女友達

韓国の朴槿恵大統領がきのう任期満了前の退陣を表明した。

Embed from Getty Images

長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入疑惑が発覚、燃え上がる国民の怒りに追いつめられての退陣表明だった。

野党が提出しようとしている弾劾訴追案に与党の一部も賛成に回る見通しで、現役大統領として弾劾裁判にかけられる公算が強まっていた。ソウル市内では連日大規模な市民のデモが組織され、大統領の即時辞任を求めている。今回の退陣表明は時期を明示しておらず、時間稼ぎだとして今日も大統領への批判は収まっていない。

朴槿恵さんは2013年2月、韓国史上初の女性大統領に就任した。

日本では、セウォル号事故対応の不備や「その時男と密会していた」疑惑を書いた産經新聞支局長の逮捕、従軍慰安婦問題や竹島問題での頑な対応など、批判的な報道が続いたが、韓国国内では当初高い支持率を維持していた。

ところが崔順実の逮捕で支持率は急落し、最近では5%、若者層の支持は0%という数字が報じられた。

生涯独身を貫き、「国家と結婚した」と語っていた大統領。歴代大統領が身内の不正で退任後訴追されてきた歴史を繰り返さないよう、自らは親族を決して近くに置かずクリーンな政治を目指した大統領。そんな彼女にとって落とし穴となったのが長年の親友、崔順実被告だった。親族も近づけなかった青瓦台に崔順実はフリーパスで出入りしていた。

Embed from Getty Images

権力者は皆、孤独だと言う。多くの人間が思惑を持って接近して来る。「騙されてはいけない」「利用されてはいけない」そう思って会う人間を絞り込んだのかも知れない。その結果、昔から知っている人間だけが周りに残り、多様な情報が耳に入らなくなる。

その昔からの友人が権力を濫用していることをどこまで知っていたのだろうか。崔順実に利用されたのか、大統領は共犯なのか。韓国の検察は大統領の共犯を認定し、大統領府はこれに激しく反発している。

私個人は、どちらかといえば、大統領は崔順実がやっていたことの詳細は知らなかったのではないかと考えている。もちろん、自らの相談相手として民間人に情報を流すこと自体が問題である。ただ、朴自身は最後まで自らの政権はクリーンでありたいと考えていたのではないかと想像する。しかし、理想を語るだけで、事実を知らされず、知ろうともせずここまで来てしまったのではないだろうか。就任当時の朴大統領のたたずまいに好感を持っていたので、ちょっと評価が甘くなっているかも知れないが、そんな気がしてならないのだ。

Embed from Getty Images

女友達との微妙な関係はなかなか男にはわからないようだ。

林真理子の「東京」という短編小説集を読んで、その感を一層強くした。林さんの小説は初めて読んだ。図書館でたまたま目につき、何気なく借りてきた。

読んだ感想は、日常的な女性の人間関係に潜む恐怖だ。ちょっとした表情や仕草から相手の心理を読み解き、少し毒を含んだ言葉を投げかける。相手の言葉に含まれる隠された意味を感じ取り、憤ったり、傷ついたりする。こんな微妙な心理ドラマは男にはなかなか書けないだろう。感性鋭い男は分かるのかも知れないが、少なくとも私には無理だ。しかし、そんな鈍感な私にも伝わる林さんの筆力はすごいのだろう。

4編収録された短編の中でも、特に印象的だったのが「東京の女性(ひと)」という作品だ。

田舎出身のキャリアウーマンが東京育ちの編集者と結婚することになり、男の父親の知り合いだった未亡人が住む高級住宅地の一軒家に間借りすることになる。東京を体現したような老女との暮らしの中で揺れ動く地方出身のキャリアウーマンの心理が非常に細やかに描かれる。すべて日常的なやりとりや出来事の積み重ねなのだが、サスペンスを読むようなザワザワ感がある。本当に女性の心理戦はスリリングだ。

そして、この短編集に登場する男たちは、だいたい鈍感で純朴だ。私には死ぬまで女性の心理は理解できないだろうということが理解できた気がする。

img_2969

今日は早めに帰宅。井の頭公園駅で降り、公園内を歩いて帰った。桜の木はすでに葉を落とし冬の装いになっている。もみじはまだ赤い葉をつけていたが、ピークの過ぎた萎れた老女のように見えた。

きょうで11月も終わり、日に日に残る葉の数が減っていく。

コメントを残す