G7 衝撃の一枚

投稿日:

異例中の異例とも言えるG7サミットだった。

この一枚の写真が、今回のサミットを象徴している。

96958A9F889DE1E3E7EBE3E3EBE2E3E2E2E4E0E2E3EA9494EAE2E2E2-DSXMZO3159113010062018I00001-PB1-2

腕組みをするトランプ大統領に断固として物申すドイツのメルケル首相。

メルケル首相が自らアップした写真だという。理不尽なトランプ氏の姿勢が腹に据えかねたのだろう。安倍さんら各国首脳が困った顔で二人を取り囲む。こんな写真が公表されることはまさに前代未聞だ。

果たしてサミットで何があったのか?

日経新聞にその舞台裏が載っていた。全文引用させていただく。

Embed from Getty Images

 

『 8~9日の日米欧主要7カ国(G7)首脳会議(シャルルボワ・サミット)は、首脳宣言の発表で協調を演出したはずが、閉幕から3時間でトランプ米大統領がひっくり返す異例の展開となった。米国の鉄鋼輸入制限に批判が集中し、G7会議は二転三転どころか五転も六転もしながら紛糾。かえって「貿易戦争」のリスクが膨らんだ。

「首脳宣言を承認しない。自動車の関税措置を検討するためだ」。サミット閉幕から3時間足らずの9日夜、トランプ氏は米朝首脳会談への途上でツイッターで突如表明した。「膝詰めで議論を重ねた」(安倍晋三首相)はずの首脳宣言は、あっという間に反故(ほご)にされた。

直接のきっかけは議長国カナダのトルドー首相の記者会見だ。米国が鉄鋼輸入制限をカナダや欧州連合(EU)へ広げたことに反発。7月に報復関税を課すと表明した。トランプ氏はそれにかみついて「トルドー氏はG7会議中はおとなしかったが、自分がいなくなった後に『米国の関税は侮辱的だ』と言った」と激しく不満をぶつけた。

伏線はいくつもあった。米国が鉄鋼輸入制限を広げた1日、まずG7財務相会議が大荒れとなった。議長国カナダは米国に「失望と懸念」を表明。6カ国の総意としてムニューシン米財務長官に「トランプ氏に伝えるように」と申し渡した。

報告を受けたトランプ氏は、サミットの出席を渋ったという。ペンス副大統領を代理で送り込む案も検討。最終的には途中退席して米朝首脳会談に向かう「G7軽視」の日程でトランプ氏が参加することになった。首脳宣言の調整は進まず「全くの白紙」(日本側外交筋)で開幕日を迎えた。

「G7は関税ゼロ、非関税障壁もゼロにしようじゃないか」。8日、現地到着が1時間ほど遅れたトランプ氏は、巨額の貿易赤字に不満を募らせてサミットでも持論を主張した。「でも一方的な輸入制限は認めない」。マクロン仏大統領らはトランプ氏に反論し、会議は冒頭から紛糾した。

決裂すればG7内で報復関税の応酬に突入しかねない。動いたのはメルケル独首相だ。8日朝、フランス、イタリア両国首脳に「米国と新たな対話の枠組みを提案する」と告げて了解を得ていた。トランプ氏はメルケル氏の「米欧新協議」を受け入れ、G7はわずかに協調へと動き出した。

ただ、夜に首脳宣言の最終調整を始めると、再びG7は分裂した。欧州勢は署名の条件として「多国間ルールによる貿易の推進」を明記するよう求めた。世界貿易機関(WTO)ルールに抵触しかねない米国の輸入制限を封じるためだ。トランプ氏は「受け入れられない」と拒否。G7は再び袋小路に迷い込んだ。

翌9日朝、メルケル氏側が写真共有サイトに投稿した一枚がある。6カ国首脳が腕を組むトランプ氏を取り囲み、説得するシーンだ。各国は同氏の主張にも寄り添い「関税引き下げで努力する」などと首脳宣言に盛り込む案を提示していた。

それでも首を縦に振らないトランプ氏。折衷案を出したのは安倍氏だった。「『自由で公正なルールに基づく』ならいいだろう」。WTOルールを連想させる欧州案の「多国間ルール」との文言を微妙に修正し、トランプ氏も「シンゾーの案に従う」と最後は折れた。

