<吉祥寺残日録>世界に蔓延する「トランプ的なるもの」 #201112

大統領選挙に勝利したバイデンさんは、すでに各国との外交を始めている。

今日は菅総理をはじめ、韓国・オーストラリアなどアジア太平洋地域の首脳と相次いで電話会談を行った。

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菅さんとの会談では、尖閣諸島の防衛が日米安保条約の対象になることを確認し、日本側を大いに安心させた。

バイデン政権は事前の予想通り、周辺国と連携して中国包囲網を構築する戦略のようだ。

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一方法廷闘争を諦めていないトランプさんは、選挙後初めて公式行事に姿を見せたが、記者団には何も語らなかった。

雨の中、傘もささずに立っている姿は、権力を失う者の悲哀すら感じさせる。

力で権力を保ってきた者は、権力を失った瞬間、周囲から人が去っていく。

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とはいえ、敗れたとはいえ7000万を超える大量の票を集めたトランプさんは、大統領を辞めた後も世界的な有名人であることに変わりはない。

すでに全米のテレビ局からたくさんの出演オファーが舞い込んでいるほか、外国で講演すればそのギャラは数億円との試算も出ていた。

さらには、4年後2024年の大統領選挙にトランプさんが出馬するとの情報も駆け巡り、この4年間の彼の存在感がいかに大きかったかを物語っている。

そうした「トランプ的なるもの」は、私たちの身近なところにも広がっている。

今日吉祥寺の駅前で、「コロナは嘘」「マスク外そう」「PCR不要」などのプラカードを持った謎の集団を見かけた。

比較的若い人が多く、フォークギターを弾きながらハンドスピーカーで訴えるスタイルは左翼的な印象を受ける。

プラカードには「国民主権党」という文字が書いてあったので、帰宅して調べてみると「NHKから国民を守る党」から独立した人物が今年2月に立ち上げた政治団体だとわかった。

ネット上には、この団体を「カルト集団」と批判する書き込みも見られ、評判はあまり芳しくないようだ。

彼らがなぜこうしたコロナを軽視した主張をしているのかは定かでないが、推測できるのは「とにかく目立つ」ということだ

極端な主張を展開して世間の耳目を集めて自らのサイトに誘導することでYouTubeなどでお金を稼いでいる連中がいる。

さらに、その知名度を生かして議員になって収入を得ることを目的にした人もいるそうだ。

そうしたイデオロギーではなく自己PRを目的とした政治団体というものが存在し、「N国」を筆頭に一定の影響力を持ち始めていることに私はいささか驚きを感じた。

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考えてみれば、トランプさんだって、自らの信念や確固たるイデオロギーを持っているとは到底思えない。

全ては「自分ファースト」、自らにとっての損得勘定が政策を判断し、必要があれば平気で嘘をつく。

重要なのは有名になり、みんなが自分に注目することなのだ。

Twitterを駆使したトランプ流の政治は、まさにその典型例であり、いつの間にかそんなトランプ流の政治スタイルが世界的に当たり前となった。

昨日11月11日は中国では「独身の日」としてネットショッピングのお祭りが定着し、最大手のアリババは1日で7兆7000億円という空前の売り上げを上げた。

中国では人気インフルエンサーたちがSNSのライブ配信を使って商品を売り込むライブコマースが躍進していて、有名になることはそのまま巨額の富に直結する時代になった。

ある意味、1億人以上のフォロアーを持つトランプさんは世界一の「インフルエンサー」だったわけで、それがトランプさんの商品価値となっている。

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こうしたトランプ型政治を模した「自分ファースト」の政治家たちがこれからも世界の様々なレベルにあふれるだろう。

SNS社会が作り出した新しい政治スタイルであり、当面こうした傾向から私たちは逃れることはできないと予想される。

こうしたトランプ型政治に私たちはどう対処すればいいのか?

重要なことは、過激な主張の裏にはどんな狙いがあるのかを日頃から注意深く見極めることだと私は考える。

常識的で穏健な政策はついつい退屈に感じてしまいがちだが、正しい道は多くの場合、そうした退屈そうな政策の積み重ねの先に待っているものなのである。

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