<吉祥寺残日録>吉祥寺図書館📗ション・ブルックス著「ガーデンブック」(1984年初版/イギリス/メイプルプレス) #210909

9月9日は「重陽の節句」。

「重陽」とは・・・

陰陽思想では奇数は陽の数であり、陽数の極である9が重なる日であることから「重陽」と呼ばれる。奇数の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされ、それを払う行事として節句が行なわれていたが、九は一桁の数のうち最大の「陽」であり、特に負担の大きい節句と考えられていた。後、陽の重なりを吉祥とする考えに転じ、祝い事となったものである。

出典:ウィキペディア

陽数の極である「9」が重なるのは、吉祥なのか、それとも不吉なのか?

東京は今日も朝から冷たい雨が降っている。

まだ体が低温に慣れていないので、とにかく寒い。

朝から布団に潜り込んで朝寝を決め込む。

とにかく、何もやる気が起こらないそんな一日である。

そんな憂鬱な一日、図書館で借りていた一冊の本をパラパラとめくって過ごす。

英国ガーデンデザイナー協会元会長ジョン・ブルックスさんが書いた『ガーデンブック』。

「ガーデニング完全ガイド〜自分でイングリッシュガーデンを造るために〜」という副題がつけられた日本語版である。

岡山にある畑をどのように活用するかを考える中で、一つのアイデアとしてガーデニングが好きな地元の人を集めて、広々としたイングリッシュガーデンを作ってみるのも面白いかもと思い立った。

しかし、時々しか岡山に通わないで庭づくりなどできるだろうかと素朴な疑問が湧き、試しにこの本を借りてきたというわけだ。

「ガーデンブック」は1984年にイギリスとアメリカで出版されて以来、世界中のガーデナーに愛読されてきた一種のバイブルのような本らしい。

著者のジョン・ブルックスさんは、ガーデンデザインとランドスケープデザインの世界的権威で、日本初の本格的英国式庭園である蓼科高原の「バラクラ・イングリッシュガーデン」の設計も手がけた。

さて、せっかくなので、今日はこの「ガーデンブック」の中から、庭づくりを始める前にするべきことを教えてもらおうと思う。

1.どんな庭にするか?

「ガーデンブック」の書き出しは、まずここから始まっていた。

一部を引用させていただこう。

どんな庭を造るかは、そこに何を望むかによります。ですから、実際の作業はもちろんのこと、これから造ろうとする庭のプランを描く前に、一体庭に何を求めるのかということを考えてみる必要があります。

どこかで目にした立派なレイアウトはこの際忘れて、本当に求めているのはどんな庭なのかということを落ち着いて考えるべきです。住む人のライフスタイルに合った庭が理想的なわけですから、考えなければならないことはたくさんありますね。

台所と居間の役割が違うように、庭もその場所によって、使い方は全く違ってきますし、それぞれの特徴が充分に生かされるべきなのです。普通、家屋正面の庭というのは飾りたてる場所であるのに対して、裏庭というのは、本来、住む人が1年を通じて利用し、また植栽を楽しむ場所なわけです。

引用:ガーデンブック

まず最初に検討すべき項目として著者があげたのは以下の要素である。

  • 庭がどこにあるのか(街中か郊外か田園か)
  • 風土と気象(気温や日照時間など)
  • 立地と地形(日当たりや高低差など)
  • 土壌を分析する(酸性・アルカリ性、水捌けなど)
  • 庭の使い方(家族がそれぞれ庭に何を求めているか)

その庭が置かれた条件をきちんと把握し、そのうえでどのような庭にしたいのか、まずそのコンセプトを明確にすることが重要ということだろう。

確かに大切なことだと思う。

2.庭のプランを立てる

次にやるべきことは、敷地の現況を紙に記入して、庭造りと配植のためのデザインを作成すること。

ここからは著者の言葉を引用する形で重要なポイントを記録したいと思う。

① 寸法と形を測る

最初にすることは、白紙かグラフ用紙のどちらか(なるべくグラフ用紙)を用意して、敷地の寸法を測り、周囲の状況の把握を始めることです。

まず家屋の形と寸法を測ることからスタートします。ほとんどの家屋は、角度90度の方形で建てられていますから、家の周りを面から面へと回って寸法を測ります。出窓やドアにもメジャーを延ばします。こうして、家屋の正確な輪郭を計測します。

家屋の外周の寸法を測り終えたら、その寸法を基に縮尺を定めて慎重に図面にします。縮尺は少なくとも100分の1にしますが、小さすぎる庭の場合は、50分の1にした方が良いでしょう。図面に家屋の形を記入する際は、家屋の周りに庭の境界線を書き込む充分なスペースをとってください。

