<吉祥寺残日録>検察官の定年延長ダメでしょ! #200509

コロナ対策は後手後手だったが、こういうことはテキパキと進めようとする。

昨日の夕方、なんとなくテレビを眺めていると、コロナ関連の後で流れた、その他扱いニュースが気になった。

東京高検の黒川弘務検事長の定年延長に絡んで注目される、検察庁法改正案の実質審議が国会で始まったのだ。

 衆議院内閣委員会では8日、現在60歳となっている国家公務員の定年を2022年4月から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、65歳とする国家公務員法の改正案と、検察官の定年も63歳から65歳に延長することを可能にする検察庁法改正案の実質的な審議が始まりました。野党側は、検察官の定年延長は「検察官を官邸に従属させる」などと批判し、また、法改正を待たずに今年1月に閣議決定した東京高検の黒川検事長の定年延長を撤回すべきだとも主張しています。

 立憲民主党などは、黒川検事長の定年延長問題をただすため、森法務大臣の出席を求めましたが、与党側が応じなかったため、維新を除く野党は8日の委員会を欠席しています。野党側は、「コロナ感染症対策に全力を尽くすべきさなかに、火事場泥棒的に押し通そうなど、断じて許されない」などと審議の先送りを求めていますが、政府・与党は、今の国会での成立を目指すとしています。

出典:TBS NEWS

世間の目が新型コロナに集中する中で、密やかに、しかし強引に法案審議を進めようとする安倍政権のやり方は、野党が言う通り「火事場泥棒」である。

政府には、今は全力でコロナ対策に取り組んでもらいたい、これがほとんどの国民の願いだろう。

国家公務員の定年延長は、こんな非常時に無理やり進める必要などあるはずがない。

しかし、無理やり定年延長を閣議決定した黒川検事長の任期は8月まで。彼を検事総長にするためには、何としても夏までにこの法案を通す必要があるのだ。

「安倍政権べったり」とか「官邸の守護神」などと呼ばれる黒川氏。

私自身は黒川氏について何も知らないので、文春の記事を少し引用させていただくことにする。

 官邸関係者が明かす。

「黒川氏は菅義偉官房長官から絶大な信頼を寄せられ、いまも定期的に会食をする仲です。また、官房副長官の杉田和博氏とは菅氏以上に近しい関係で、頻繁に電話で連絡を取り合い、時には捜査の進捗状況などの報告を行なっているとみられています。杉田氏は中央省庁の幹部人事を握る内閣人事局長を兼務しており、黒川氏の人事発表後にも『国家公務員の定年延長はよくあること』と囲み取材で語るなど、今回の人事のキーマンでもあります」

出典:週刊文春

どうやら、黒川氏は安倍総理ではなく、菅官房長官に近い人物のようだ。

「菅氏との接点は今から約15年前のことです。当時振り込め詐欺が増加し、そのツールとして足が付きにくいプリペイド携帯の悪用が問題化していました。菅氏は振り込め詐欺撲滅ワーキングチームの座長として議員立法でプリペイド携帯の販売禁止法案の提出を目指していたのですが、これに携帯業界などが反発。そこで購入の際に本人確認を厳格化し、転売を封じる“規制法”として成立に漕ぎつけたのですが、この時、菅氏の意向を汲んで動いたのが黒川氏でした。菅氏は周囲に『凄くできる奴がいるんだよ』と手放しの褒めようで、それ以来、法務省案件で何かあると『黒川がやりますから』が常套句になった。一方の黒川氏も『次の総理は菅さんしかいない。役人とは違うスピード感がある』と相思相愛です」(政治部記者)

 12年末に第二次安倍内閣が発足し、菅氏が官房長官に就くと、その関係はより強固になっていく。

「法務省官房長になった黒川氏は与野党議員などへのロビイングで本領を発揮。議員への法案説明ひとつとっても、資料の作り方もうまいし、説明に行く議員の順番やタイミングまですべて彼の差配でした。野党にも豊富な人脈があり、警察が絡む党内のトラブル案件の相談も受けていました。ある野党議員は黒川氏から『大丈夫です。政治案件は本省マターですから』と暗に立件の可能性を否定してもらい、ホッとしたと話していた」(法務省関係者)

出典:週刊文春

そして、黒川氏が「官邸の守護神」と呼ばれるようになったのは、甘利氏や小渕優子氏に関する事件から政権を救ったからだと言われている。

 16年1月、「週刊文春」は安倍政権の屋台骨を支えていた甘利明経済再生相の口利き疑惑を当事者の生々しい証言で詳細に報道。あっせん利得処罰法違反の疑いは明白だったが、特捜部は甘利事務所への家宅捜索さえ行なわず、不起訴処分とした。

