2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
今回は、早春に咲く「春を告げる」黄色い2つの花を取り上げる。
「フクジュソウ(福寿草)」

井の頭公園の梅はなぜか遅い。
まだほとんどは蕾の状態なのだが、その足元にいつの間にか黄色い花が咲き始めた。

樹木だけでなく、私は花の名前もほとんど知らない。
この花は何だろう?
正面から見ると、黄色い花弁が鮮やかなのだが、花びらの裏側は赤茶色に見える。

すぐ脇には「ムサシノキスゲ」という札が立っていたので、「これか!」と思ってスマホで確認すると全然違う。
どう見てもユリ科の植物ではなさそうだということは私にもわかった。
他の名札もいくつか立っているが、どれも別の植物のようだ。

公園案内所で教えてもらってようやく花の名前がわかった。
『フクジュソウ(福寿草)』。
有名な花だから名前は知っているが、初めて名前と花が一致した。

「フクジュソウ」はキンポウゲ科の多年草で、春を告げる花の代表として『元日草』とか『朔日草』などとも呼ばれるそうだ。
確かに、周囲の草がまだ芽を吹かないうちに地上に咲き誇るその姿は、ちょっと感動的ですらある。
日が照っている時だけ花を開き、夜や曇りの日には閉じてしまう几帳面な性格を持っているという。

さらに驚いたことに、『毒草』としても有名なんだとか。
ゴボウのような太い根を持っていて、これが大変毒性が強く、フキノトウと間違えて食べて酷い目にあるケースがあるという。
症状は、嘔吐や呼吸困難、心臓麻痺などで、重症の場合には死亡することもある。
その一方で、『福寿草根(フクジュソウコン)』という生薬として、強心、利尿の薬として利用もされていて、毒と薬は紙一重という実例のような草なのだ。

ちなみに、井の頭公園の梅はほとんどがまだこんな状態。
一部で花を咲かせている株もあるが、見頃はもう少し先である。

しかし、梅園には福寿草と並んで、紫色のクロッカスがたくさん花を咲かせている。
『クロッカス』は妻が昔育てていたので、私でも知っているキュートな花だ。

アルプスや地中海が原産というクロッカスは、球根を植えて育てる多年草で、福寿草同様、早春に咲く「春を告げる花」。
花言葉は「青春の喜び」「切望」、特に紫のクロッカスの花言葉は「愛の公開」だそうだ。

そしてフクジュソウの花言葉は、「幸せを招く」「永久の幸福」。
やっぱり昔から、縁起の良い印象を人々に与えてきたのだろう。
梅はまだこれからだが、福寿草の黄色とクロッカスの紫が染め始めた「梅園」は、2月の井の頭公園の中で一番華やかなエリアと言えそうだ。
「フクジュソウ」 分類:キンポウゲ科フクジュソウ属 特徴:多年草 花が咲く時期:2〜5月 実がなる時期:4〜5月
井の頭公園の「フクジュソウ」はここ!

「マンサク(満作)」

同じ黄色い花とはいえ、こちらはあまり可愛らしくない。
枯れた葉っぱをぶら下げたまま、モジャモジャした黄色い花が湧いて出てくる。
これが『マンサク』の花である。

とにかく木々が芽吹く前にいち早く花を咲かせる『マンサク』、その名前の由来については・・・
花がよく咲けば豊作、花が少なければ不作など、稲の作柄を占う植物として古くから人との深いつながりをもっていました。そこから満作の名がついたとも、開花期が早いことから「まず咲く」や「真っ先」が変化したともいわれています。
出典:NHK出版「みんなの趣味の園芸」

どう見てもあまり美しいとは思えない低木だが、花のない季節にいち早く花をつけ、秋には紅葉も楽しめると庭木として珍重されているという。
そんな「マンサク」の枝は折れにくいという理由で、昔は「いかだ」を編む材料としても使われた。
枝をねじって編むことから「ネジリギ」とも呼ばれたそうだ。
「マンサク」の花言葉は、「呪文」「魔力」「霊感」「ひらめき」。
やはり、この花の見た目、ちょっと怪しいものね。
「マンサク」 分類:マンサク科マンサク属 特徴:落葉広葉樹・低木 花が咲く時期:2〜4月
井の頭公園の「マンサク」はここ!

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