<頑張れテレビ>NHK-BSプレミアム「平成万葉集 第三回 この国に生きる」(再放送)

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家に帰ってテレビをつけると、たまたまこの番組に遭遇した。

BSプレミアム「平成万葉集」。

平成から令和に変わった今年の4月から5月にかけて放送されたシリーズの再放送だった。

テレビをつけた瞬間、私の耳に飛び込んできた短歌。

「大会が 終われば無職だと聞いて 水球選手に親しみが湧く」

朗読は、女優の吉岡里帆。

次のシーンでは、彼女が一人の女性と対談していた。

その対談の相手こそが、先ほどの短歌の作者、西村曜さん。

美大出身の若い女性で、平成の時代の「生きにくさ」を歌っているそうだ。

この番組、映像がとてもいい。

音楽もテンポもいい。

構成も編集もよくできていて、すぐに番組に引き込まれた。

西村さんの短歌が続く。

「伸びきった 輪ゴムみたいな青春だ いっそぷちんと切れるのを待つ」

「跳び箱を 飛んだつもりで跳び箱に 座ってそのまま大人になって」

素直な言葉、短歌にありがちな古風な言い回しなどどこにもない。

それが私には、とても新鮮に映った。

こんなに自由でいいなら、短歌も面白い、そう思った。

続いて、登場したのは俳優の生田斗真。

ラジオのディスクジョッキーという立ち位置だ。

彼が紹介する短歌は、平成に自殺した歌人、萩原慎一郎さんの歌だった。

「非正規の友よ負けるな 僕はただ書類の整理ばかりしている」

「箱詰めの 社会の底で潰された 蜜柑のごとき若者がいる」

「消しゴムが 丸くなるごと苦労して きっと優しくなっていくのだ」

「抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ」

自ら命を絶った若者の言葉が、胸に刺さる。

ますます番組に引き込まれた。

彼はどんな人生を歩んだのだろう?

萩原さんの死後発表されたただ一冊の作品「歌集 滑走路」はベストセラーとなったという。

歌集など読んだこともない私だが、ちょっと読んでみたくなった。

番組ではこの後も、シングルマザーや母親の介護をするタクシードライバー、東日本大震災の被災者や平和を訴える沖縄の人たち、さらには上皇さまの歌まで、平成に生きた様々な日本人の歌が紹介される。

でも、私には、西村さんと萩原さんの短歌が圧倒的に心に響いた。

番組の最後、再び、西村さんの短歌を吉岡里帆が読む。

「持ってません 温めません 付けません 要りません いえ泣いていません」

これは、コンビニ店員のマニュアル的な質問への答えの中に、さりげなく「泣く」という言葉を置いたのだという。

これこそ現代日本の風景かもしれない。

彼女は、面白い。

そして、もう一首・・・

「一瞬の その一瞬の、一陣の、風の背中を押して吹く風」

これは何を歌ったのだろう?

よくわからないが、他の歌よりも、前向きな印象を受ける。

番組のエピローグの中に、気になる短歌があった。

「あの時に 止められなかった大人たちと 未来の人から言われたくない」

作者は、こやまはつみさんという方らしい。

思いをストレートに言葉にした歌。

こうした短歌なら、私も作ってみたいと思った。

世界各地を回りながら、散文だけでなく、感じたことをこうした短歌でも表現できたら、きっと素敵だろう。

短歌の決まりごとにはこだわらず、現在や未来の人の心にストレートに届く自分の言葉で歌を作る。

それができるようになれば、このブログももう少し魅力的なものになることだろう。

果たして、私の中から、そうした言葉が出てくるのか?

来年からの、チャレンジ目標がまたひとつ生まれた。

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