「14年の小渕優子元経産相への捜査ではハードディスクを電動ドリルで破壊する悪質な隠蔽工作まであったが、議員本人までは立件せず。いずれも黒川氏による“調整”と囁かれました。そして政権中枢の疑惑を立件しなかった論功行賞といわんばかりに、官邸は同年夏に黒川氏の事務次官昇格人事をゴリ押しするのです」(同前)

 法務検察は、黒川氏と同期の林氏を将来の検事総長候補と位置付け、黒川氏を地方の検事正として転出させ、林氏を事務次官とする人事案を作成。ところが官邸側はこれを蹴り、露骨に人事に介入してきたのだ。

出典:週刊文春

その後も、黒川氏の人事がらみで官邸からの介入が続き、ついに黒川氏を検事総長にするための工作が始まった。

「黒川氏は『自分が総長にならない方がいい。自分はこれまで“安倍政権べったり”などと散々悪口を言われてきた。新任検事や若手の検事がトップをみて、士気が下がるのが怖い』と敢えて意欲を隠してきました。ところが、その言葉とは裏腹に、昨年9月の内閣改造では菅氏に近い河井克行氏が法相として入閣。黒川氏の総長就任への布石だとの見方が広がり、河井氏が公職選挙法違反の疑惑で辞任した10月以降、検察首脳人事は再び迷走を始めるのです」(検察関係者)

 現総長の稲田氏は、今年4月に京都で開催される「国連犯罪防止刑事司法会議」に出席し、そこでの講演を花道に退官する予定だったが、官邸の意を受けた辻裕教法務次官から黒川氏の63歳の誕生日までに退官するよう暗に迫られ、“焦り”を滲ませていた。

「その意趣返しか、事件捜査に慎重だった稲田氏が年末年始を挟んで河井夫妻の徹底捜査を指示。担当する広島地検には岡山や山口、そして大阪地検特捜部からも応援検事が入り、1月15日の一斉家宅捜索に繋がったのです。稲田氏は河井捜査で菅氏側にプレッシャーを掛けたともっぱらでした」(同前)

 さらに1月下旬には、IR汚職の捜査で新たに「500ドットコム」とは別の大手カジノ事業者日本法人にも家宅捜索が入ったことが明らかになった。一連の捜査に、菅官房長官は「正規の献金までやり玉に挙がっている」と不快感を示し、杉田副長官も「あまりに荒っぽい。特捜はどこまでやるんだ」と周囲に危惧を漏らしているという。そんな最中に両氏と近しい黒川氏を次期検事総長に内定させるかのような史上初の定年延長を発令すれば、捜査現場に与える心理的影響は計り知れない。それこそが安倍官邸の狙いではないのか。

出典:週刊文春

1月下旬、新型コロナウィルスで武漢の町が封鎖された時、日本の権力中枢では官邸と検察の綱引きが行われていた。そして国会では、野党による「桜を見る会」の追及が続いていたのだ。

与党も野党も、コロナどころではなかったのだ。

さらに気になるのは、昨年から永田町で、菅さんに近い議員たちが次々にスキャンダルに巻き込まれていることである。

河井法務大臣、菅原経産大臣、さらにはIR疑惑で逮捕された秋元議員。

彼らの疑惑をリークしたのは、安倍総理周辺だとささやかれている。

真偽のほどは、わからない。

ただ、安倍長期政権を実務的に支えてきた菅官房長官を排除する動きが目に見えるほど露骨になる中で、今回のコロナ危機が起きた。

これまでいくつもの難局を切り抜けてきた安倍政権だが、今回は最初から対応に精彩を欠いて見えたのは、ひょっとするとこうした権力内部の対立が影響しているのかもしれない。

週刊誌報道を見ただけで断定的なことは言えないが、少なくとも一つだけはっきりと言えるのことがある。

政権との癒着が取りざたされている人物が、官邸のゴリ押しによって検察トップに就任するなどという前例を作ってはならない。

それだけは、確かである。

メディアもここは、頑張りどころ。

コロナの陰に隠れて、知らないうちに法案が成立したなどというバカなことが起きないよう、文字通り「権力の監視」を厳しく行ってもらいたい。

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1件のコメント 追加

  1. dalichoko より:

    100歩譲って、アベノミクスが軍国主義化していることは止められないと思います。
    それよりも、こうした事態を批判する声(著名人のツイートなど)まで、大上段にクラッシュする対応は、もう戦時中と同じです。
    国営放送まで手中におさめているので、全く動じないんですね、この政権は。
    公安が情報操作しているというのは本当のようですね。
    (=^・^=)

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