<吉祥寺残日録>森友学園問題で自殺した職員の手記 #200318

春らしい暖かな一日だった。

昼過ぎに、亡くなった後輩の葬儀「お別れの会」に行く。

堅苦しいことが嫌いだった後輩らしく、参列者は平服。平日にも関わらず、大学時代の懐かしい顔がたくさん集まった。

私同様、半ばリタイア状態でサラリーマン生活をまもなく終えようという世代だ。

学生時代に思い描いた人生を歩めた者も、歩めなかった者も、過ぎ去ってみればさしたる差はない気がする。

それぞれの人生で、いろいろな難題に遭遇しただろうが、無事に還暦を迎えられたことだけで良しとしなければならないと思う。

連日コロナ騒動ばかりのテレビニュースだが、今日は懐かしい話題が心に引っかかった。

森友学園がらみの財務省による公文書改ざん問題。

加計学園問題と並ぶ、安倍総理の重大疑惑事件である。

今日、改ざんに関与し自殺した財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんの妻が、財務省と当時の佐川理財局長を相手取り、慰謝料など合わせて1億1千万余りの賠償を求めて提訴したのだ。

提訴に合わせ、赤木さんが書き残していた手記が公開された。

手記の中で、赤木さんは「元は、全て佐川理財局長の指示」と書いていて、財務省がまとめた調査報告書とはまったく違う真実を語っている。

財務省も麻生大臣も、再調査は行わない考えだが、誰もがおかしいと感じたまま闇に葬られつつある疑惑に再びスポットライトが当てられることになるかもしれない。

この問題を忘れないためにも、朝日新聞が掲載していた手記の全文を転載させていただきたいと思う。

【手記】

○はじめに

 私は、昨年(平成29年)2月から7月までの半年間、これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し、その対応に連日の深夜残業や休日出勤を余儀なくされ、その結果、強度なストレスが蓄積し、心身に支障が生じ、平成29年7月から病気休暇(休職)に至りました。これまで経験したことがない異例な事案とは、今も世間を賑わせている「森友学園への国有地売却問題」です。

 今も事案を長期化・複雑化させているのは、“財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが”最大の原因でありますし、この対応に心身ともに痛み苦しんでいます。この手記は、本件事案に関する真実等の詳細を書き記します。

1.森友学園問題

 私は今も連日のように国会やマスコミで政治問題として取り上げられ、世間を騒がせている「森友学園への国有地売却問題」を昨年(平成29年)2月から担当していました。本件事案が社会問題化することとなった端緒は、平成29年2月9日、朝日新聞がこの問題を取り上げたことです。(朝日新聞が取り上げた日の前日の平成29年2月8日、豊中市議が国を相手に、森友学園に売却した国有地の売買金額の公表を求める訴えを提起)

 近畿財務局が、豊中市に所在する国有地を学校法人森友学園に売却(売買契約締結)したのは平成28年6月20日です。私は、この時点では本件事案を担当していませんので、学園との売買契約に向けた金額の交渉等に関して、どのような経緯があったのかその事実を承知していません。

2.全ては本省主導

 本件事案の財務省の担当窓口は理財局国有財産審理室(主に担当の補佐、担当係長等)です。補佐や担当係長から現場である財務局の担当者に、国会議員からの質問等の内容に応じて、昼夜を問わず資料の提出や回答案作成の指示(メール及び電話)があります。財務局は本省の指示に従い、資料等を提出するのですが、実は既に提出済みのものも多くあります。通常本件事案に関わらず、財務局が現場として対応中の個別の事案は動きがあった都度、本省と情報共有するために報告するのが通常のルール(仕事のやり方)です。

 本件事案は、この通常のルールに加え、国有地の管理処分等業務の長い歴史の中で、強烈な個性を持ち国会議員や有力者と思われる人物に接触するなどあらゆる行動をとるような特異な相手方で、これほどまで長期間、国会で取り上げられ今もなお収束する見込みがない前代未聞の事案です。

 そのため、社会問題化する以前から、当時の担当者は事案の動きがあった際、その都度本省の担当課に応接記録(面談等交渉記録)などの資料を提出して報告しています。したがって、近畿財務局が、本省の了解なしに勝手に学園と交渉を進めることはありえないのです。本省は近畿財務局から事案の動きの都度、報告を受けているので、詳細な事実関係を十分に承知しているのです。

