<吉祥寺残日録>さよなら、トランプ!バイデン氏が勝利宣言 #201108

膠着状態が続いてたアメリカ大統領選挙は、ようやく決着がついたようだ。

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勝ったのは、民主党のジョー・バイデン氏。

今月20日には78歳を迎えるアメリカ史上最高齢の大統領誕生である。

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大接戦が続き慎重に開票作業が行われていたペンシルベニア州とネバダ州で、日本時間の今朝バイデン氏の勝利が報じられ、主要メディアが相次いでバイデンさんに当確を打った。

この報道を受けて、アメリカの各都市ではバイデン支持者たちが街に繰り出し、「TRUMP IS OVER(トランプは終わった)」のプラカードを掲げて歓声を上げた。

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バイデンさんの当選がこのまま確定すれば、副大統領にはカマラ・ハリス上院議員が就任する。

ハリスさんは、ジャマイカとインド出身の両親を持つ初めての黒人・アジア系副大統領、そしてアメリカ史上初の女性副大統領となる。

文字通りのアメリカンドリームの体現者だが、高齢のバイデンさんに万一のことがあれば任期中に大統領に就任する可能性さえあるのだ。

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バイデンさんに先立って演壇に立ったハリスさんは、実に堂々とした演説をした。

言葉は短くて力強く、表情も豊か、スピーチがとてもうまい。

温厚なバイデンさんよりも攻撃的な印象があり、ギラギラした野心も感じる。

彼女の存在が、新政権の方向性を大きく左右するかもしれない。

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そして、バイデン次期大統領が登場し力強く勝利宣言。

トランプ氏に投票した人も含めて「みんなの大統領になる」と強調した。

バイデンさんは若い時から様々な苦難に直面し、それを乗り越えてきた政治家だ。

心の底から国民の融和を願っているという姿勢に嘘はないだろう。

しかし、ここまで大きく分断されたアメリカ国民を一つにまとめるのは、言葉で言うほど容易ではない。

あれほど期待され8年の任期を全うしたオバマさんでさえ、訴え続けた理想をほとんど実現できずにトランプ大統領誕生に道を開いたのだ。

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「みんなの大統領」とは、そんな存在なのか?

参考になるのは、トランプ支持者の多くが経済と治安を重視していたという分析結果である。

民主党内では急進左派と呼ばれる若手が力を伸ばしていて、新政権に対して過激な要求が身内から突きつけられることは確実だ。

もしバイデンさんがそうした身内の要求に振り回されて経済と治安の分野で成果を上げられなければ、「トランプ時代の方が良かった」という世論がきっと高まってくるだろう。

「脱トランプ路線」を着実に進めつつ、経済や治安についても合格点を取り続ける、これこそが「みんなの大統領になる」という公約を実現する道なのだ。

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一方、敗れたトランプ大統領。

ゴルフの最中に「バイデン当確」のニュースを聞いたという。

1期4年で大統領の座を失うのは1992年のブッシュ(父)さん以来となるが、それでもご本人は「まだ終わっていない」と敗北を認めず、法廷闘争を最後まで続けるつもりらしい。

最後の最後まで、駄々っ子のような振る舞いだ。

トランプさんの辞書には、「恥」とか「名誉」という言葉は書かれていないのだろう。

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熱狂的なトランプ支持派もトランプさんに同調して、「選挙は不正だ」と抗議活動を続けているが、一度できた「バイデン勝利」の流れをひっくり返すのは難しいだろう。

むしろ、急速にトランプさんの求心力がなくなり、これまで表に出なかった政権のスキャンダルが次々に暴露されるのではないかと予想する。

特にトランプファミリーが絡んだ問題は必ず表面化するだろうと思っていて、イスラエル絡みの裏工作でイヴァンカの夫であるクシュナー氏あたりが標的になる気がしている。

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ともあれ、あと4年間、トランプ政権が続くという悪夢は避けられそうだ。

まずはバイデンさんの「いい人」オーラで社会を癒し、アメリカを良識ある軌道に戻すことを期待したい。

選挙も終わったので、バイデンさんには無理して小走りするのをやめてもらいたい。

逆に老いを感じさせるだけだ。

むしろ見習うべきは、フランクリン・ルーズベルトが行った「炉辺談話」だと私は考える。

ルーズベルトは当時普及し始めたラジオを通じて国民に直接語りかけた。

トランプさんの嘘と悪意に満ちたツイッターに代わり、わかりやすく率直な言葉で国民にメッセージを発信するスタイルがバイデンさんらしさにつながるだろう。

目先の利益を最優先したトランプさんの強欲主義に対し、人間の尊厳や自由といったお金では買えない価値観をアメリカ国民に呼び戻すことが、バイデンさんの歴史的使命だと思う。

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さよなら、トランプ。

彼がホワイトハウスを去ることで、もっと優しく寛容性のある世界が始まるきっかけになってほしいと願うばかりだ。

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