<吉祥寺残日録>白内障手術を前に髪を切る #200904

少し涼しくなったからだろうか?

夜明け前に目を覚ますことが少なくなってきた。

日の出を眺めたのは何日ぶりだろう。

やはり、日の出というのは気持ちの良いものだ。

新たな1日が始まるという清々しさがある。

それは政治の世界でも同じことが言えるようで、昨夜配信された朝日新聞の世論調査がとても興味深い。

朝日新聞社は2、3日に世論調査(電話)を行い、辞任を表明した安倍晋三首相の後継に誰がふさわしいかを聞いた。菅義偉官房長官が38%で最も多く、石破茂・自民党元幹事長が25%で続き、岸田文雄・同党政調会長は5%だった。

6月の調査で、7人の名前を挙げ、次期総裁にふさわしい人を聞いた時は、石破氏がトップで31%。菅氏は3%だったが、逆転した。

出典:朝日新聞「次期首相ふさわしいのは「菅氏」最多」

「国民の人気は石破さん」とずっと言われてきたが、ここに来て菅さんが一気に逆転したらしい。

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この結果について、私は特に驚かない。

もちろん勝ち馬に乗る心理もあるかもしれないが、苦労人である菅さんの経歴などを初めて知って好感を抱いた国民もいたのだろう。

一方、岸田さんにとっては、政治生命を失いかねない「死刑宣告」のような厳しい数字でもある。

いずれにせよ、菅さんが新総理になった時には、とても心強い世論の変化と言わざるを得ないだろう。

同じ朝日新聞の世論調査で、もう一つ興味深い数字が明らかになった。

朝日新聞社が2、3日に実施した世論調査(電話)で、第2次安倍政権の7年8カ月の実績評価を聞くと、「大いに」17%、「ある程度」54%を合わせて、71%が「評価する」と答えた。「評価しない」は、「あまり」19%、「全く」9%を合わせて28%だった。

安倍首相の政策の中で、評価する政策を選んでもらうと、「外交・安全保障」の30%が最も多かった。「経済」24%、「社会保障」14%、「憲法改正」は5%だった。「評価する政策はない」は22%だった。

出典:朝日新聞「安倍政権を「評価する」が71%」

辞意を公表する前の内閣支持率は30%台に落ち込んでいた安倍政権だが、辞めるとなった途端、一気に世論が変わったことがわかる。

安倍政権を評価する人が実に71%、しかも朝日新聞の調査での数字なのだ。

「辞める人を悪く言わない」といういかにも日本人らしい反応といえばそれまでだが、多くの国民がこのように評価した気持ちは私にもよくわかる気がする。

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歴代の日本の総理と比べて、安倍さんは明らかに外交に長けていた。

トランプ政権の誕生や中国の台頭といった大きな外部環境の変化にも関わらず、安倍さんは外国の首脳と対等に渡り合う「恥ずかしくないリーダー」であり、鳩山さんのように自らのスタンドプレーで墓穴を掘るような失敗はしなかった。

経済で見ても、株価だけでなく、若者たちの就職状況もずっと好調だった。

7年8ヶ月にわたり、人口減少に直面した日本社会が、比較的安定して成長軌道に乗ったことはある意味奇跡的であり、少なくとも「明日がどうなるかわからない」という不安を国民に感じさせなかったことだけでも良かったと思う。

そうしたことを、多くの国民が冷静に振り返った実感が世論調査の数字に表れたと言えるのだろう。

その一方で、安倍個人さんには多くのスキャンダルが付き纏い、そのごまかし方が国民の不信感を招いた。

さらに、平和憲法を改悪する恐れを常に感じていた人も、私だけではなかったはずだ。

そうした安倍さん個人に対する「信頼」の欠如が、内閣支持率を押し下げていた最大の要因であり、安倍さんが退陣することが決まった今、安倍政権の実績を素直に評価しようという土台が生まれたのだと私は考える。

時代のコマが、一つ前に進んだのだ。

コロナの状況や米中対立に何か大きな変化があったわけではないが、トップの顔が変わるだけで、世の中の空気はなんとなく変わってくるものである。

巷間言われている通り、解散総選挙は近いかもしれない。

そんな金曜日、私は散髪に行った。

来週月曜日に予定されている白内障の手術に備えて、髪の毛が目に入らないよう短めに切ってもらうためだ。

もう会社も辞めたので、坊主頭にしても良かったのだが、行きつけの床屋の店長に相談したところ、「坊主頭はあとの手入れが面倒だから、任せて」と言って、シャカシャカとハサミを動かし始めた。

この店長、とにかく仕事が早い。

バサバサとハサミを動かして髪を大胆に切っていると思ったら、「こんな感じでどう」と、もう出来上がり。

鏡に映った自分の髪は、確かにいつもよりかなり短くなっている。

髪を洗い、最後にササッと髪全体にワックスをつけて整えると、吉川晃司風の髪型になった。

「悪くない」と思った。

私はとにかく面倒なのが嫌なので、学生の頃からずっと髪は少し長めで一切の整髪料は使わず、洗髪後も放ったらかしでドライヤーも使わないですむ髪型で通してきた。

だから、髪型が大きく変わったのは40年ぶりぐらいではないかと思うのだ。

家に戻ると、妻が「良いじゃない」と言った。

でもワックスを使っているからきれいにまとまっているだけなので、洗って放ったらかしていたらどんな髪型になるのやら・・・。

それにしても、髪を短くするとやはり白髪が目立つ。

別に今更、白髪が嫌とも思わないし、散髪屋の店主も「もっと白くなった方が格好いいよ」と言っていた。

私の父は年老いても真っ白の髪にはならず、最後までごま塩頭だった。

そんなことを、鏡に映る自分を見ながら思い出していた。

散髪以外に、もう一つ手術に備えた準備をした。

手術後、誤って目に物が入らないよう、水泳用のゴーグルを買ったのだ。

眼科では眼帯をしてくれないらしいと聞いた妻が、代わりにゴーグルをして寝るよう私にしつこく提案したためである。

知っている何軒かのスポーツ店を回ったがどこもゴーグルを扱っておらず、結局「西友」の夏物セール会場に残っているのを見つけ一つ買い求めた。

ゴーグルなどしてると寝苦しいから、普通のアイマスクで十分だと私は主張しているのだが、妻はアイマスクでは無意識のうちに外してしまうからと頑強にゴーグルをさせようとする。

ゴーグルかアイマスクかの論争は、手術後に状況を見ながら改めてすることになるだろう。

とにかく、これで白内障の手術の準備は整った。

明日からいよいよ、眼軟膏と点眼液が始まる。

手術後10日間は頭を洗うことができなくなるが、その間行きつけの床屋さんが無料で洗ってくれるという。

ありがたいことだ。

白内障の手術が無事に終われば、世の中がもう少しくっきり見えてくるだろうと、私は密かに期待している。

果たして、どうだろうか?

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