来年の中東旅行まで2ヶ月を切り、徐々に旅心が高まってきた。
行きつけの吉祥寺図書館に行った時、何冊か海外旅行関連の本を借りてきたのだ。
その中に、こんな本があった。

丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究所編「旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ・最新版」。
丸山ゴンザレスさんといえば、TBSの「クレージー・ジャーニー」に出演する世界の危険地帯を果敢に取材しているジャーナリストである。
丸山さんはバックパッカー経験者たちとの交流会を開いていて、それが「世界トラベラー情報研究所」なのだそうだ。
メンバーは作家、ライター、商社マン、会社経営者、キャバ嬢、人妻、無職、風俗マニア、現役バックパッカーなどバラエティに富み、世界を旅するために必要なデータや面白いネタの発掘・情報収集で、集積したノウハウを各方面に提供する活動を行なっているという。
ということで、この本の中にはさまざまな旅人が書いたさまざまな経験談やノウハウが書かれているのだが、丸山さんが書いたこんな一文が目に止まった。
バックパッカーは、1970年代のヒッピー・ムーブメントにのって生まれてきた。おおよその肌感覚でいわせていただくと1990年代から2000年代初頭ぐらいが全盛期だったと思う。
カバンひとつで旅したいというヒッピー的な思想が根幹にあるが、別にヒッピーというわけではない。それでも、世代や地域を越えて受け継がれており、先人たちが開拓したヒッピー的な暮らしが許されるようなゴア、カトマンズ、ベナレス、そしてバンコクは聖地的な位置づけになっていた。
引用:バンコク伝統の旅のスタイル「沈没」と旅のスタイルの変化
私がバックパッカーとして旅を始めたのは学生時代の1977年から1982年にかけてだから、丸山さんの指摘に従えばパックパッカーの初期ということになる。
当時は「地球の歩き方」もまだなくて、外国で出版された「South America Handbook」や「Africa Handbook」と辞書を持ってぶっつけ本番で旅をしたものだ。
しかしインターネットやSNSの登場で、今や旅の情報はネット上に溢れかえっている。
どんな僻地でも調べれば誰かが旅をした記録が写真付きで見つかり、かなりの事前情報を持って旅に出るのが普通らしい。
昔は電気すらないような安宿に泊まるのが普通だったが、今ではバックパッカーが集まるゲストハウスにもWi-Fiが備わっていて、多くの旅人が情報発信しながら旅を続けているのだ。
そんな今風の旅のノウハウを少し私も学ぼうと、本のページをめくっていった。

まず目に止まったのが三矢英人さんが書いた「長期旅行で本当に役立つガジェットとアプリ」という記事。
海外旅行で役立つ無料アプリがいつくか紹介されている。
まず最初は「MAPS.ME」という地図アプリだ。
MAPS.MEはグーグルマップのような地図アプリ。オフラインで使うことを前提に作られているためネット環境がなくても使用できる。その代わり事前に地図をダウンロードしておく必要がある。経路検索ができたり、登録されているスポットが多い点も魅力的。長期旅行者のほとんどが入れているアプリだ。
引用:長期旅行で本当に役立つガジェットとアプリ
Googleマップでも事前にダウンロードしておくとオフラインでも利用できるようだが、せっかくのオススメなので早速「MAPS.ME」をダウンロードしてみた。

続いては「Pocket」というアプリ。
ネット上の記事をオフラインでも読めるように保存できるアプリ。行く予定の観光地の情報や、泊まる予定のホテルの情報などとりあえずPocketに保存しておくとネット環境がなくても記事を読むことができる。事前に宿のWi-Fiで興味のある記事を大量に保存しておいて、長距離移動時にまとめて読んだりもする。
引用:長期旅行で本当に役立つガジェットとアプリ
iPhoneのメモのようなアプリなんだろうが、オフラインで読めるのは便利かもしれないと思い、これもまたダウンロードしておいた。

