<吉祥寺残日録>圧勝!菅新総裁誕生の裏で気になる「施し票」と石破さん #200914

菅官房長官が予定通り圧勝した。

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注目された地方票でも、私が予想した通り、菅さんが圧倒的多数を押さえ、新しい自民党の総裁に選ばれた。

夕方から行われた菅さんの記者会見を聴きながら、安倍さんとはやはり随分違うなと感じていた。

それは、いい意味で違うと思ったのだ。

安倍さんは憲法改正や地球儀を俯瞰した外交など自らの世界観を実現しようとする政治家だったが、菅さんは人々の困っていることを聞き具体的な課題を一つ一つ解決しようとするタイプの政治家だと感じる。

携帯電話料金の引き下げも、菅さんが旗を振った「GO TO トラベル」も、今回掲げたデジタル政府の推進なども、一般国民が直面している課題について正面から向き合おうとしている。

安倍さんに比べてテーマは小さいが具体的、そして安倍さんに強く感じたイデオロギー色を菅さんには感じないのだ。

だから私は、菅さんを応援したい。

菅新総理にはぜひ、本気で改革を断行してもらいたいと思うのだ。

無派閥の菅新総理が自分の目指す政治ができるかどうかは、菅さんを担いだ派閥の要求をどこまで抑え込めるかにかかっている。

しかし、今日の総裁選びを見ていると、自民党内の力学が露骨に出ていた。

今日一番の注目点は、石破さんと岸田さんの2位争い。

地方票ではやはり石破さんが岸田さんを大きくリードしたが、国会議員票によって逆転、岸田さんが石破さんを上回って2位に入った。

岸田さんは来年の次期総裁選に望みをつなぎ何とか格好をつけた形だが、安倍、麻生、二階といった有力者の思惑ですべてが動く自民党内の力学をまざまざと見せつけられた印象を私は受けた。

まずは、3氏の票数を記録しておく。

岸田さんが石破さんに勝ったのは、菅さん支持派から岸田さんへ24票の「施し票」が入ったためだ。

安倍さんも麻生さんも岸田さんのハシゴを外した罪滅ぼしの気持ちがあったのか、それ以上にどうしても石破さんを最下位にしたかったためか、地方票の動向が判明した段階で岸田さんへの「施し」が組織的に行われたのだろう。

ある程度、事前に予想されたことだったので、別に驚きはしないが・・・。

それにしても、なぜ石破さんはそこまで嫌われているのか?

石破さんをどうしても許さなかったのが、安倍=麻生ラインだとすると、最近読んだある記事が多少参考になるかもと思った。

テレビなどにもよく出演している評論家の古谷経衡氏が書いた『石破茂氏はなぜ「保守」に嫌われるのか?~自民党きっての国防通が保守界隈から批判される理由~』という記事である。

古谷氏はちょっと胡散臭いが、指摘が具体的だったので、ちょっと引用させていただく。

その石破茂氏に対する所謂「保守界隈」からの評価は、ここ3年間で不思議なほど大きく変わった。石破氏は第二次安倍政権発足後、地方創生担当大臣などとして閣僚入りし安倍政権に協力した。しかし2018年の自民党総裁選では安倍総裁の対抗として一騎打ちがなされ、概ねこのころから「後ろから鉄砲玉を撃つ」などと批判され、更には「保守界隈」やそれに連なるネット右翼からは「左翼」「反日」などと揶揄・批判の対象とされ、保守層からの石破人気は、彼が安倍総理以上のタカ派であるにも関わらず、全く振るわない。この奇妙な原因はどこにあるのだろうか。

出典:古谷経衡『石破茂氏はなぜ「保守」に嫌われるのか?』

私はネット右翼の動向についてウォッチしていないが、確かにここ数年、石破さんは「左翼」っぽく扱われ、朝日新聞やTBSが好んでキャスティングするようになったイメージはある。

一体、何が起きているのだろうか?

古谷氏がどの程度、実態を知っているか私は知らないが、その記事の中身は興味深い。

 石破氏に対する「保守界隈」の評価ががらりと批判的に変わったのは、直接的には2018年9月における自民党総裁選(安倍晋三氏VS石破茂氏)の一騎打ちだが、実際には石破氏への保守派からの批判は「自民党内における反安倍勢力(森友問題などで安倍政権を批判)」と表層的に見なされる以前から開始されている。第一の転換点は、これよりも前の2017年5月24日の産経新聞報道が端緒である。この時の報道はどのようなものであったか。

『韓国紙の東亜日報(電子版)は23日、自民党の石破茂前地方創生担当相が慰安婦問題をめぐる平成27年の日韓合意に関し「(韓国で)納得を得るまで(日本は)謝罪するしかない」と述べたとするインタビュー記事を掲載した。記事は、石破氏が日韓合意に反する発言をしたと受け取られかねないが、石破氏は24日、産経新聞の取材に「『謝罪』という言葉は一切使っていない。『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」と述べ、記事の内容を否定した。ただ、抗議はしない意向という。』 出典:「韓国紙、自民・石破茂氏が「納得得るまで日本は謝罪を」と述べたと報道 本人は「謝罪」否定」(2017年5月24日、産経新聞*強調筆者)

 これに対し、激烈な不快感を示したのが所謂「保守界隈」であった。とにかく「嫌韓姿勢」を政治家を支持する・しないのリトマス試験紙にしているきらいのある保守界隈において、当時現役閣僚であった石破氏に関するこの記事は、決定的な批判材料となった。当時から保守界隈とネット右翼に極めて強い影響力を持つ作家の百田尚樹氏は、この産経報道を引用する形で「朝日新聞が石破を推す理由の一つがこれだ。石破だけは絶対に総理にしてはならない!!!!!絶対にだ。」(2018年3月19日)とツイート。産経による上記の報道は2017年5月だが、百田氏は約10か月後になって唐突にこの産経報道を引用して石破氏批判を展開した。

 この10か月のタイムラグの理由はなぜか。森友問題で世論が沸騰する中、2018年3月2日に朝日新聞が『森友文書 書き換えの疑い』と報じ、石破氏が「一体どういうことなのか、国民に納得してもらえる解明を自民党の責任でやるべきだ」「税金をちゃんと使っていることを証明するのが公文書であり、勝手に(内容を)変えていいとは思えない」。さらに安倍晋三首相に対し「責任の取り方はいろいろあるが、今回のことを全て明らかにすることが第1の責任だ」(2018年3月16日、日本経済新聞)など、自民党内からの森友追及、安倍批判の急先鋒に石破氏が立った時期と符合している。つまり森友問題での「自民党内からの政権批判」を石破氏が行ったことが、大きく報道された時期とおおむね重なり、石破氏による政権批判が朝日新聞と同調するもの、と保守界隈に解釈された結果、石破氏に関する過去の報道が「発掘」されたのである。

出典:古谷経衡『石破茂氏はなぜ「保守」に嫌われるのか?』

石破さんはもともと自民党内でも防衛通として知られる保守の論客なのだが、安倍さんが代表するある種のイデオロギーとは一線を画するために、安倍シンパからは攻撃されるようになった。

つまり、いつの間にか自民党内で「保守=安倍」の構図ができてしまったのだろう。

とりあえず注目は、菅さんの人事だ。

私が一番期待するのは、麻生さんの交代。

ありえないだろうが、石破さんを財務大臣に起用してみると、何かとんでもない「改革」が飛び出すかもしれない。

私は、菅さんの「改革意欲」には期待している。

ぜひ派閥のゴリ押しに対抗して、操り人形にならずに頑張っていただきたい。

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