(1)国会対応

 平成29年2月以降ほとんど連日のように衆・参議院予算委員会等で、本件事案について主に野党議員から追及(質問)されます。世間を騒がせ、今も頻繁に取り上げられる佐川(前)理財局長が一貫して「面談交渉記録(の文書)は廃棄した」などの答弁が国民に違和感を与え、野党の追及が収まらないことの原因の一つとなっています。

 一般的に、行政上の記録を応接記録として作成された文書の保存期間は、文書管理規則上1年未満とされていますので、その点において違法性はないと思いますが、実際には執務参考資料として保管されているのが一般的です。

 この資料(応接記録)を文書管理規則に従って、終始「廃棄した」との説明(答弁)は財務省が判断したことです。その理由は、応接記録は細かい内容が記されていますので、財務省が学園に特別の厚遇を図ったと思われる、あるいはそのように誤解を与えることを避けるために、当時の佐川局長が判断したものと思われるます。

(2)国会議員への説明

 本件事案に関して、野党議員を中心に財務省に対して、様々な資料を要求されます。

 本省は、本件事案が取り上げられた当初の平成29年3月の時点では、全ての資料を議員に示して事実を説明するという姿勢であったのです。

 ところが、(当時の)佐川理財局長の指示により、野党議員からの様々な追求を避けるために原則として資料はできるだけ開示しないこと、開示するタイミングもできるだけ後送りとするよう指示があったと聞いています。(現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできませんが、本省(国有財産審理室)の補佐からは局長に怒られたとよく言っていました)

 また、野党に資料を提出する前には、国会対応のために必ず与党(自民党)に事前に説明(本省では「与党レク」と呼称)した上で、与党の了承を得た後に提出するというルールにより対応されていました(本省補佐、近畿財務局管財部長などの話)。

(3)会計検査院への対応

 国会(参議院)の要請を受けて、近畿財務局が本件事案に関して会計検査院の特別検査を、昨年平成29年4月と6月の2回受検しました。

 受検時には、佐川理財局長の指示を受け、本省理財局から幹部職員(田村国有財産審理室長、国有財産業務課補佐ほか、企画課係長)が派遣され、検査会場に同席し、近畿財務局からの脱明を本省幹部職員が補足する対応がとられました。

 その際、本省の検査院への対応の基本姿勢は、次のとおりです。

 ①決議書等の関係書類は検査院には示さず、本省が持参した一部資料(2~3分冊のドッチファイルを持参)の範囲内のみで説明する

 ②現実問題として、上記①のみでは検査院からの質問等に説明(対応)できないとして、田村審理室長が近畿財務局に保管されている決裁文書等を使用して説明することはやむを得ないと判断して、①の対応が修正された

 ③応接記録をはじめ、法律相談の記録等の内部検討資料は一切示さないこと、検査院への説明は「文書として保存していない」と説明するよう事前に本省から指示がありました(誰から誰に指示がされたかは不明確ですが、近畿財務局が作成した回答案のチェックを本省内関係課で分担され、その際資料は提示しないとの基本姿勢が取られていました)

 (注)この時、法律相談の記録等の内部検討資料が保管されていることは、近畿財務局の文書所管課等(統括法務監査官、訟務課、統括国有財産管理官(1))の全ての責任者(統括法務監査官、訟務課長、統括国有財産管理官)は承知していました。

 したがって、平成30年2月の国会(衆・予算委員等)で、財務省が新たに議員に開示した行政文書の存在について、麻生財務大臣や、太田理財局長の説明「行政文書の開示請求の中で、改めて近畿財務局で確認したところ、法律相談に関する文書の存在が確認された」(答弁)は、明らかに虚偽答弁なのです。

 さらに、新聞紙上に掲載された本年1月以降に新たに発覚したとして開示した「省内で法的に論点を検討した新文書」について、本年2月19日の衆院予算委員会で、太田理財局長が「当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気付く状況に至らなかった。法務担当に聞いていれば(文書の存在)に気付いていたはずだ」との答弁も全くの虚偽である。

 それは、検査の際、この文書の存在は法務担当に聞かなくても、法務担当以外の訟務課・統括国有財産管理官は作成されていることを当然認識しています。これも近畿財務局は本省主導で資料として提示しないとの基本的な対応の指示に従っただけなのです。