そして、ご存じ配車サービスの「Uber」。
これはすでにダウンロード済みだが、まだ一度も使ったことがなく日本では使わないなと思って画面上から削除していたのを再びダウンロードし直した。
中東ではタクシーが捕まらないことも多いようで、この機会にウーバーを利用してみるのも経験かもしれない。
東南アジアで主に使われている「Grab」についても別の記事で紹介されていた。

もう一つ、イヌイサトシさんが書いた「グループ旅行に最適!旅程共有アプリKAYAK」では、「KAYAK」というアプリが推奨されていた。
ホテル予約サイトBooking.com系列の関連会社が運営しているもので、航空券、ホテル、レンタカーの価格比較、予約がメインの機能だ。航空券の値段は購入時期や空席状況によって大きく変動する。KAYAKの予約画面では、7日以内に値段が下がる可能性がない場合は「購入」、7日以内に値段が下がる可能性がある場合「観察」と7日先の価格動向を独自のアルゴリズムと人工知能を駆使して予測してくれる機能がある。これのおかげで、予約のベストタイミングがわかる。過去14年分のデータを参照しており、その精度は“天気予報レベル”の正確さだという。
便利なのはメインの予約機能だけではない。航空券やホテルを予約した時に送られてきた予約確認メールをKAYAKに転送すると、自動的に旅程表を組み上げてくれる機能も付いている。この日程表が非常便利で、登録したフライトが遅延したり、ゲートが変更になったりしたら即座にアラートを送ってくれるし、ホテルの予約確認書を送っておけば、タクシーの運転手に行き方を現地語で示してくれる機能もある。旅行の予約を入れてから、日本に帰ってくるまでのスケジュールを一元化できるのだ。
引用:グループ旅行に最適!旅程共有アプリKAYAK
何から何まで至れつくせりのサービスで、このアプリで予約していなくても日程表機能だけの利用も可能なのだそうだ。
今回の中東旅行は主に「エクスペディア」で予約したが、同じような日程表機能があったので、きっと便利な機能はあっという間に真似されてしまうんだと思う。

和田虫象さんの「節約こそが醍醐味 世界ケチケチ旅」という記事では「カウチサーフィン」というマッチングサービスを教えてもらった。
無料で宿泊というと忘れてはいけないのが、旅行者とそれを泊めたいホストのマッチングサービスである「カウチサーフィン」。タダで泊まれるというだけでなく、街案内してもらえたり異文化交流という面でも非常にオススメだ(ただし、ホストとの交流や家のお手伝いは基本なので時間的余裕は必要)。
引用:節約こそが醍醐味 世界ケチケチ旅
これだけの説明ではよくわからないのでネットで調べてみると、カウチサーフィンが2004年に始まった世界で最も大きなホスピタリティー・エクスチェンジ・ネットワークだとわかった。
ウィキペディアに具体的な仕組みが書いてあった。
宿泊の交換、いわゆる「サーフィン」が機構の中心活動となる。これは通常、ホスト(自宅に宿泊を提供する人)、あるいはサーファー(宿泊の依頼をし受け入れてもらう人)のどちらかの役割をすることである。mixiなどのコミュニティーと同じく登録は無料であり、宿泊のリクエストを受け入れる義務が一切ないものの、組織のためにはある程度の参加が望ましい。旅行するときにお世話になる代わりに、地元にいるときに旅行する人の助けをするというイメージである。
メンバーのプロフィール情報が重要な役割を果たしている。プロフィールには自己紹介、当面の目標、写真、使用言語、訪れたことのある国、現在位置、カウチの有無、他人から受けた評価などの情報が掲載されている。メンバー同士に信頼を得るために、本名で登録している人が多いが義務ではない。
引用:ウィキペディア
自分の家に無料で旅人を泊める代わりに、旅行先でタダで他人の家に泊めてもらうという善意の交換というイメージだろうか。
私はこの取り組みにとても興味を持った。
私個人は、外国の旅人を自分の家に泊めることにとても興味がある。
民泊のようにお金をもらってサービスをするのではないので、隅々まできれいにしておかねばならないということでもないだろうし、いろんな国の人と自宅で交流できるのはきっと楽しいだろう。
そして自分が旅をする際にも、現地の人と会って話をすることができる。
なんて素敵な仕組みだろう。
ただ間違いなく、妻は絶対にやりたくないというに違いない。
知り合いでさえ、自宅に泊めるのは気を使うので嫌がるからだ。

