2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
ジブリ美術館近くに植えられた箱根にまつわる2つの植物を記録したい。
「ヤマボウシ」と「ハコネウツギ」の2種、ついでに近くにあった「マルバウツギ」も一緒に・・・。
「ヤマボウシ(山法師)」

ジブリ美術館前の花壇に植えられた樹木に、「ヤマボウシ」という名札がかけられている。
あまり特徴のない樹木だなと思ってあまり気にもしていなかったのだが、今日初めて花が咲いているのに気づいた。

茂った葉っぱの上に白い花を咲かせているので、地上からはよく見えなかったのだ。
「ヤマボウシ」はミズキ属の小高木で、日本各地に植えられている「ハナミズキ」とよく似ている。
それもそのはず、「ハナミズキ」は「セイヨウヤマボウシ」とも呼ばれ、「ヤマボウシ亜種」に分類される近縁種なのだ。

正確に言うと「ハナミズキ」同様、白い4枚の花びらのようなものは「総苞」と呼ばれる葉っぱであり、その中央にある小さな塊が花である。
「ヤマボウシ」と「ハナミズキ」の見分け方は、「ヤマボウシ」の「花びら」が尖っているのに対し、「ハナミズキ」の方は桜のように丸みがあり先が少し割れている。
花が咲く時期も「ハナミズキ」の方が1ヶ月ほど早い。
また「ハナミズキ」が葉より先に花が咲くのに対し、「ヤマボウシ」は葉が先に茂るので地上から見えにくい。
そして、「ハナミズキ」は外来種だが、「ヤマボウシ」の方は日本の山地に普通に生えている在来の種なのだ。

実は井の頭公園の中には、この「ヤマボウシ」の並木があることを知った。
野球グランドの北側の遊歩道沿いである。

ここには10本以上の「ヤマボウシ」が並んでいて、今一斉に「花」を咲かせている。
ジブリ美術館前とは比べ物にならないほどの花の数で、離れて見ると、樹木全体に白い雪が積もったようで美しい。
私個人は「ハナミズキ」は見飽きてしまったので、断然「ヤマボウシ」の方が好きだ。
花言葉は「友情」。
「ヤマボウシ」 分類:ミズキ科ミズキ属 特徴:落葉広葉樹・小高木 花が咲く時期:5〜7月 実のなる時期:9〜10月
井の頭公園の「ヤマボウシ」はここ!

「ハコネウツギ(箱根空木)」

西園の「ヤマボウシ」の近くに白とピンクの花を同時に咲かせている低木を見つけた。
植物識別アプリ「Picture This」で調べてみると、「ハコネウツギ」という名が表示される。
スイカズラ科の落葉樹で日当たりの良い海岸付近や林の縁に見られる。特に箱根近辺に偏って分布するため命名されたが自生は少なく、かつて箱根辺りに植栽された種が野生化したと考えられている。
「~ウツギ(空木)」は幹が中空であることに由来しており、ウツギの仲間ではない。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

日本の固有種で、樹高は高くはならないが潮風に強いため、防潮用樹として海沿いの緑化などに植えられることが多いという。
特徴的なのはその花の色が変化することで・・・

最初、白い花が咲くが・・・やがて・・・

次第に赤っぽく変化していくのだという。
そのため同じ枝に白と赤の花が同居するちょっと不思議な状態が生まれるようだ。
紅白の花が咲く様子から「ゲンペイウツギ」とも呼ばれ、昔の人は紅白の花を源氏の白と平氏の赤になぞらえた。

4月にこのブログにも記録した「タニウツギ」の仲間だが、「タニウツギ」の花はピンク(または白)一色であり、色の変化によって「ハコネウツギ」を見分けることが可能だ。
花言葉は「移り気」。
「ハコネウツギ」 分類:スイカズラ科タニウツギ属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:5〜6月
井の頭公園の「ハコネウツギ」はここ!

「マルバウツギ(丸葉空木)」

ジブリ美術館前の「ヤマボウシ」の根元に、白い花が咲いているのを見つけた。
「Picture This」の診断によれば、これは「マルバウツギ」だという。
関東地方以西の本州、四国及び九州に分布する落葉低木。葉が明らかに丸いわけではないが、ウツギに比べると丸みがあることにちなんで命名された。日本で最も多く見られるウツギの一種であり、丈夫な性質を利用して垣根や防風林として使う例がある。
出典:庭木図鑑 植木ペディア

こちらも日本の固有種。
4月に見事な花を咲かせた「ヒメウツギ」よりも少し背丈が高く、やはり白い花が枝先に密集して咲く。
ただ「ヒメウツギ」ほど木全体を白くするほどの花ではないのであまり目立たない。

ジブリ美術館の近くには何本か植えられているので、見つけるなら花の季節が良さそうだ。
花言葉は「古風」。
「マルバウツギ」 分類:アジサイ科ウツギ属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:5月
井の頭公園の「マルバウツギ」はここ!

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