2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。

井の頭公園の御殿山エリアにはたくさんの山野草が顔を出す斜面がある。
様々な草花の名前が書かれた札が立っている。
「ムサシノキスゲ」「ヤマホトトギス」「ヤマブキソウ」「マルバスミレ」「ヒトリシズカ」「ラショウモンカズラ」「キランソウ」「ヤブレガサ」「キツネノカミソリ」「ホタルブクロ」「アキノタムラソウ」などなど。
しかし、山野草は名札とは関係ない場所に出てくるし、名札がない植物も顔を出すので正直よくわからない。

そんな山野草エリアにも変化が見え始めた。
昨日見つけた春の草花を2つ記録しておく。
可憐な「アズマイチゲ」、グロテスクな「ウラシマソウ」。
似た花もあるのであくまで私の推定であり、正確かどうか保証の限りではない。
「アズマイチゲ(東一華)」

白い花を上に向け、緑の葉っぱは少し垂れ下がる。
群生する様子がちょっと愛らしいこの草花が目に止まった。
家に帰ってネットで調べると「アズマイチゲ」という花にたどり着く。
山野草エリアには「アズマイチゲ」の札は立っていないが、その特徴からまず間違いないと思う。

「アズマイチゲ」は、早春に咲いて落葉樹の葉が出る頃にはもう消えてしまう「春のはかない草花」の代表的な草花だそうだ。
こうした春先の一時期だけ咲く草花は、『スプリングエフェメラル』と呼ばれる。
若葉の頃には地上部は枯れて、翌春までは地下茎だけで生き続ける多年草だ。

白い花びらに見えるのは、実は萼(がく)で、お天気のいい日には萼片を10枚前後つけた花を開かせる。
「キクザキイチゲ」という草と似ているが、見分け方は葉っぱに刻みの少ない方が「アズマイチゲ」だそうだ。

そして日が当たっていない時には、こんな感じで花を閉じる。
摘み取ると雨が降るという言い伝えがあって、別名「雨降花」とも呼ばれるという。
花言葉は「静かな瞳」、わかるような気がする。
「アズマイチゲ」 分類:キンポウゲ科イチリンソウ属 特徴:多年草 花が咲く時期:3〜5月
【ウラシマソウ(浦島草)」

御殿山の山野草の斜面に奇妙な植物が生えていた。
細い竹の子のような茎から茶色い縦縞の頭をもたげている。

手を伸ばして裏側を撮影してみると、縦縞の筒状のものの中にきりたんぽのようなものが突き出ている。
不思議なその姿に興味を持って調べてみると、「テンナンショウ属」というサトイモの仲間だとわかった。
「テンナンショウ属」の植物は、世界で約180種があり、日本では53種8亜種3変種もある。
中央のきりたんぽ状のものが「肉穂花序(にくすいかじょ)」と呼ばれ、小さな花が多数密集したもの。
そして、一見花に見えるストライプの筒状の部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる苞(ほう)、すなわち筒状に変形した葉っぱなのだそうだ。

問題は、この植物の名前なのだが、私は「ウラシマソウ」だと推定した。
理由は、すぐ近くではないが斜面に「ウラシマソウ」と書かれた名札が立っていたからだ。
しかし、「ミミガタテンナンショウ」や「マムシグサ」の写真もよく似ている。
もし「ウラシマソウ」であれば、やがて「肉穂花序」の先端が細長く伸びて釣り糸のようになるそうで、もう少し様子を観察する必要がありそうだ。

筒状の「仏炎苞」を持つ植物の仲間には、あの可憐な「水芭蕉」などもあるというが、ちょっとした色や形でずいぶん印象が異なるものだ。
鎌首を持ち上げたコブラのような植物、「ヘビクサ」という別名も納得だ。
花言葉は「不在の友を想う」、3.11にピッタリではないか。
この先、花がどんな変身を遂げるのか、時々観察していこうと思う。
「ウラシマソウ」 分類:サトイモ科テンナンショウ属 特徴:被子植物単子葉類・多年草 花が咲く時期:4〜5月
井の頭公園の山野草エリアはここ!

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