次の段階は庭の形と寸法を測ることです。もう一度外に出て、家屋の外壁または、その角から、メジャーを図面上での水平、もしくは垂直方向に延ばして、敷地の境界線までの距離を測ります。それが終わったら、今度は、敷地の境界線の外周の形と長さを測り、その寸法を図面に記入しましょう。

もし、庭の部分で、水平、もしくは垂直方向に計測しにくいものがある場合でも、すでに判明している2つの地点からの距離を測れば、その角度が90度でなくとも、簡単にその位置を図面上に特定することができます。コンパスを2つの起点のそれぞれから回して、円弧が交わった点がその位置です。この時、注意しなくてはならないことは、測った距離を、定めた縮尺に応じて、正確に図面上に記すことです。この方法は三角測量といわれるものです。

境界と敷地内の主要物件の位置と面積を測ったら、木の幹の周囲とか茂みの張り出しの全幅といった細部などの、もっと小さな物件の寸法と位置を縮尺に注意して図面上に書き入れましょう。塀やフェンスの内側、階段やマンホールの蓋も記入します。測量はできる限り正確に行ってください。庭に傾斜があったら、階段あるいは擁壁を造れるように、その段差を測り記入する必要があります。まず、高低差の頂点と一番低いところに印をつけます。高低差が大きければ、測量技師の手を借りた方が良いでしょう。高低差が少なければ、自分で測量することも可能です。そのためには、水準器と建築用厚板または軽いアルミの梯子、そして1メートルの長さの棒を使います。要は、坂の頂点から完全に水平に支えられた厚板か梯子に対して垂直に下向きの長さを測ることです。一回で坂の下まで達しなかったら、器具の長さごとに長い斜面を測りながら、垂直距離を足して全標高差を得るまで下って行きます。

図面には、北の方向をはっきり記しておいてください。この方向によって庭の様式を最終的に決めることになります。また、すぐに忘れてしまうので、「1:100」あるいは「1:50」というように、図面の縮尺も書いておきましょう。

引用:ガーデンブック

② 線と形

「整形式レイアウト」と「自然式レイアウト」、両方とも庭のスタイルは、植物を型通り刈り込むか、はびこるままにするかのやり方を言うのですが、デザインの基本特性は、その根底にある様式で決まるのです。

レイアウトの対照的な場所が、園路か、サービスエリア用か、芝生と植栽地としての装飾用化のいずれにしても、結局は、これらの場所の境界を特色付けるのは、庭の設計様式を作り出す線なのです。見るものから遠ざかる線は、敷地をより長く見せてくれます。線を意図的に収斂させると庭をなおさら長く見せることができます。反対に、視界を水平に横切る線は、敷地に広さを与えます。境界内に焦点を置く、つまり、眺めの中心を持つ庭は、その中に動きのある形を入れています。この形では、線は見る人をその眺め、あるいは対象に導いて行きます。何か焦点がないと、視線は当てもなくさまよいます。

こうした基本的ルールに変化があるのはもちろんで、同じ効果が曲線と直線を使って可能となります。庭のプランの基礎として使う形のタイプは、地盤の高さや眺めや作庭時期を考慮して、敷地に合うかどうかで決まります。現代の抽象的なデザインは、例えば、18世紀の家には似合いそうもありませんし、現代のタウンハウスに左右対称の整形式プランは、ほとんど向きません。

上に示した形は、いくつか適当に選んで理想化した正方形の区画上に例示したものです。線が囲むもの(園路、植栽、芝生あるいはテラス)が何であるか決まっているわけではありませんが、それぞれの形は異なった感じを生み出しているので、異なる庭ができるのです。庭の基礎的な形を作るのに用いる線を通じて、この個性を強調するように努めなければなりません。

引用:ガーデンブック

③ 立体効果

庭の形を作るのに選んだ線によって、満足な図面が描けたでしょう。しかし、そのプランの最終的な姿は、それを立体化して初めて現れてくるでしょう。塀や高低差、高木や低木の植栽などの異なる材料の高さを設計図にするわけです。このようにして、そこに居て楽しい場所になるように、庭の本当の姿を作り上げるのです。

それらのバランスが取れているかどうかは、もっと年月を経た成熟した庭では、はっきりしています。庭の設計を難しい芸術にしている理由は、今は若木を植えていても、その植生場所の未来の姿を、努めて想像しなければならない所にあるのです。理解することが難しいのですが、18世紀の優れたイギリスの景観の設計者でさえ同じ悩みを持っていたのです。彼らは“ケイパビリティ”ブラウンの方法で景観を作り変え、湖を造り、広い土地を移すことはできましたが、緩やかな起伏の公園に200年以上経った今では成木となっているものを、当時はごく小さな木を間隔を取って植え込まざるを得ませんでした。

