海賊

伊勢志摩サミットが始まった。ホストの安倍さんは張り切っているが、かつてのようにサミットが注目を浴びることはない。私が報道の現場を離れているから、そう感じるのだろうか?

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安倍さんは唐突に、「世界経済はリーマンショック前の状況に似て来ているという認識で首脳が一致した」と言い出した。あまりにも唐突だ。消費税引き上げ延期のためのお芝居だと、誰にも分かってしまう。G7の意義を演出するのは、もはや容易ではない。それならば国内問題に利用してしまえと開き直ったようにも見える。したたかな安倍総理の真骨頂だ。

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明日はオバマ大統領の広島訪問。沖縄の女性暴行事件は、さらっと触れる程度でやり過ごした。

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日本人は外国人との交渉が苦手だ。言葉の問題でひるんでしまう。しかし、昔は腹の据わった日本人もいた。

百田尚樹さんの「海賊と呼ばれた男」のモデル、出光興産の出光佐三氏だ。

石油メジャーに対抗して次々に新たな事業に乗り出す。満鉄の潤滑油、巨大タンカーの建造、イラン石油、最新鋭の製油所、政府統制の打破。

誰とも妥協しない。業界のルールや政府の指導にも従わない。まあ変人と言えば、変人だ。こういう人が近くにいるとやっかいだろう。しかしここまで一貫していると痛快でもある。そして出光は、現在国内石油業界の2位で年商4兆円の巨大企業だ。来年には昭和シェルと合併するらしい。外資や天下りを一切拒み、社員を信じて戦いつづけた結果が今日につながった。

百田氏の文章はちょっと一方的でかなり美化されている気がするが、解説の堺屋太一さんが面白いことを書いている。

『何よりのおもしろさは、国際石油資本の唱える世界の秩序と、通産官僚やそれに融合する他の石油各社の主張する業界秩序、それに主人公らが掲げる努力したものが報われる自由競争的発想の、三つの「正義」の絡み合いである。』

この小説では、主人公の正義だけが強調されているが、他の正義も詳しく書き込んでくれたら、さらにリアリティーにとんだ面白さがあったのではと思う。

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出光佐三は、美術品の収集でも知られる。

帝国劇場のビルに出光の本社が置かれているが、その9階に出光美術館がある。本につられて、初めてこの美術館に足を運んだ。ちょうど美術館50周年の展覧会が開かれていた。出光のコレクションの中には、国宝や重要文化財も多数あるらしい。

なかでも佐三が愛したのが「仙がい」という僧侶が描いた作品だ。確かにユーモラスで、デザインとしても面白い。
俄に、出光という会社に興味が湧いた。

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