<吉祥寺残日録>台風一過の週末、来たる帰省に備え雑草と土壌の勉強を始める #211002

台風16号によって一日中雨が降り続いた昨日とは打って変わって、今日は朝から雲ひとつない青空が広がった。

ベランダに椅子を持ち出し、久しぶりに音楽など聴きながら日光浴を楽しもうとしたのだが、日差しがまだ強くてすぐに暑さに耐えきれなくなって家の中に入った。

今日は図書館に本を返しに行かなければならない。

このところ吉祥寺と岡山を行ったり来たりの生活が続き、どうも歴史など難しい本が手につかなくなってしまった。

返却する本を仕分けながら、借りたまま読んでいなかった一冊の本をパラパラめくり始めた。

NPO法人「大地といのちの会」理事長である吉田俊道さんが書いた『生ごみ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』という本である。

この先生の有機栽培理論は独特で、人間が耕作してきた農地よりも長年放置された耕作放棄地の方が良い野菜ができるというのだ。

ちょっと、その部分を引用させていただこう。

私はやむなくあちこちに畑を借りて農業を始めました。なかには、農地といっても名ばかりの、草ぼうぼうのジャングル状態という土地もありました。

そんな場所は、まず背丈ほどもある太い雑草や雑木を刈り、土が見える状態にするだけで汗だく。大変な作業です。

「こんなところ、借りるんじゃなかった・・・」

内心、恨めしい気持ちになることもしばしばでした。

しかし、そのジャングル状態から、農地として使えるまで復元させて育てた野菜に、私は目を見張りました。

その時はタアサイを作ったのですが、収穫の時にはすばらしい、見るからに青々としておいしそうなタアサイができたのです(元気野菜は見た目も美しいのが特徴です)。

一方、借地を始めるより前から、長年よく耕して整地されていた畑は、どんなに完熟した、いい堆肥を使っても、かなり虫に食われたタアサイになってしまうのです。

一生懸命堆肥を入れて種を撒いて飼料作物を育てて、それをそのまますき込んで耕しても、必死で手をかけて足掛け2年。

「やっぱりここは返すから、草ぼうぼうのところを貸して!」

最後にはそう言い出す始末。

実際、多くの労働時間とお金をかけた畑を返すのは無念で仕方がありませんでしたが、それを返してでも、新しい耕作放棄地を借りて出直した方が絶対に楽だということが、自分の体験を通して実感してしまったのです。

引用:吉田俊道著『生ごみ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』

かなり眼から鱗のお話だった。

なぜ、そんなことが起きるのか、吉田さんはその理由をこう説明している。

10年近く放ったらかしで草や木や竹がぼうぼうに生えているような「ジャングル」のような土地は、実は途方もなく元気な土地なのです。

そういう土地では、勝手に草が生えて、何年間も草が直射日光を浴びてきました。

太陽エネルギーをもらって、土の上も中も、エネルギーでいっぱいです。その草が枯れると、それをまた虫や微生物が食べます。だから、耕作放棄地は最初から、微生物の密度がはるかに違うのです。

草や木が微生物によって分解されてできたものを「腐植」といいますが、この腐植こそが、様々な微量ミネラルを生命のバランス通りに豊富に含み、野菜に最高のパワーを与えてくれるのです。

そのため、私は微生物のことを、愛情を込めて「菌ちゃん」と呼んでいます。

「菌ちゃん」こそが植物の栄養源であり、「菌ちゃん」が多ければ多いほど、その土は元気パワーにあふれた土になるのです。

引用:吉田俊道著『生ごみ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』

私が吉田さんのことを知ったのは、テレビで柴咲コウさんの番組を見たのがきっかけだった。

最近北海道との二拠点生活を始めた柴咲さんは、新たに農業を始めるにあたって長崎から吉田さんを先生として招いたのだ。

化学肥料を使わず、生ごみや雑草を肥料にする吉田さんのやり方に共感したからだという。

農業ど素人の柴咲コウさんと「菌ちゃん先生」こと吉田さんによる農薬を使わない野菜づくりの過程は、ありがたいことにYouTubeにアップされていて、詳しくトレースすることができるのだ。