もちろん、植生だけが庭に姿を与える唯一の手段ではありません。塀、柵、耕された花壇や作り付けのバーベキュー炉でさえ、小さい庭の地割を作ります。使う材料によって、庭に与える印象がとても変わってきます。材料は、光を反射したり九州したり、仕上げを堅くしたり柔らかくしたりします。しかし、それぞれの植栽場所で、しまいにはグループを作らなければなりません。各成木とその部分(葉や幹)の姿だけを考慮するのではなく、その模様とそれが反射あるいは拡散する光の量もまた大変意味があるのです。

引用:ガーデンブック

④ 配色

種苗会社のカタログに見るような、花の明るい色の氾濫は、限られた期間しか続きません。大部分の植物が花を咲かせるのは、実際のところ、1年の内1ヶ月に満たないからです。まず、微妙さの勝る色彩、年間を通じて常緑の葉の色と色調について関心を持ってみましょう。落葉と常緑双方の高木低木の葉の色は顕著に異なっており、上手に選びさえすれば、年間を通じて、それだけで十分楽しむことができるでしょう。

庭の“壁面”は、一面に微妙な色彩の背景として欲しいものです。このことからお分かりのように、この色彩は強すぎると、背景に対置したい草本、あるいは一年草の色彩を壊すようになることがある点に気付くでしょう。

自生の花の色彩は、北ヨーロッパではかなり沈んだ色調です。柔らかい春の色彩は、夏の初めに淡い色彩に変わり、それが月ごとに濃くなり、秋の豊かで美しい色調が現れてきます。どぎつさや強烈さに勝る花の色彩は、直射日光に晒される季節に始まります。その時に、色彩が太陽光線の力で強められるのです。

庭の機能と印象をバックアップするように、色彩を使い、管理するようにしましょう。ハーブと一年草の色彩を用いて、植えた低木の葉の効果を継続させてください。例えば、生き生きした活動の場所では、明るい黄色とオレンジ色は刺激になり、理想的です。柔らかい色彩は、例えば、青とピンクにちょっと紫あるいは白を加えた場合、落ち着いた静かな雰囲気が生まれる効果があります。明るい刺激的な色彩と、柔らかい穏やかな色彩を一緒に1カ所で使うことはできますが、両者を見境なく混ぜて、霜降りのような効果を出さないようにしましょう。最も強い色彩を前面に置き、遠くへ行くほど色彩を淡くなるようにしてください。遠景の中央に色彩のきらびやかな部分があると、奥行きが感じられる一方で、視覚的には大変落ち着かない効果をもたらすはずです。

そこで、色彩で強調したい雰囲気を注意深く考えてください。これから植える植物が、背景の既存の植生に反するように見える場合は、配植の際、色彩をならしてぼかしましょう。メタリックな青と濃い緑を、コニファーを選ぶときによく使う金銀の色と対比させると、趣味の悪い不一致を生むだけです。

引用:ガーデンブック

⑤ 枠組みを作る

基礎測量を終え、庭のデザインについての基本的なアイデアが出たところで、自分の庭の形を作り出す時がきました。しかしそのためには、デザインを描くための枠組みが必要となります。

もっとも有用な枠組みは、交差する等間隔の線のグリッド(格子)を使います。グリッド線は、一般的には、家屋の構造か、あるいは、庭を囲む境界のいずれかに左右されるはずです。家屋と境界の構造を細かく調べてください。その目的は、グリッドの目盛りをそれらの構造の一方か他方、あるいは、多分双方の目盛りに合わせなければならないからです。

家屋の外部構造は、きっと、空間を極めて規則正しく分割していることを教えてくれるでしょう。庭に面している家の壁を見てください。定形のデザインなら、例えば、ドアと窓を仕切る寸法にはっきりしたリズムを見出すはずです。これらの感覚がグリッドを引く参考になるでしょう。

壁や柵は、規則正しい間隔で支柱を入れた規則正しい形のコンクリートか、木材かあるいはブロックで作られ、間を木材かブロックで埋めるのが普通です。こうした境界は、グリッドの行間隔として柱や支柱の間隔を使える場合、作業開始には絶好なものとなり得ます。

グリッドを書くには、元になる庭の図面にトレーシング・ペーパーを重ね、同じ縮尺で作業していることを確かめながら、基準点から建物、あるいは境界線のどちらかに対して90度に敷地を横切って線を引きます。各線が離れているように、同じ間隔をしっかり取って、最初の線と90度に線を引き、敷地を正方形で仕切ってください。

トレーシング・ペーパーにできたこの正方形を頼りにして、庭の要素を置くところを決め、庭の形を作っていきます。この正方形内に展開するどんな形も、庭に囲まれた建物か、あるいは庭を囲む柵や塀と同目盛りの関係にあります。この関係を強くするには、家または境界を作る材料とマッチする材料で庭を造れば良く、そうすれば、家と庭は必ず強く結ばれ、そのデザインのおかげで、庭の形を実現するにあたり、いろいろな取り扱いができるようになります。

