2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
3月に入って、公園のあちらこちらで春の息吹を感じることができるようになった。
いち早く花を咲かせる低木を2つを取り上げる。
「サンシュユ」と「アセビ」だ。
「サンシュユ(山茱萸)」

まだ枯れ木の目立つ公園の中で、いち早く、黄色い花をつける植物の一つが、この「サンシュユ」。
実に、地味な木である。

梅園の中にも何本か植えられている。
添えられたプレートには・・・
『早春、葉が開くより先に、黄色い小さな花がかたまって咲きます。昔中国からきた木で、赤い実は漢方薬に用いられます』
と、書いてある。

小さな花20〜30輪がまとまって咲くというので、このおしべのような一つ一つが花ということのようだ。
日本に伝わったのは江戸時代のようで・・・
享保7年(1722年)に薬用として輸入し、小石川御薬園(現小石川植物園)に植栽されたものが後に庭木として広まった。春一番に開花し、花色は鮮やかな黄色になることから「春小金花」との異名を持つ。
出典:「庭木図鑑 植木ペディア」

梅園の中には、樹高5メートルほどに成長したものもある。
低く剪定されているものが多いが、放っておくと5〜15mほどの高さになるそうだ。

秋には赤い実がなって、薬用酒の原料にもなるという。
秋に熟す鮮やかな赤い果実はビタミンCが豊富に含まれ、甘酸っぱい。漢方や民間療法では強壮の作用があり、冷え症、不眠、低血圧等に効果があるとされる。
薬用になるのは主に種(核)を取り除いた果肉の部分。サンシュユの漢字表記は山のグミを意味する「山茱萸」である。
出典:「庭木図鑑 植木ペディア」
秋には忘れず、赤い実をチェックすることにしよう。
ちなみに、「サンシュユ」の花言葉は「持続」「耐久」。
なんとなくわかる気がする。
「サンシュユ」 分類:ミズキ科ミズキ属 分類:落葉広葉樹・小高木 花が咲く時期:3〜5月 実がなる時期:10〜11月
井の頭公園の「サンシュユ」はここ!

「アセビ(馬酔木)」

公園案内所の目の前に、白い小さな花が鈴なりになっていた。
誰も見向きもしない。
私もこれまで何度もここを通ったが、気にしたこともない。
名札もついていないのでありふれた樹木なのだろうと思ったが、気になったので案内所の人に聞いてみた。

「ああ、アセビですね」とそのスタッフさんは何も調べずに教えてくれた。
アセビは万葉集にもその名が登場するほど古くから親しまれ、春に咲くスズランのような小花を観賞するため庭木として普及している。日本庭園において灯篭や庭石の傍に植えるのが最も似合うが、花も葉も明るめであり、洋風の庭にも違和感なく植栽できる。
出典:「庭木図鑑 植木ペディア」
「アセビ」は日本特産の植物で、スズランのような小さな花を昔から日本人は眺めてきたらしい。
奈良の春日大社、奈良公園、箱根、天城山にも「アセビ」が植えられているという。
私が引っかかったのも、あながち間違いではなかったようだ。

自生している「アセビ」は白い花が多いが、最近ではピンクの「アセビ」が人気らしい。
「ジブリ美術館」の入り口にもこのピンクの「アセビ」が植えられていた。

しかし、可愛らしい花の咲く「アセビ」だが、実は木全体に毒性があるという。
「馬酔木」という漢字名もそこから来ているのだ。
馬がアセビの枝葉を食べると呼吸中枢が侵され、酔ったように脚が不自由になることから「アシビ(足痺れ)」の別名があるという。アセビという名前も「悪し実(あしみ)」から転じたとする説もある。
アセビの葉、花、枝に呼吸中枢を神経を麻痺させる毒性(アセボトキシン/アセボチン/アセボクエルシトリン)があり、アセビの葉を誤食すると嘔吐や痙攣といった症状が起き、花で作った蜂蜜で中毒を起こした例もある。
出典:「庭木図鑑 植木ペディア」
自然の毒というのも、考えようによっては「ジブリ」っぽいとも言えそうだ。

しかし、いったん気にするようになると、道端の至るところに「アセビ」が植えられていることに気づく。
アセビの落ち葉には他の植物の成長を抑制する物質が含まれており、アセビの下では他の植物が育ちにくい。畑の害虫駆除には葉を煎じて散布し、家畜の皮膚病にはこれを塗布する。
出典:「庭木図鑑 植木ペディア」
こうした「アセビ」の毒性が雑草除けになるかもしれない。
身近にありながら、名前を知らなかった植物をまた一つ覚えることができた。
ちなみに、「アセビ」の花言葉は「犠牲」「献身」、ちょっと怖い植物かもしれない。
「アセビ」 分類:ツツジ科アセビ属 特徴:常緑広葉樹・低木/小高木 花の咲く時期:3〜5月 実のなる時期:10〜11月
井の頭公園の「アセビ」はここ!

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