2021年のテーマとして掲げた「井の頭公園の植物」観察。
立春を迎え、そろそろ花粉症が気になる季節なので、冬でも緑の葉を残す常緑針葉樹に注目して公園を歩く。
まずは今最も気になるこの花粉症の悪役から。
「スギ(杉)」

井の頭池の周囲にポツポツと茶色の樹木が目につくようになった。
花粉を飛ばす直前の「スギ」だ。

地上から見上げると、枝先にびっしりと茶色いものが密集している。
これが、雄花。
マッチ棒の先ほどの雄花の中には約40万個もの花粉が詰まっていて、2〜4月に開花して風に乗って大量の花粉を撒き散らして雌花と受粉する。

知らなかったがスギは日本の固有種なのだという。
屋久杉をはじめ日本各地に樹齢数千年の巨木が残り、天然記念物に指定されているのもそのせいなのだろう。
だから、スギは日本列島で最も背の高い樹木でもあり、日本一高い京都の「花脊(はなせ)の三本杉」は2017年の測定で62.3メートルだった。
樹皮は縦に帯状に剥がれやすく、屋根を葺く材料として用いられ、まっすぐ伸びた幹は成長の早さや材の軽さ、加工のしやすさ、木目の美しさが特徴で昔から建築材や船、酒樽の素材などとして重宝された。

ヒノキとの見分け方はこの葉っぱの形。
長さ1~2センチほどの小さな葉が螺旋状に集まってできていて、よく燃える。
それでもこの季節はスギは一目瞭然、雄花に覆われて茶色に変身し私にも簡単に見分けることができるのだ。
「スギ」 分類:スギ科スギ属 特徴:常緑針葉樹・高木 花の咲く時期:2〜4月 実がなる時期:10〜11月
井の頭公園の「スギ」はここ!

「ヒマラヤスギ(喜馬拉邪杉)」

野外ステージの周辺に何本も植えられたクリスマスツリーのような形の大きな木。
「ヒマラヤスギ」である。
「スギ」という名前がついているが、「マツ」の仲間だ。

それは近くから眺めれば明らかで、葉っぱは針のように尖っていてどう見ても「マツ」なのだ。
その名の通り、ヒマラヤ山脈西部の標高1500m以上の高地が原産で、日本には明治時代、イギリス人によって持ち込まれたと言われている。
それにしても、どうして「スギ」という名になってしまったんだろう?

樹皮も鱗状でスギとは似ても似つかない。
秋には立派な松ぼっくりができるというのだから、疑いようがないはずなのだが・・・。

それにしても、下から見上げると圧倒的な迫力を感じる。
さすが、「世界三大公園樹」と呼ばれるのもわかる気がした。

ヒンドゥー教では「聖なる木」とされるらしく、『ヒマラヤスギの森は古代インドの賢者が好んで住み、シヴァ神に祈りを捧げ、厳しい精神修行を積んでいた』(ウィキペディア)らしい。
それもとても理解できる。

井の頭公園の人気スポット「野外ステージ」を取り囲むクリスマスツリーのような樹木の名前もわかるようになった。
私の樹木学習も一歩一歩前進中である。
「ヒマラヤスギ」 分類:マツ科ヒマラヤスギ属 特徴:常緑針葉樹・高木 花が咲く時期:10〜11月 実がなる時期:10〜11月
井の頭公園の「ヒマラヤスギ」はここ!

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