もう一つ、タビクライフさんの「Workawayを使って世界を無料で旅しよう!」という記事も気になった。
Workawayというサービスをご存じでしょうか? 簡単に説明させていただくと“1日4〜5時間働く代わりに、泊まる場所とご飯を提供してもらう”という旅人には嬉しいサービスで、働き手を必要としているホストとなるべくお金をかけずに旅をしたい人の双方のニーズに応えたマッチングサイトです。
サイト内には世界のいろんな国の地域のホスト(受け入れる側で働き手を必要とする人)とワーカー(受け入れて欲しい人、僕たちのような旅人など宿とご飯を提供してもらいたい人)が存在しています。
旅資金の節約のために活用しようと考えて、実際に利用してお金をかけなくても世界を旅することができたことで、僕たちはとても満足していました。でも、このサービスには無料以上の魅力があるのです。そこで、僕たちが感じた3つの魅力をみなさんにご紹介させていただきます。
① きっかけ
まず1つ目が「きっかけ」です。Workawayはたくさんいるホストの中から、自分が望む条件に近い人をホストとして選んでいきます。普通に観光していれば出会うことのない人との出会いのきっかけになることはもちろん、ホストが住む街に訪れるきっかけにもなります。実際に僕たちが利用したときも、どの国も観光で訪れる旅人はほとんどいない地域でした。
② 経験
次に「経験」です。Workawayでは1日4〜5時間くらいの仕事をするのですが、その仕事の内容もホストによって様々で面白いです。僕たちの経験だけでも畑仕事、ゲストハウスのお手伝い、子供たちと遊ぶなどがありました。同じホストでもその日によって仕事内容が異なることもありました。この仕事は宿代とご飯代を提供してもらう代わりにこちらが提供している対価なのですが、僕たちからしたら、日本以外の国で様々な経験をさせてもらえることはお金を払ってでもしたい貴重なものに思えました。
③ つながり
これがWorkawayの一番の魅力と言ってもいいかもしれません。ホストと数日間、時には数週間、仕事の時間、ごはんの時間を共有するため、とても深いつながりを作りやすいです。地名も知らない、知り合いももちろんいなかった土地がWorkawayというサービスを通して信頼できるホストが住んでいる身近で大切な場所に変わる。これはお金以上に価値のあることだと感じました。
引用:Workawayを使って世界を無料で旅しよう
日本にも「おてつたび」という似たようなサービスがあるが、どうせなら外国の旅人を受け入れた方が面白そうである。
私自身が外国で働くというよりも、ホストとして旅人を受け入れ、岡山の農地で何かを一緒にするというのも悪くないと思った。

私がバックパッカーをしていた時代と比べると、ずいぶん旅の形式も多様化した。
この本からは、そうした今時の旅人の生態がほど走り出てくる。
知らない国を旅するドキドキ感、本を読んでいると若き日の旅のあれこれが思い出されて私もまた旅に出たくなってきた。
もしも妻に先立たれたら、私は迷うことなく長い放浪の旅に出るだろう。
若い頃のように動き回ることはできないかもしれないが、逆に時間と金は当時に比べてたっぷりある。
人生の最後は、自分にとって最も楽しくワクワクすることをした方がいい。
私の場合は間違いなくそれは旅なのだと思っている。
<吉祥寺図書館>ジョン・ヘイウッド著「世界の民族・国家興亡歴史地図年表」(2011年/イギリス/日本語版2013年柊風舎)