われるそうだ。
この蕾には解熱作用があり、根や葉には利尿作用もあるという。
今では花は鑑賞するものだが、昔は食べられるか食べられないかの方が重要だったのだろう。
花言葉は「悲しみを忘れる」。
「ノカンゾウ」 分類:ススキノキ科ワスレグサ属 特徴:多年草 花が咲く時期:7〜8月
井の頭公園の「ノカンゾウ」はここ!

「コウホネ(河骨)」

「井の頭池」の東端、通称「ひょうたん池」に黄色い花が咲いているのを見つけたのはもう1ヶ月ぐらい前だろうか?
池の中なので近づけないが、「Picture This」アプリをかざすと「セイヨウコウホネ」と表示された。
「セイヨウコウホネ」は北アフリカから西アジア原産の水生植物だが、花は似ているものの葉の様子が違う気がする。

調べてみると、どうも日本に昔から分布している「コウホネ」だろうと私は判断した。
「コウホネ(河骨)」という和名の由来は、ワサビ状の白い地下茎が白骨のように見えることから「河の骨」の意でこの名がついたという説などいろいろあるらしい。

水中から飛び出した花柄の先端に黄色いカップのような花を1つだけつける。
5枚の花びらのように見えるのは萼片で、その中に雄しべが変形した花弁が多数、中央の雄しべを取り囲んでいる。
よく見ると、ちょっと変わった花である。

漢方薬の原料としても使われてきた。
池沼の泥中にある肥大した根茎を掘り上げて、細根を切り捨て、根茎を縦割りにして天日乾燥もしくは火力乾燥したものは川骨(センコツ)と言い、日本薬局方に収録された生薬である。漢方では鎮咳、去痰、利尿、消炎、強壮の作用があるとされ、調栄湯(ちょうえいとう)、治打撲一方(ちだぼくいっぽう)という解熱、鎮痛を目的とした漢方方剤に配合される
出典:ウィキペディア
蓮の花を見かけない井の頭公園では、最も目につく水生植物かもしれない。
花言葉は「崇高」「秘められた愛情」。
「コウホネ」 分類:スイレン科コウホネ属 特徴:多年性水生植物 花が咲く時期:6〜10月
井の頭公園の「コウホネ」はここ!

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