 また、本省にも報告され保管されていることは、上記2に記載している本省と財務局との情報共有の基本ルールから明らかです。

 (4)財務省の虚偽答弁

本省が虚偽の答弁を繰り返していることを再掲しますと、上記(1)国会対応、(2)国会議員、(3)会計検査院への対応の全ては、本省で基本的な対応のスタンスが決められました。

 特に、(3)では、本省から(近畿)財務局に以下の対応の指示がありました。

●資料は最小限とする

●できるだけ資料を示さない

●検査院には法律相談関係の検討資料は「ない」と説明する

 この事案の対応で、先の国会で連日のように取り上げられた佐川(当時)理財局長の国会答弁の内容と整合性を図るよう、佐川局長や局長の意向を受けた本省幹部(理財局次長、総務課長、国有財産企画課長など)による基本的な対応姿勢が全てを物語っています。

“(疑問)

 財務省は、このまま虚偽の説明を続けることで国民(議員)の信任を得られるのか。

 当初、佐川理財局長の答弁がどこまでダメージコントロールを意識して対応されていたかといえば、当面の国会対応を凌ぐことだけしか念頭になかったのは明らかです。”

3.財務省は前代未聞の「虚偽」を貫く

 平成30年1月28日から始まった通常国会では、太田(現)理財局長が、前任の佐川理財局長の答弁を踏襲することに終始し、国民の誰もが納得できないような“詭弁を通り越した虚偽答弁が続けられているのです。”

 現在、近畿財務局内で本件事案に携わる職員の誰もが虚偽答弁を承知し、違和感を持ち続けています。

 しかしながら、近畿財務局の幹部をはじめ誰一人として本省に対して、事実に反するなどと反論(異論)を示すこともしないし、それができないのが本省と地方(現場)である財務局との関係であり、キャリア制度を中心とした組織体制のそのもの(実態)なのです。

 本件事例を通じて、財務省理財局(国有財産担当部門)には、組織としてのコンプライアンスが機能する責任ある体制にはないのです。

4.決裁文書の修正(差し替え)

 本年3月2日の朝日新聞の報道、その後本日(3月7日現在)国会を空転させている決裁文書の調書の差し替えは事実です。

 元は、すべて、佐川理財局長の指示です。

 局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。

 佐川理財局長の指示を受けた、財務本省理財局幹部、補佐が過剰に修正箇所を決め、補佐の修正した文書を近畿局で差し替えしました。

 第一回目は昨年2月26日(日)のことです。

 当日15時30分頃、出勤していた統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝って欲しいとの連絡を受け、役所に出勤(16時30分頃登庁)するよう指示がありました。

 その後の3月7日頃にも、修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました。

 管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村国有財産審理室長などから管財部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとし、美並近畿財務局長に報告したと承知しています。

 美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと管財部長から聞きました。管財部長以外にも、●●管財部次長、●●次長の管財部幹部はこの事実をすべて知っています。

 本省からの出向組の●●次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と調書の修正を悪いこととも思わず、本省の補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです。(大阪地検特捜部はこの事実関係をすべて知っています)

 これが財務官僚機構の実態なのです。

 パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです。

 佐川局長は、修正する箇所を事細かく指示したのかどうかはわかりませんが、補佐などが過剰反応して、修正範囲をどんどん拡大し、修正した回数は3回ないし4回程度と認識しています。

 役所の中の役所と言われる財務省でこんなことがぬけぬけと行われる。

 森友事案はすべて本省の指示、本省が処理方針を決め、国会対応、検査院対応すべて本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです。

 この事案は当初から筋の悪い事案として、本省が当初から鴻池議員などの陳情を受け止めることから端を発し、本省主導の事案で、課長クラスの幹部レベルで議員等からの要望に応じたことが問題の発端です。いずれにしても、本省がすべて責任を負うべき事案ですが、最後は逃げて、近畿財務局の責任とするのでしょう。

 怖い無責任な組織です。

○刑事罰、懲戒処分を受けるべき者

 佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部

 担当窓口の補佐(悪い事をぬけぬけとやることができる役人失格の職員)

 この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。

 事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。

 今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)

 家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。

 私の大好きな義母さん、謝っても、気が狂うほどの怖さと、辛さこんな人生って何?

 兄、甥っ子、そして実父、みんなに迷惑をおかけしました。

さようなら

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