<吉祥寺残日録>河井夫妻逮捕と検察の復権 #200618

国会の閉会直後、東京地検特捜部は、前法相の河井克行容疑者と妻で参院議員の案里容疑者を公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕した。現職国会議員夫妻の逮捕は初めてのようだ。

安倍一強体制の下、政権がらみの疑惑が次々に闇に葬られてきただけに、カジノ疑惑に次ぐ今回の国会議員逮捕は、検察の復権を印象づける。

今回の捜査は、広島地検が手がける選挙違反事件、しかもウグイス嬢への日当が法定上限を超えているという些細なところから始まったことに注目したい。

政権側を油断させる狙いがあったのではないか?

しかし、当初から河井法相(当時)による買収を視野に入れていた。そして買収に使われた資金は、自民党本部からの1億5000万円という破格の活動資金であり、この金を河井夫妻に渡すことを決めたのは幹事長や総裁と考えるのが常識だろう。

ウグイス嬢の問題と見せかけて、最初から権力中枢を狙い撃ちした捜査だったのだ。

そして途中で潰されることなく、逮捕までこぎつけた。

安倍長期政権下の見慣れた風景とは違う「新たな日常」が始まった印象を受ける。

この捜査の過程で、「官邸の番人」と呼ばれた黒川検事長の定年延長問題が挫折する。安倍官邸が強引な手法で、黒川氏を検察のトップに据えて自らに対する疑惑を封印しようという思惑が崩壊したのだ。

官邸サイドからの退職要求を拒み続けた稲田検事総長の執念であり、全国の検察官たちの意地の表れだと感じた。

焦点は、捜査が河井夫妻だけに止まるのか、さらに自民党中枢にも及ぶのかという点だ。

さらに言えば、経産省と電通の長年の癒着も、贈収賄の臭いがプンプンする。

経産省出身の前田泰宏中小企業庁長官と電通出身の「サービスデザイン推進協議会」平川健司前理事長の関係と公的案件の入札疑惑である。

2人の関係は2009年の家電エコポイント時代から始まっており、私は前田長官は電通を自らの手足をして利用することによって出世の階段を登って行ったのだと理解している。

数千億円規模のビッグプロジェクトが次々に電通に流れ、その隠れ蓑として様々な協議会が作られたのだろうが、今回のコロナ危機対応で持続化給付金の事業に同じスキームを使ったのが命取りとなった。

生きるか死ぬかの瀬戸際にある多くの中小事業者にとって、手続きや給付の遅れは死活問題であり、その裏で巨額の公金が電通に流れていたことが明らかになったのだ。

経産省と電通のこれまでの関係は、抜本的に解明されなければならないだろう。

少し時間はかかるだろうが、一連のコロナ対策の闇にも検察のメスが入ることを期待しながら推移を見守っていきたい。

検察が強すぎるのは良くないが、弱すぎると「正義なき社会」になってしまう。

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