<吉祥寺残日録>100歳8万人時代!与野党は日本の現実を直視せよ #200915

昨日、自民党の菅義偉新総裁が決まり、今日は新しい執行部の顔ぶれが決まった。

要の幹事長には予想通り二階俊博氏が再任、総務会長に佐藤勉氏(麻生派)、政調会長に下村博文氏(細田派)、選対委員長には山口泰明氏(竹下派)を起用した。

そして、国対委員長の森山裕氏(石原派)も再任、無派閥の野田聖子氏が幹事長代行に起用され執行部入りした。

総裁選で菅さんを推した5派閥と無派閥議員にポストを割り振った形だが、党内基盤がない菅さんとしては、まあこうなるのはやむをえないだろう。

問題は、内閣の人事だ。

今の段階で報道されているのは、注目の官房長官には加藤勝信氏を起用、河野太郎氏が行政改革相に横滑りし、麻生財務相、茂木外相、梶山経産相、萩生田文科相、小泉環境相など主要閣僚は留任だという。

まあ、自民党内の実力者が入閣しているという意味では安定感はあるだろうが、麻生さんのあの嫌味をまだしばらく聞かないといけないと思うとちょっと気が重い。

菅さんと麻生さんの関係は微妙だと伝えられているし、麻生さんは早くも早期解散を自由に発言しているので、菅さんがどこまでこうした大物たちを使いこなせるのか前途多難が予想される。

政策的には、菅さんが力を入れようとしているデジタル庁という大仕事は党内きってのデジタル通と言われる平井卓也氏に任せることになる。

コロナ対策の要となる厚労相には専門家と言われる田村憲久氏が返り咲き、これまで調整役を務めてきた西村康稔氏とタッグを組むようだ。

菅さんが「国民のために働く内閣」というだけあって、まずは実務能力の高そうな顔ぶれだと感じる。

一方、150人の議員を抱えて新たに船出する最大野党の立憲民主党は、今日結党大会を開いたのだが、民放ではほとんどニュースにもなっていなかった。

かつて、民進党や民主党が旗揚げした時のようなメディアの期待感はまったく存在しない。

それもそのはずである。

執行部の顔ぶれは、枝野代表のほかに、幹事長に旧立民幹事長の福山哲郎氏、政調会長には旧国民民主の泉健太氏、同党幹事長だった平野博文氏は代表代行兼選挙対策委員長をすえた。

両党の合同作業を進めてきた中心メンバーをそのまま起用してまずは党を一つにするという意図はわかるが、国民には何のワクワク感もない。

早期解散も有力視される中で、消費税を何とか選挙の争点にしようという狙いが見えるが、果たしてどんな未来像を描いているのか?

まったく響いてくるものがない。

そして今日はもう一つ、合同新党に加わらなかった国民民主党のメンバー15人が新たな「国民民主党」を設立した。

こちらには前原誠司氏、山尾志桜里氏もいるが、代表には玉木雄一郎氏が止まり、大塚耕平が代表代行、幹事長には榛葉賀津也を起用した。

立憲民主党よりは少し保守的な立ち位置を目指すのだろうが、立憲民主党との協力関係は維持するという。

どうせなら維新の党と合流したり、かつて前原さんが手を結んだ小池百合子さんや自民党で居場所を失いつつある石破茂さんなどと組んで新たな保守政党を作った方が有権者にとっては有益かもしれない。

まあ何にせよ、国民の間に大きなブームを巻き起こすような兆しは1ミリも見られないというのが今日の段階での状況である。

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与野党が新しい船出をした“記念すべき”日に、厚生労働省からある数字が発表された。

全国の100歳以上の高齢者は過去最多の8万450人となり、初めて8万人を超えたというのだ。

しかも、この1年間での増加数は9176人、実に10%以上の急増ぶりなのだ。

我が家でも、将来面倒を見なければいけない親や伯母が87歳から92歳まで4人もいる。

もしみんな100歳まで生きるとすれば、私もその時には後期高齢者の仲間入りだ。

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「長寿は喜ばしいこと」と手放しで喜んでいられる時代はとっくに終わっている。

「死なない社会」がこれだけのペースで進めば、確実に若い世代に大きな負担となり、社会の活力を奪って行く。

しかし、与野党もメディアもそうした現実を直視し、国民にとって「耳の痛い話」をすることから逃げているように私には感じられる。

自民党の総裁候補3人がテレビ東京の番組に出演した際、「将来的に消費税引き揚げが必要か?」と問われ、菅さんだけが丸印の札をあげた。

それが大きな波紋を広げ、翌日菅さんは「安倍総理は今後10年間、消費税引き上げは必要ないと言っていたが自分も同じ考えだ」と火消しに躍起になっていたが、菅さんには堂々と厳しい現実を国民に語っていただきたいと思う。

日本で進んでいる超高齢化社会は、今後10年間、消費税を引き上げなくても大丈夫などと言っていられる状況ではない。

たとえ70歳まで働ける社会を実現したとしても、60代の労働生産性は極めて低く、その雇用を企業に背負わせることは国際競争力を奪い、日本企業の衰退につながって行くだろう。

しかも、70歳でリタイアしたとしてもまだ30年間、公費で支えなければならないのだ。

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ヨーロッパ諸国では、消費税20%台は当たり前である。

日本人は医療や介護は公費で賄われるのが当たり前と考えているが、そうであるならば、それ相応の負担はしなければならない。

現状は国が借金を増やし続け、将来世代にツケを残して高齢者が自らが負担してきた以上のサービスを受けている状況だ。

自分たちが生きている間だけ制度が維持できれば今のお年寄りたちは幸せかもしれないが、世代間の公平という考え方をもっともっと日本社会に根付かせて行くべきだと思う。

岸田さんが訴えていた格差の問題に本気で向き合って行くのか、それともトランプさんのように自分の老後は自分で面倒を見る弱者切り捨て社会を受け入れるのか、与野党には次の総選挙でビジョンを示してもらいたい。

バラ色の解決策などは絶対にない。

消費税ゼロを主張するポピュリスト政治家を絶対に信用してはならない。

生産性を上げて経済のパイを大きくすることも必要だが、同時にマイナンバーカードの普及を義務化して自営業者の所得を補足して税の徴収を公平にした上で、全ての国民に応分の負担を求めて行く、そんな耳の痛い話をしてくれる政治家を私は待っている。

それは自民党や公明党の支持者にとっては、特に耳が痛い話になるかもしれない。

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