ただ、トランプ氏の妥協は、もともとG7の首脳宣言を軽視していた姿勢の裏返しともいえる。同氏はG7を途中退席して急きょ記者会見に臨み「不公正貿易から米国を守るためなら、どんな手段も採用する」と関税発動を正当化した。さらには「首脳宣言は承認しない」と自動車関税の発動に言及する9日夜の表明につながっていく。

市場はG7に「貿易戦争」の回避を期待したが、かえって「1対6」の亀裂の深さを露呈する最悪の結末となった。報復関税を掛け合う「貿易戦争」に突入すれば、米国も欧州勢もカナダも産業・雇用に実害が及ぶ。メルケル独首相は10日、現地テレビに「ツイッターで首脳宣言を撤回とは、驚いたし落胆もした」と述べ、EUが米国への報復関税の準備に入っていると指摘した。G7がこのまま打開策を見いだせなければ、歴史に汚点を残すサミットと評価されかねない。』

Embed from Getty Images

 

サミット閉幕を待たずに米朝首脳会談が開かれるシンガポールに向かったトランプ大統領。頭の中は、「歴史に名を残す」米朝会談で一杯なのだろう。居心地の悪いG7の場からさっさと逃げ出し、自分にスポットライトが当たる晴れ舞台に逃げ込む。まるで幼児の行動だ。

しかも、ツイッター1本で首脳宣言を吹っ飛ばしてしまった。

かつてこれほどG7サミットが軽視されたことがあっただろうか?

このG7サミットと時を同じくして、もう一つの国際会議が開かれていたことはあまり報じられていない。

中国やロシアなど8カ国で作る上海協力機構(SCO)の首脳会議だ。こちらも日経新聞の記事を引用しておく。

96958A9F889DE1E3E7EBE2E0E0E2E3E2E2E4E0E2E3EA9F9FE2E2E2E2-DSXMZO3159020010062018MM0001-PB1-5

『 中国やロシアなど8カ国でつくる上海協力機構(SCO)の首脳会議は10日、中国の山東省青島で共同宣言を採択して閉幕した。反保護主義を掲げ、北朝鮮の非核化やイラン核合意といった国際的な課題に結束して取り組む姿勢を打ち出した。亀裂が深まる日米欧主要7カ国(G7)への対抗軸として、中ロ主導の枠組みが存在感を増している。

会議終了後、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席やロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相ら8カ国の首脳はそろって記者会見場に姿をみせた。共同文書である「青島宣言」に署名した後、議長を務めた習氏は「我々はいかなる貿易保護主義にも反対する」と明言した。

記者会見は質疑応答こそなかったが、第三国のメディアを含め約300人の記者が出席を認められた。中国で習氏が出る記者会見にこれだけ多くのメディアが招かれるのは珍しい。トランプ米大統領の「米国第一主義」で分裂含みのG7首脳会議と対照的に、SCOの結束ぶりを世界にアピールする狙いがあったとみられる。

中ロと中央アジア4カ国の6カ国で構成していたSCOには2017年、インドとパキスタンが正式に加盟した。今回は8カ国体制になって初めての首脳会議だ。習氏は10日の全体会議の冒頭で「SCO加盟国の経済規模は世界の20%、人口は40%を占めるに至った。国際的な正義と公正を守るうえで無視できない勢力になっている」と誇った。

習氏の口からは、国際秩序をかき乱すトランプ米政権を意識した発言が繰り返し飛び出した。「貿易の保護主義や反グローバリズムの潮流が次々と表れている。しかし、地球村で各国の利益は日増しに混じり合っており、運命は共にある」。プーチン氏やモディ氏も、自由貿易やグローバル化を支持する立場を明確にした。

会議では、12日にシンガポールで開かれる史上初の米朝首脳会談をにらみ、朝鮮半島情勢についても話し合ったとみられる。北朝鮮の「後ろ盾」として影響力を行使したい習氏は、ロシアを含めたSCO加盟国に足並みをそろえた対応を求めたもようだ。

今回の会議には、イランのロウハニ大統領もオブザーバー国の首脳として参加した。トランプ氏が離脱を表明したイラン核合意に関し、中ロは合意の存続をめざす考えで一致しており、会議でも同様の方針を確認したとみられる。』

Embed from Getty Images

 

すっかり立場が入れ替わってしまったアメリカと中国。

トランプ大統領の登場で歪む世界情勢の中で、北朝鮮問題はどのような展開を見せるのか?

いよいよ明日、注目の米朝首脳会談が開かれる。

もはや常識は通用しない。

日本も、これまでの常識にとらわれないアクロバティックな動きが求められている。

コメントを残す