<吉祥寺残日録>死者10万〜24万人 #200401

4月1日、今日から新年度入りだ。

通常なら入社式が開かれ、フレッシュな新入社員が入ってくるちょっと初心を思い出す日なのだが、今年はまったく違う。

私は今日も在宅勤務。朝から雨が降り続く中、妻の買い物を手伝って駅前のスーパーに行った。

自粛要請のせいなのか、天気のせいなのか、吉祥寺駅前はいつもより人が少ない。

今日は緊急事態宣言に備えて、お米を買うのが主な目的だったが、棚はガラガラ、妻がいつも買う銘柄はすべて売り切れていた。

残っていた新潟産のお米を1袋買って、不要な買いだめはしないように気をつけながら買い物をした。

カップ麺の棚もスカスカだった。

やはりカップラーメンはこういう時に一番なくなりやすい。

我が家では妻がインスタント麺を嫌うのでほとんど買うことがないのだが、今日は私の保存食として袋麺を1パックだけ買った。

ちなみに、去年の4月1日は新元号「令和」が発表された日。日本中が祝賀ムードに包まれていたのに、1年で変われば変わるものである。

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4月に入っても世界のコロナショックは収まる気配がない。

特にアメリカでは驚くスピードで感染が広がっていて、トランプ大統領自ら連日記者会見で国民に直接メッセージを発信している。

驚いたのは、昨日の会見でトランプさんが発表した数字だった。

現在のような厳しい行動制限を続けても、アメリカ国内で10万人から24万人の死者が出る可能性があると言ったのだ。

もし何の対策も取らなければ、死者数は150万から220万人になるというのが専門家の出した予測だそうだ。

でも、国民を震え上がらせるようなこの数字をトランプ大統領が公表したことを私は大いに評価したいと思う。

当初ウィルスを軽視したトランプさんだが、このところ自らが前面に出て、破格の緊急予算を成立させたり、自動車メーカーのGMに人工呼吸器の製造を命じたり、軍の病院船をニューヨークに派遣したり、とにかく行動している。もちろん自らの再選のためだが、それでも国のトップにしかできない仕事を行い、今何を考えているかを国民に伝え、厳しい数字も隠さず公表して国民の団結を訴える姿勢は悪くない。

アメリカ国民にも好意的に受け止められているようで、トランプ大統領の支持率は47%と上昇しているという。

有事にどのように振る舞うかはリーダーにとって極めて重要である。

韓国の文在寅大統領も、初動対応では厳しい批判を受けたが、ドライブスルー方式で大量の検査を行う韓国方式は世界中で注目され、韓国国内で医療崩壊も起こさずにうまく対処しているとしてこのところ支持率が上昇、今月予定されている総選挙でも有利な戦いを進めている。

その点、安倍総理の対応は、これまでのところ今ひとつはっきりしない。

今週になって日本では、テレビの出演者が一斉に座り位置の間隔を広げたり、政治家のマスク姿が多くなってきた。何事も横並びのお国柄、海外ではずっと以前から「ソーシャル・ディスタンス」がコロナ対策のキーワードになっていたが、日本でもようやく追いついた格好だ。

背景にあるのは、東京を中心に感染経路不明な患者が増加していること。

医療関係者やメディアからも緊急事態宣言を早く出した方がいいとの声が強まっているが、安倍総理をはじめ政府は「まだそうした状況にはない」としてなかなか行動に移そうとしない。

東京都や大阪府は医療崩壊を防ぐため、入院している軽症者を自宅や別の施設に移す方針を打ち出しているが、なぜか厚労省がそれにストップをかけているという。こんなこと緊急事態宣言が出なくてもできるだろう。一体、厚労省は何を考えているんだろう。どこの誰がボトルネックとなっているのか、メディアはきちんと取材して犯人を暴き出すべきだ。そうしないと手遅れになってしまう。

緊急事態宣言に関しては、医療態勢を早急に整備するために絶対必要だと私は思っている。今何よりも必要なのは、マスクや防護服、人工呼吸器などの医療物資の不足を解消し、軽症者を隔離するための施設を確保すること。そのために、安倍総理には1日も早く緊急事態を宣言してもらいたい。

安倍さんとしては、自粛の影響で経済的なダメージを受ける人たちへの補償策などと合わせて緊急事態を宣言したいのかもしれないが、それだと来週8日ごろと言われている。果たしてそれまで待てるだろうか?

ただ、国会での安倍の答弁を聞きながら、個人的には評価している部分もある。

自民党内からも上がっている消費税減税について「社会保障の大切な財源だ」として否定したこと、そして自粛によって営業できなくなった店舗などへ政府が直接補償ができないとはっきり答えたことだ。

消費税減税や休業補償は確かに国民受けする話である。

でも私は反対だ。

安倍さんが答えた通り、消費税は世界一の長寿国である日本にとっては絶対に必要な社会保障の財源である。これだけ年寄りがいる以上、消費税以外で必要とされる巨額の財源を確保する方法はない。「1年限定で消費税ゼロにする」というのはいかにも聞こえがいいが、必ず再利上げの際に大きな障害となるだろう。

誰も税金など払いたくないが、でも世界一の高齢化社会を維持するためには消費税から逃げることはできない。私はむしろ消費税率が低すぎて、将来世代にツケを回していることの方が気がかりである。

むしろコロナショックで生活が困窮する人たちに手厚い現金支給をすべきだと考えている。

基本的には収入が減った人たちを対象に、1人20万円程度の現金を配ってもいい。財源は赤字国債でいい。それでも消費税減税よりは将来世代へのツケ回しは少なくて済む。

とにかく注意すべきはポピュリズムの台頭だ。

危機の時には、必ずポピュリズムが幅を利かせる。ヒトラーが台頭したのも大不況がきっかけだし、日本の青年将校たちが暴走を始めたのも大不況によって失業者が溢れた時代だった。

今こそ、私たちは大不況後の1930年代に世界で何が起きたのか、学ばなければならない。

失業者が巷にあふれて社会が不安定になると、耳障りのいい過激な主張が支持を得るようになる。自らの苦境を他者に転化し、ナショナリズムをいたずらに煽る輩が目立つようになる。大衆が戦争を求め、メディアがそれを煽る、そんな時代に再び迷い込んではならない。

こんな苦しい時こそ、リーダーには耳の痛い言葉を発してもらいたい。

それが現実なのだ。問題に正面から取り組み、他国と強調し、社会の英知を集めて難局を乗り切る以外に道はない。

安倍総理には、現実をごまかすのではなく、正しい情報を国民に発してほしい。

メディアも安っぽい人情噺に走るのではなく、こういう時こそ信頼される情報だけを発信してもらいたい。

いよいよ日本人が試される4月がやってくる。

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