<東京@グルメ>国分寺「胡桃堂喫茶店」の「おやき(2種)と味噌汁セット」

大阪に引っ越す次男家族にプレゼントを届けに行った後、国分寺駅で降りてランチを食べることにした。

「国分寺駅の北口が随分変わったようよ」と妻が教えてくれたからだ。

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確かに、ものすごい変わりようだった。

駅直結、地上36階建ての超高層マンションが2棟、いつの間にか完成している。今年7月入居予定だが、まだ販売は続いているようだった。

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学生時代、私は国分寺駅でJRと西武線を乗り換えていた。

その頃の国分寺は、駅前からごみごみした街並みが続き、お世辞にもおしゃれな街ではなかった。それでも、大衆的で人間味あふれる街だった。

どうも、再開発の街は苦手だ。

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昔ながらの道を辿って早稲田実業の方向へ進むと、ちょっといい感じのお店を見つけた。

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「胡桃堂喫茶店」

古い建物をリフォームしたようなお店だが、普通のカフェとはちょっと雰囲気が違う。

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一応、食事も取れるようなので、入ってみることにする。

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今日のお食事は、「鰹の竜田揚げ定食」(1200円)のようで、チョークで見事な絵が描かれていた。

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店内に入ると、コーヒーやケーキが提供されるカウンター。

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持ち帰り用の珈琲豆も販売されている。

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カウンターの脇には大きめのテーブルと本棚。

お店のサイトを覗くと、こんな説明が書いてあった。

『 世に「ブックカフェ」と呼ばれる場所はたくさんありますが、実はそのほとんどは「本屋がカフェを併設した」ケースで、ぼくらのように、元々カフェ屋だったものが本屋を始めるという事例はあまりありません。

カフェ・喫茶店は「おしゃべり」をしに来るところだと考えています。
誰かとのおしゃべりはもちろん、自分とのおしゃべりも。

ですので、ぼくら胡桃堂書店の本も、そのおしゃべりの輪に加えていただくかのように読んでいただけたらなと思っています。
宮沢賢治とおしゃべり、ミヒャエル・エンデとおしゃべり、というような具合に。』

なかなか、面白い。

こだわりが強そうだ。

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店員さんは、私たちを2階に案内した。

階段の途中でこんなものを見つけた。

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「喫茶の文体」って、何だ?

お店のサイトに、こんな説明が書かれていた。

『 喫茶店をテーマとした短編、15作品。

作者は作家さんもいれば、本を書くのは初めてという人まで。
テイストも、形式も、内容もそれぞれに個性のある作品たちです。

それぞれの作品を小さな本として楽しむのはもちろん、幾つかの作品をまとめて、表紙と見返しをつけて、世界に1冊の本を製本することもできます。』

どうやらこのお店オリジナルの小さな本らしい。

やはり、面白い。

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そして階段をさらに上ると、飾ってあったのは3台のサイフォン。

その先に、素敵な喫茶店が待っていた。

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落ち着いた空間にテーブルが並び、窓際にお一人様用の席も用意されている。

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天窓にはオレンジ色のシートが貼られ、店内に強い日差しが差し込むのを防いでいる。

そして、壁際に置かれた重厚な本棚。お客さんは、この部屋のあちらこちらに置かれた本を自由に読むことができるのだ。

そして、気づいた。

20人ほどいるお客さんが全員、女性なのだ。

年齢はまちまち、一人で来て本を読んでいる人が多い。不思議なお店だ。

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水とおしぼりが運ばれてきた。

グラスといい、おしぼりの色といい、雑誌から抜き出してきたようなセンスだ。こんなお店が吉祥寺にあれば、きっとお気に入りになっただろう。

私が抱く国分寺のイメージとは一味違う素敵なお店だ。

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さて、肝心のお食事だ。

メニューを見ると、ドリンクとケーキ以外には「季節のお食事」と「おやき」のみ。いたってシンプルだ。

せっかくなので、両方注文することにする。

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お食事を待つ間、せっかくなので私も一冊読んでみることにする。

「スタッフおすすめ 春に読みたい本フェア」の本も紹介されている。

「ようこそ、胡桃堂書店へ」と書かれたPOPには、次のように書かれていた。

・すべての本は、お席でお読みいただくことができます。

・ほとんどの本は、ご購入いただけます。

・新刊と古書があります。

そして、こんなことも・・・

・自分たちでつくった本もあります(クルミド出版)。著者は、ほとんどがお店のお客さんです。

やはり、とても面白い店だ。

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私が選んだ本は、柴田元幸編・訳『書き出し「世界文学全集」』。

世界の名作73作品の書き出し部分だけが収録された不思議な本だ。自分では絶対買わないし、図書館でも借りないであろう本を手に取った。この不思議なお店の魔力かもしれない。

そして、パラパラとページをめくっていると、注文した料理が運ばれてきた。

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こちらが、季節のお食事「鰹の竜田揚げ定食」(1200円)。

こんなアンバランスな定食はあまり見たことがない。

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やや小ぶりな茶碗に入った赤飯。

お店の2周年のお祝いだそうだ。

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異様に大きなお椀に入った季節野菜の味噌汁。

鰹出汁の味噌汁だ。

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そして、それらに比べて不自然に小さなお皿に盛られたおかず。

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「鰹の竜田揚げ」には、くるみのタルタルが添えてある。

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「タコのはんぺん焼き」と「春キャベツのからし和え」だそうだ。

それにしても、量が少ない。

お店に男性客がいない理由が、よく理解できた。

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もう一品注文したのは「おやき(2種)と味噌汁セット」(900円)。

季節野菜の味噌汁は同じだ。

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こちらが「胡桃堂のおやき」。

『 長野県の郷土料理として知られる「おやき」。モチっとした蒸し焼きの生地にたっぷりの具が詰まっています。』という説明書きが添えられている。

中身は、うどを甘辛く煮て、里芋と合わせた「里芋とうど」。ほのかに桜エビの香りがする。

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もう一つは、くるみの食感と肉味噌の甘じょっぱさが特徴の「くるみ肉味噌」だ。

おやきはちょっと硬めで、あっさり目の味付け。個人的には、高菜の方が好きかな。

まあ何れにせよ、素朴なご飯だった。

ご飯の量を少なくして男性客をシャットアウトし、女性たちが気兼ねなくゆったりとした時間を過ごせるように作られたお店、それが私の印象だ。

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店のサイトには、こんなメッセージもあった。

『 つまるところ、人がお金のために生きてはいないように、このお店もお金のためにあるわけではないのです。

ぼくらの贈る仕事が、受け取ってくださる方の心と出会えたとき、その評価の集積としてお金が手元に残り、お店を続けていくことができるのでしょう。

そしてまたぼくらも、誰かの仕事の受け取り手であります。

こうした「贈る」「受け取る」の連鎖からなる経済の結節点として、胡桃堂喫茶店はありたいと思います。』

食事そのものは、ちょっと物足りないが、応援したくなるような素敵なお店だった。

食べログ評価3.56、私の評価は3.50。

 

 

 

 

 

 

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