<吉祥寺残日録>安倍総理の電撃退陣表明を聞いて感じたこと #200828

今朝、目覚めてベランダに出ると、都心上空に妙な雲が出ていた。

夜明けから立ち上る積乱雲の間から、幾筋もの光が伸びていたのだ。

なんだか、神々しい、今から思えば何かが起きそうな空模様であった。

でも、安倍総理がこうもあっさりと身を引くとは正直思っていなかった。

体調が良くないことは間違いなさそうだが、執念を燃やしてきた憲法やロシア、さらに来年に延期した東京五輪を含め、自らのレガシーを意識して簡単には政権を投げ出さないだろうと考えていた。

しかし・・・

午後2時半ごろ、何気なくネットのニュースをチェックすると、衝撃の速報が流れていた。

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一報が流れたのは、午後2時すぎだったようだ。

安倍総理が二階幹事長に辞意を伝えたタイミングで情報が流れたらしい。

野党はもちろん与党・公明党も、さらには自民党の総理に近い議員たちまでも寝耳に水だったようで、テレビのインタビュー答える議員たちの慌てぶりから見ても急転直下の退陣表明だったことがうかがえた。

情報は直ちに政界を駆け巡り、永田町は大騒ぎ、ポスト安倍レースも一気に動き出した。

株価も急落し、日経平均も一時600円急落、今後の経済への影響も懸念される事態だ。

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そして午後5時、安倍総理の注目の記者会見が始まった。

会見の中で、安倍総理は新たなコロナ対策パッケージを発表し、安全保障についても軽く触れた上で、自らの健康問題と辞意を固めた理由について次のように説明した。

本年6月の定期健診で、再発の兆候がみられると指摘を受けました。その後も薬を使いながら、全力で職務にあたってまいりましたが、先月なかごろから、体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状態となりました。そして8月上旬には潰瘍性大腸炎の再発が確認されました。今後の治療として、現在の薬に加えまして、さらに新しい薬の投与をおこなうことといたしました。今週はじめの再検診においては、投薬の効果はあることは確認されたものの、この投薬はある程度、継続的な処方が必要であり、予断は許しません。政治においてはもっとも重要なことは、結果を出す事である。私は政権発足以来そう申し上げ、結果を出すために、全身全霊を傾けてまいりました。病気と治療を抱え、体力が万全でないということのなか、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民のみなさまの付託に自信をもってこたえられる状況でなくなった以上、総理大臣の地位にありつづけるべきでないと、判断しました。総理大臣の職を辞することといたします。

出典:アエラドット 朝日新聞デジタル

その上で、拉致問題、ロシアとの平和条約、憲法改正の3つの課題をあげて、道半ばで職を辞すことを「痛恨の極み」「断腸の思い」と語った。

これまでの記者会見とは違い、1時間にわたって記者の質問に答え続けた安倍総理。

途中で声がかすれ、弱々しさが顔を覗かせる。

本当に体調が良くないんだろうなと思いながら、私は別のことを妄想していた。

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安倍さんが今このタイミングで身を引くことを決断したのは、自らの「政治生命」を残すためだったのではないか?

何のためかといえば、安倍さんの一丁目一番地といえる憲法改正、これを成し遂げるためである。

安倍さんは憲法改正を実現するために、病気を理由にして一旦総理から身を引いたと考えたのだ。

体調が悪い中、残り1年の任期で憲法改正は実現できないだろう。

安倍さんは総理としてではなく自民党総裁として憲法改正を議会に促したが、思うように進まなかった。

それならば、ここは一議員に戻って、自民党の中で自らが中心となって憲法論議を推進する方が、憲法改正の早道ではないか、安倍さんがそう考えたとしてもおかしくはない。

そして数年後、安倍さんの総理返り咲きの可能性も十分あり得る。

安倍さんの支持率は少し下がったとはいえ、まだ死に体とは言えない。

経済界をはじめ、外交の分野でも安倍さんに対する期待は衰えておらず、今日の退陣表明を受けて惜しむ声が多く聞かれた。

「政治生命」を残したまま、病によって総理を退くのだ。

病が治れば第三次安倍内閣の誕生も夢物語ではない。

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自民党内では次期総裁の選出方法をめぐって、さっそく綱引きが始まっている。

党員票に期待する石破さんはテレビ各局に出演し党員投票の実施を訴えたが、鍵を握る二階幹事長は国会議員票で勝敗が決まる両院議員総会で決める意向だと伝えられている。

安倍さんを含む現在の主流派は、菅さんか岸田さんを後継総理にしたいのだろう。

しかし、誰が後継総理になっても、安倍さんと比較される宿命を背負うことになる。

日本の総理が再びコロコロ変わるようなことがあれば、きっと「安倍待望論」が浮上してくるだろう。

それまでにしっかりと治療を受けて体調を整えるとともに、党内で憲法改正の動きを推進していく。

そして、世論を喚起し国会での議論が本格化したタイミングで、第三次安倍内閣が登場して、自民党結党以来の悲願である憲法改正を成し遂げる。

これぞ安倍さんが目指している本当のレガシーとなるだろう。

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こうしたシナリオはあくまで私の妄想に過ぎないが、安倍さんはまだ65歳。

今日の会見の中でも、安倍総理は次のように語っている。

今後についてでございますが、なんとか体調を快復するなかにおいて、一議員として活動を続けていきたい、そのなかでさまざまな政策課題の決定に尽力していきたいですし、政権に対しても、当然ですが一議員として協力していきたいと思います。どのようなことをやるかについては、これからまだ先のことでありますが、いままでの経験を生かしながら議員としてできることがあれば取り組んでいきたいと思います。

出典:アエラドット 朝日新聞デジタル

安倍さんはまだ絶対に、死んではいないのだ。

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