<吉祥寺ライフ>井の頭公園の植物【3月】「カワヅザクラ」&「オオカンザクラ」&「カンヒザクラ」

2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。

3月に入って、早咲きの桜が見頃を迎えた。

井の頭公園の桜といえば、井の頭池周辺に植えられた「ソメイヨシノ」が有名だが、地元の保育園児や子育てママたちに大人気なのが、いろいろな桜が楽しめる「西園」の広場なのだ。

『文化交流広場』と名付けられたこの広場に植えられた桜はなんと19種類。

その桜の中から今日は、3月初旬の今、咲き誇っている3つの品種を取り上げる。

「カワヅザクラ」「オオカンザクラ」「カンヒザクラ」の3種類だ。

桜の穴場スポット「文化交流広場」はここ!

「カワヅザクラ(河津桜)」

まずは、早咲きの代表格「カワヅザクラ」。

伊豆・河津の桜並木が有名だが、調べるとその由来が書かれていた。

1955年に静岡県賀茂郡河津町田中の飯田勝美が河津川沿いの雑草の中で1mほどの原木を偶然発見し、庭先に植えたことが由来である。

1966年から開花し、当初、発見者の飯田家の屋号から「小峰桜」と地元で言われてきたが、その後の学術調査で今までに無かった雑種起源の栽培品種であると判明し、1974年に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名され、1975年に河津町の木に指定された。

現在も原木はこの地に存在し、2007年現在で樹齢50〜60年である。

出典:ウィキペディア

この「カワヅザクラ」が、井の頭公園の「西園」にも4本ほど植えられている。

私がこの桜の咲き始めを確認したのは、1月末だったので、もうすでに盛りは過ぎて知らぬ間に葉も出てきている。

花の色が濃いので、私はあまり好きな桜ではない。

「カンヒザクラ」と「オオシマザクラ」が自然に交配してできたとする説が有力らしく、一重咲きで、4cmから5cmの大輪の花を咲かせる。

これは、「オオシマザクラ」由来の大輪の花と、「カンヒザクラ」由来の紫紅の花弁の色を受け継いだとされる。

「カワヅザクラ」の花言葉は、「思いを託します」「淡泊」「純潔」「精神美」だという。

個人的には「淡白」とか「精神美」の対極にある「大阪のおばちゃん」といった印象が強いが・・・。

ちなみに、幹の部分はこんな感じ。

桜はどれも似ていて、花が咲かないと区別がつかないが、皮目が少しだけ赤味を帯びているという。

また落葉が早いのも特徴で、初秋から晩夏には葉が散ってしまうそうだ。

「カワヅザクラ」
分類:バラ科サクラ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:1〜4月

井の頭公園の「カワヅザクラ」はここ!

「オオカンザクラ(大寒桜)」

のびのびと枝を伸ばしているこちらの大木は「オオカンザクラ」。

西園には、「オオカンザクラ」が4本ある。

横に枝を伸ばすのが特徴だというこの桜も、「カワヅザクラ」同様、もともと「カンヒザクラ」から派生しているという。

カンザクラの園芸品種でカンヒザクラとオオシマザクラ(あるいはヤマザクラ)の交雑種と考えられる。

埼玉県川口市安行にあった原木から各地に広まった。

出典:「庭木図鑑 植木ペディア」

「安行寒桜」とも呼ばれたこの品種、さらに川口市のルーツを調べると・・・

埼玉県川口市安行の田中一郎邸にあった寒桜の一種で、寒緋桜と他種の雑種と推定されます。

静岡県熱海市の角田春彦は、1968年に寒緋桜に早咲きの大島桜を交配した苗から同じものを得ることに成功しました。このことから片方の親は大島桜とする説もあります。

出典:「公益財団法人 日本花の会

いずれにしても、「カワヅザクラ」と同じく、戦後生まれの桜のようだ。

花は直径2.5~3.5センチで一重の五弁。

花の色は「カワヅザクラ」に比べると薄く、「やや下向きにつき、完全に開かない」という特徴を持つという。

以前からあった寒桜よりも花がやや大きいことから、「オオカンザクラ」と名付けられたそうだ。

「カンザクラ」の花言葉は「気まぐれ」、う〜む、どうだろう?

樹皮の特徴はよくわからないが、「紫がかった褐色」だという。

「カワヅザクラ」と同じく、落葉は早く、早ければ8月にも葉が落ちるそうだ。

「オオカンザクラ」
分類:バラ科サクラ属
特徴:落葉広葉樹・高木
花が咲く時期:3月

「カンヒザクラ(寒緋桜)」

西園の中で、一際鮮やかな色を見せるのが「カンヒザクラ」。

西園にはあまり大きな木はないが、5本が植えられている。

「カンヒザクラ」は、「カワヅザクラ」や「オオカンザクラ」のお母さん、早咲きの桜はみんな「カンヒザクラ」の遺伝子を受け継いでいるということのようだ。

「カンヒザクラ」は、台湾、沖縄及び中国南部に見られるサクラ。

沖縄で桜といえばこの「カンヒザクラ」を指すというが、もともと自生していたのか、人間が持ち込んだものなのかはわかっていないという。

「元日桜」「緋寒桜」「台湾桜」などの別名を持つが、「ヒガンザクラ(彼岸桜)」は別品種なのだそうだ。

釣り鐘状の花が下向きに半開きの形で咲く。

一重の花弁が濃い紫紅色、すなわち「緋色」なのも、他の桜と違う大きな特徴だ。

一般的な桜とは異なり花びらが散らず、萼のついた状態で落花するという。

「カンヒザクラ」の花言葉は、「善行」「高尚」「あでやかな美人」などいろいろ出てくるのだが、サイトによってバラバラ。

そもそも花言葉って誰が決めているのか、という根本問題に突き当たる。

樹皮はゴツゴツしていて、でも桜はどれも同じに見える。

早咲きの桜のお母さんなので、その娘たち同様、晩夏には葉が散ってしまうそうだが、台湾ではその実を「山櫻桃」と呼びジャムなどにして食べるのだという。

「カンヒザクラ」
分類:バラ科サクラ属
特徴:落葉広葉樹・小高木
花が咲く時期:1〜3月
実がなる時期:5〜6月

井の頭公園の植物2021

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