<吉祥寺残日録>逃げ場のなかった黒川検事長の哀れ #200522

渦中の東京高検・黒川検事長が辞表を提出した。

理由は、誰も予想しなかった「賭けマージャン」。5月初めに産経新聞社の記者2人と朝日新聞社の元記者の社員の4人で賭けマージャンをしたという記事が、週刊文春にすっぱ抜かれた。

当然のごとく、黒川検事長に対する批判が各方面から吹き出し、森まさこ法相は法務省の調査に事実関係を認めて辞表を提出したことを明らかにした。黒川氏の処分は訓戒となった。

森大臣からの報告を受けた安倍総理は、「法務省の対応を了承した」と述べた上で、黒川氏の定年延長を無理やり閣議決定した責任について「最終的に当然責任がある。批判は真摯に受け止めたい」と自らの責任を認めた。

事は、黒川氏が検察幹部としての資質に欠けていて、検察に対する信頼を傷つけたために辞職するという方向であっけなく幕引きとなりそうだ。

しかし、本当にそれだけの話だろうか?

この一報を聞いた時、私は直感的に、これは黒川さんの「自作自演」だと感じた。

つまり、黒川さんは賭けマージャンが自らの進退に直結する大問題となることを承知で、あえて賭けマージャンを行ったのではないかと思ったのだ。

そうでなければ、国会で検察庁法改正案が審議される一番デリケートな時期に、しかも新聞記者を相手に賭けマージャンなどするだろうか?

しかも、記者の自宅で行われた密室の行動が、たちまち文春に漏れたのだ。

元テレビマンとして、これはとても額面通りには受け取れない。

緊急事態宣言下で麻雀をしたこと、相手が新聞記者だったことなど、いろんな問題が絡んでいるが、ここでは黒川さんの心の内に絞って私なりに推理してみたい。

黒川さんはこのまま何事もなく検事長を続けていると、夏には安倍政権によって検事総長に就任させられる可能性が高いと考えられていた。そうなれば世論の反発が再び高まり、検察内部からも強い批判が出るだろう。

政治に利用されることを良しとせず、かと言って自ら辞任を申し出ることも許されない。黒川さんは、完全に逃げ場を失っていたのではないか?

そんな状況に置かれていた黒川さんが選んだのは、自らの名誉を失っても、検事として許されないスキャンダルを起こし辞任への道を作ることだったのではないだろうか?

これは私の妄想に過ぎないが、そうでなければ、この時期に新聞記者と賭けマージャンをし、それが週刊誌に漏れるという非常識は理解できない。

黒川さんは、逃げたかったのだ。

政治に利用される操り人形から・・・。

もし私の妄想が当たったいたら、定年まで正義と政治の狭間で苦労してきた黒川さんの検察人生は、あまりに哀れである。

辞表提出後、黒川検事長は次のようなコメントを発表した。

『この度報道された内容は、一部事実と異なる部分もありますが、緊急事態宣言下における私の行動は、緊張感に欠け、軽率にすぎるものであり、猛省しています。このまま検事長の職にとどまることは相当でないと判断し、辞職を願い出たものです』

黒川氏は、定期的に記者たちと麻雀を行っていたという。

真実は、黒川さんの心の内に秘められることになるだろう。

それでも、黒川さんは逃げることで検察官としての最後の意地を示したと考えたい。

そして、官邸の用心棒とも呼ばれた黒川検事長が辞任し、これ以上捜査に手心を加えることはなくなった今、問われるのは検察の今後だ。

これをきっかけに、安倍政権下での闇が少しでも解明されるよう、検察の奮起を望みたいものである。

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