こちらが今年7月にアップされた第1回。

「菌ちゃん先生」との対面から始まり、草刈りから畑作りまでど素人でも分かりやすく紹介されている。

耕した畝の上に枯れ草をかぶせ、その上から土をかける。

「糸状菌」という菌が雑草を分解する過程で土壌をふかふかにしてくれるのだという。

他にも、木屑や生ごみも肥料となるが、いずれも重要なのはこの「糸状菌」をいかに増やすかがポイントなのだそうだ。

そして2ヶ月経った最新版が2日前にアップされた。

マルチという農業用のビニールを剥がすと、その下に「糸状菌」が繁殖していた。

ここまで来れば、野菜の苗を植えたり直接種を撒くだけ。

2ヶ月後には立派な野菜ができるという。

こうして動画を見ていると、農業がとても簡単そうに見えてくる。

とはいえ、雑草の大変さはこの1〜2年で身にしみて教えられた。

そのため、まずは雑草についてもっと知らなければならないだろうと考え、今日図書館で雑草がらみの本を5冊も借りてきてしまったのだ。

吉田さんの本でも、雑草の大変さは記述されている。

確かに、いったん耕作を放棄して草ぼうぼうになった田畑を、再度農作物を作れる畑に復元するのは困難を極めます。竹やカズラやカヤなどの深い根を掘り起こし、できるだけ完全に拾い取っていくために、大型機械と多大な人手がかかります。

そしてやっとの思いで整地して野菜の種を植えても、畑全面に雑草が旺盛に太り、除草が間に合わず、数日放っておくと、野菜は草で隠れてしまうこともよくあります。

1ヶ月も手を入れなかったら、ほぼ元どおりの草ぼうぼう状態になり、せっかくの畑復元の苦労は水の泡。だから、たとえ何も作らなくても、年に何回かは畑を耕すことだけはしておこうと思うのも無理のない話なのです。

ところが、大型機械も使わず、労力も減らして、その代わりに時間だけはかけて、耕作放棄地を復元する方法があったのです。

約3〜4ヶ月間の期間をかけて、最初の1〜2ヶ月程度は10日に1回程度、ただ地上部を刈り倒すことで、地下部が弱ってきます。あとは2週間に1回程度の間隔で、最初はごく浅く、次第に深く、数回耕せば出来上がりです。

刈払機と耕運機があれば、労力はそれほどかかりません。時間とともに、固くて大きなカヤの根もカズラの根も、竹の根さえもそのまま微生物のエサになってミネラルの供給源になってくれます。

だから、何も作らないなら、耕作放棄して自然にまかせて草ぼうぼうにしておいた方が、土は自然のミネラルバランスを取り戻し、素晴らしい元気野菜の育つ宝物になるのです。

土をいじり回して、化学肥料や殺菌剤、殺虫剤、除草剤を使って効率よく作ろうとすると、土はどんどんバランスを崩していきます。

確かに、見た目はきれいです。草も生えず、「菌ちゃん」もほとんどいません。

その代わり、何を作っても、農薬を使わない限りすぐに虫が来るし、大きくなりにくいし、とにかくどうしようもない。まだ双葉が出たばかりの頃から、もう虫が来るのですから。

引用:吉田俊道著『生ごみ先生が教える「元気野菜づくり」超入門』

とても興味深い教えである。

本当に吉田さんの指導通りで畑が管理できるなら、それは素晴らしいことだろう。

しかし近所の人たちからは草刈りを求められている。

もう少し勉強して、自分なりの答えを見つけるしかないのかもしれない。

知らないことを勉強して、いろいろな人に教えを乞うている間に、きっと答えは見つかるはずだ。

焦らずのんびり、自分のペースで・・・。

<吉祥寺残日録>岡山帰省最終日に知る田舎ぐらしのしきたり #210922

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