庭の設計図の基礎となる形を描く時、グリッドの利用が可能な場所では、どこでも利用してみましょう。グリッド線の交点と直角を一致させ、円を描く時は、グリッドの間隔を半径として使えば良いのです。できるところはグリッドに従うのが一番良いのですが、建設的で大胆な計画を立てるのであれば、グリッドを柔軟に使ってみるのも良いでしょう。正方形のグリッドを等分に配置したり、45度回転して、特別な特色を生み出したりすることもできます。

⑥ 図面

グリッド上に、敷地の基本測量の結果が書き込まれていますから、次は色々な機能に振り分けた場所の図示を始める段階に来ました。日差しを受けるテラス、家に近く便利な野菜畑、ゴミ箱のある場所、温室、水場、果樹園などです。これらの地割は、便利さ、園路の必然的な配置と子供に必要な安全措置を考慮した上でなされます。しかし、最初に検討しなければならないことは、夏冬の太陽の位置、風道、そして敷地の外にある優れた景観を遮っていないか、あるいは逆に、不快なものの目隠しを設置する配慮が少な過ぎはしないか、ということを確かめることです。

この地割のおかげで、時には、庭全体の形を、あるいは少なくとも丈夫な舗装路を通すことを考えついたりするでしょう。必要な形の種類は、取り組んでいる場所に教えられることがしばしばあります。例えば、塀に囲まれた箱のような庭は、庭の特徴を生かした堅い直角の形が、おそらく必要になるでしょう。全体のデザインをバランスの取れたものにするために、後から大胆な植栽で全体を和らげてもよいのです。

曲線は、一般的には場所を取るものです。例えば、四角い形の中にあまりにも大きな円を計画すると、施工においても、維持管理においても、様々な不都合が生じがちです。それぞれの場所には、相応しい形があると考えた方が良いでしょう。円形の場所で野菜を栽培することは可能ですが、直線の列の方が世話をするのにずっと楽です。庭のデザインで実現すべき重要なことは、全ての部分が必ず全体としてバランスが取れるように働いていることです。やり残したコーナーがないように、また陰と釣り合いを保つ陽があるようにするのです。デザインができたら、それはきれいで開放的で、造りやすく、結局のところ実行可能でなければなりません。このきれいで開放的なプランを完成させるためには、グリッドの枠組み内で作業するようにします。グリッドの正方形にこだわり、90度の角度に合わせるのです。円は、互いにきれいに並び、家あるいは境界の線と関連するようにグリッドの中に入れましょう。グリッドを45度回転して、家と境界から斜めになったプランを立てるのもよいでしょう。あるいは、特別な形を作りやすくするために、グリッドを半分に、3分の1に、4分の1に分割するもよいでしょう。しかしどんなにそれを使っても、グリッドのおかげで、図面はしっかりしたものになっています。形は、曲線へくっきりとつなげると、明確になります。弱い形の、もじもじした線はいけません。また最終図面を書き上げ、グリッドを消した時、その形は、意味のある意匠として自立し、活動の異なる機能と場所を広く包含するものとなっているのです。

デザイン作りの補助としてグリッドを使うことは、どんな規模の、またそのものずばりの伝統的な形であれ、抽象的なまたは流れるような形であれ、どんなスタイルの庭にも有用です。敷地をぶざまに通る園路のレイアウトに余りに堅苦しく関わり合うより、野菜畑、芝生や園路の場所を使った一種のパッチワークの形で、庭を目に見えるようにしましょう。庭の中心は、丈夫な舗装で覆われたアトラクションの場所であるべきです。

最終の仕様図面は平面図です。その成否は、図面から立体的な世界を想像し得たかどうかにかかっています。庭の植栽の経験が深まれば、楽にできるようになります。

引用:ガーデンブック

素人が読んでも、直ちに理解できない秘訣も多いが、ガーデニングにはいろいろな基本的ルールがあることは理解できた。

そして、こうした基本を踏まえた素晴らしい庭の数々が、「ガーデンブック」の中で紹介されている。

私から見ても、どの庭も素晴らしい。

もし本当にこんな庭が作れたら、さぞ楽しいに違いないし、ぜひ一冊手元に置いておきたい本である。

しかし雑草に覆われたあの畑から、どうすれば雑草たちを追い出すことができるのだろう?

いくら庭づくりを夢想しても、私の当面の課題が雑草対策であることは少しも変わっていないのである。

<吉祥寺残日録>妻と二人でガーデニング番組を見ながら、岡山の畑で庭づくりすることを夢想する #210904

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