<吉祥寺ライフ>井の頭公園の植物【3月】「ミズキ」&新緑の主役たち②

2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。

季節外れの高温が続き、桜と新緑に彩られた「極楽」の井の頭公園を楽しんだ今年の3月だが、その最後に一歩遅れ3月末になってから若葉が芽吹いてきた樹木をまとめておきたい。

その中で、新顔となるのは「ミズキ」、私が魅了された美しい新緑である。

「ミズキ(水木)」

透き通る瑞々しい若葉。

これぞ葉っぱという形をしているが、これが「ミズキ」の新緑だ。

私が初めて「ミズキ」に気づいたのは1週間ほど前、西園のトレーニングエリア付近を歩いていた時だった。

枝にところどころ黄緑のリボンを結んだような若葉のつき方が私を惹きつけた。

「これって、何だろう?」

と、思ったが、その時には公園内にこんな樹木はほかになかった。

木の下に立って見上げると、空に無数の風車が回っているようにも見える。

後日、植物識別アプリ『Picture This』でこの葉っぱを撮影し、それが「ミズキ」という種類であることがわかった。

ただ、ある時は「パゴダ・ハナミズキ」と表示されることもあれば、「ヌマミズキ」と表示されることがある。

なるほどあの「ハナミズキ」の仲間なのだ。

でも、私は断然こちらの「ミズキ」が好きだ。

西園で初めてその存在に気づいてから、公園内のあちらこちらで「ミズキ」の葉を目撃するようになる。

「この葉っぱ、どこかで見たことがある」と思ったら、このサイト『吉祥寺@ブログ』のトップページに使っている葉っぱではないか・・・。

引っ越した年に何の植物かも知れずに撮影し、気に入ってトップページでずっと使っている葉っぱの写真はおそらく「ミズキ」だったのだろうと今になって気づく。

実は井の頭弁財天の正面にも立派な「ミズキ」の木があるのだが、なぜかこの木は新緑が遅く、この数日ようやく若葉がちらほら見えるようになった。

その木の根本には、名札が立っている。

『小枝の先は赤味をおびる。春先に枝を切ると水がしたたるところから名がついた』

「ミズキ」は根から水を吸い上げる力が強いらしく、そのため枝先から水がしたたる現象が起きるという。

人気の「ハナミズキ」がアメリカから贈られて日本にやってきたのに対し、「ミズキ」は日本や東アジアに広く分布しているそうだ。

一躍私のお気に入りの植物となった「ミズキ」。

「ハナミズキ」は同じミズキ科の植物なのだが、以前『井の頭公園の植物』シリーズでも登場した「トサミズキ」や「ヒュウガミズキ」はマンサク科の植物なのでちょっと紛らわしい。

<追記>

4月15日、「ミズキ」の葉の中心から蕾が伸びてきた。

「ミズキ」
分類:ミズキ科ミズキ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:5〜6月
実のなる時期:9〜10月

井の頭公園の「ミズキ」はここ!

「カツラ(桂)」

「ミズキ」と並んで、若葉がお気に入りとなったのが、こちら。

ハート型の丸い若葉が出てきたのは「カツラ」の木だ。

こうしてハート型が並ぶシルエットは可愛らしいのだが、難点は「カツラ」の木がデカいということだ。

下の方に枝があるものは少なく、大概はこのように・・・

大樹となり、葉っぱを間近で観察できない。

それでも、横に張り出した枝から真上に向かって小枝が伸びている様子も面白い。

ソメイヨシノに囲まれて、花見エリアのど真ん中にまっすぐ立ったこの大木も「カツラ」であるが・・・

井の頭弁財天の境内の裏に小さな木も「カツラ」である。

ハート型の葉っぱを目印に、井の頭公園のあちこちに点在する「カツラ」を探すのも、この季節楽しいかも知れない。

「カツラ」
分類:カツラ科カツラ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:3〜5月
実のなる時期:10〜11月

井の頭公園の「カツラ」はここ!

「トチノキ(橡)」

つい最近、もう一つ面白い若葉を見つけた。

まるで黄緑色のプロペラ。

これは「トチノキ」の大木から生えてきた。

「トチノキ」は井の頭池の南側に一本大きな木がある。

春先、枝の先端に大きな蕾ができていたのは確認したのだが、3月末になって突然その枝先に変化が見られた。

26日に撮影した時にはこんな感じ。

蕾が破れて、中から大きな新芽が飛び出してきていた。

それからわずか3日後・・・

その新芽からプロペラのような若葉が数枚伸びてきていた。

きっと、もう少し経つと普通の葉っぱになって面白味が消えてしまうのだろう。

植物も人間や動物同様、赤ちゃんの時が一番見ていて楽しいのかも知れない。

井の頭公園の「トチノキ」はまだここ以外に識別できていないので、プロペラの葉っぱを頼りに他の「トチノキ」も探してみたいと思っている。

<追記>

4月8日、「トチノキ」の葉が大きく開き始める。

日が当たると、大きな葉を光らせ、実に美しい。

まさに、パリの街路樹マロニエそのものだ。

「トチノキ」
分類:ムクロジ科トチノキ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:5〜6月
実のなる時期:10月

井の頭公園の「トチノキ」はここ!

「エノキ(榎)」

井の頭池の北側にある大木が以前から気になっていた。

「あの木は、何だろう?」と思いながら、確かめられないまま冬が終わった。

今月半ばごろから、この大木も新緑の季節を迎えた。

この大木に近づいてみると、ボートに当たりそうなほど池に向かって伸ばした枝の先に、黄緑色のモヤモヤがついている。

この正体は何だ?

クローズアップしてみると、若葉というよりも蕾のように見える。

春(4~5月)になると芽吹きと共に緑色の小さな花を咲かせるが、あまり目立たない。雌雄同株だが、花には雌雄(あるいは両性花)がある。雌花の後には球形のカラフルな実ができ、9~10月に熟す。直径は6~8ミリ程度で果皮には甘味があり、昔の子供はコレをおやつにした。

出典:庭木図鑑 植木ペディア

樹高が高いので、この黄緑色のモヤモヤを間近に見ることは難しいのだが、井の頭公園内に「エノキ」の新芽を間近で観察できる場所を見つけた。

それは井の頭公園の東の端にある「三角公園」。

神田川にかかる「夕やけ橋」の上に立つと、目の前に枝を伸ばしているのが「エノキ」だ。

あの黄緑色に見えたモヤモヤの正体はこれ!

やはり小さな蕾がたくさんついていて、中には若葉とともに開花しようとしているものもある。

桜が満開の時期にこんな地味で小さな花に興味を抱く人もほとんどいないとは思うが、私には面白い謎解きゲームのようだった。

<追記>

4月8日、芽吹きとともに小さな蕾をたくさんつけている。

「エノキ」
分類:アサ科エノキ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:4〜5月
実のなる時期:9〜10月

井の頭公園の「エノキ」はここ!

<吉祥寺ライフ>井の頭公園の植物【1月】「カツラ」&「サルノコシカケ」

井の頭公園の植物2021

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  27. 【3月】「ミズキ」&新緑の主役たち②

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