米朝への道

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史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれることが正式に発表された。

トランプさんは上機嫌だ。

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この米朝接近の動きを睨んで、今週は東アジアを巡って実に様々な動きがあった。この会談が歴史的な転換点となる可能性もあるので、自分の覚えのために簡単にまとめておきたい。

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5月7日・8日の2日間、金正恩委員長が空路で大連を電撃訪問し、習近平主席と会談した。金委員長には金与正さんはじめ主だった幹部が同行した。

会談は大連沖に浮かぶ棒錘島の海岸を二人で散策する映像が世界に配信され、冷え切っていた中朝関係がここにきて急接近していることを見せつけた。

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そして翌9日、李克強首相と文在寅大統領が来日し、安倍総理と日中韓サミットが開かれた。

ぎこちない三者の記念撮影。安倍総理が無理やり二人の手を取り、横で李首相が硬直していたのが印象的だった。

このところ対日姿勢を和らげている中国。それでも共同宣言の発表は予定より大幅に遅れて深夜となった。

この共同宣言について、毎日新聞の記事を引用しておく。

『北朝鮮非核化に向け日本政府がこだわった「完全、検証可能かつ不可逆的な方法での廃棄」(CVID)の表現は見送られた。中韓両国が難色を示したためだ。最終的に「我々は、朝鮮半島の完全な非核化にコミット」との表現にとどまった。

 3カ国の協調を印象づけたい日本政府も譲歩した。「『完全な非核化』のためには、検証可能、不可逆的な方法が前提となる」(外務省幹部)との論理だった。CVIDが前提の国連決議が宣言に明記されたこともあり、主張を取り下げた。

 首脳会談は9日午前11時15分ごろに終わったが、宣言発表は午後11時50分ごろ。歴史認識を巡る文言調整に手間取ったためだ。日本は「3カ国が悠久の歴史及び久遠の未来を共有している」と提起。前回2015年の「歴史を直視し、未来に前進する」の表現の変更を意味し、来日中の中国の李克強首相は受け入れたが、本国の習近平国家主席らの了承をとるのに時間がかかったという。』

その一方で、日本人拉致問題についての文言が初めて盛り込まれた。

「(中韓両国は)対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望」といった表現だという。中国が拉致問題解決にコミットしたことは大きい。いよいよ機は熟しつつある。

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そしてその日の夜、北朝鮮に拘束されていたアメリカ人3人が解放されたとの速報が流れる。再び平壌を訪れたポンペオ国務長官が特別機で3人を連れ帰った。翌日ワシントンに到着した3人をトランプ大統領が深夜の空軍基地で出迎える。

完全な政治ショーだ。

それでも、国務長官が2度立て続けに平壌に乗り込み自国民を解放させたアメリカ。「3人の解放なくして首脳会談なし」との脅しが効いた。日本人拉致被害者の家族たちは、どんな気持ちでこのニュースを聞いただろう。日本政府にも同じように積極的に動いて欲しい。そう思っただろう。

ただ、日本にはアメリカのように北朝鮮を脅す術はない。東アジアの緊張緩和が進む流れの中で巧みに立ち回る以外に方法がない。そのためには、アメリカだけでなく中国を味方につけるしかないのだ。

 

そんなこともあって、安倍総理は来日した李克強首相を北海道までフルアテンドした。この辺りの変わり身の早さはさすがだ。北朝鮮に対する圧力という表現もこのところ安倍さんの口からあまり聞かなくなった。刻々と変わる情勢の中で、一瞬の判断ミスが日本の命取りとなる。歴代総理の中で、安倍さんほど熾烈な国際政治の中で自らのポジション確保に執念を燃やす日本の総理はいなかった。

安倍さんのことは決して好きではないが、ここは安倍さんに頑張ってもらうしかない。

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そんな安倍総理は、相変わらず加計学園の問題がくすぶっている。自民党が引き延ばしてきた柳瀬元首相補佐官の参考人招致は、国際政治が慌ただしく動く今週にわざわざ合わせて開催された。柳瀬さんはさすが一流の官僚らしく落ち着いた口調で質問に答えた。自らの過去の発言や安倍総理の主張との齟齬が出ないよう慎重に練られた答弁だったが、そもそもが嘘なのであちらこちらにボロが出る。

特に、3回にわたる加計学園との面談の内容を安倍総理に一切伝えなかったという主張を信用する人間はいない。自らがかつて首相補佐官を務めた経験を持つ江田憲司氏の質問は実に説得力があった。

この問題は、そもそも忖度などではなく、安倍さんからの依頼または指示で始まったことなのだ。ストーリーはみんながわかっている。足りないのは決定的な証拠だけである。

 

そんなこんなでバタバタ過ぎ去った一週間。トランプさんが満を辞して米朝首脳会談の開催日と開催場所を発表した。トランプ大統領は板門店での開催にかなりこだわっていたが周囲が必死で説得したという。

習近平主席もシンガポール入りするとの報道もある。

アメリカと北朝鮮、そして中国の首脳が一堂に会するとなれば、自ずと朝鮮戦争の終結を宣言する一大イベントが行われるのではないかと推測してしまう。

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トランプ大統領にとっては、歴代大統領が手をつけられなかった戦争終結の決断を自らが下し、東アジアに平和をもたらしたというストーリーは何より欲しい勲章だろう。早速支援者に向かって「世界や北朝鮮、韓国、日本、中国のために素晴らしい合意をするつもりだ」と誇らしげに訴えた。

全ては「打算」、そこに「理想」はない。

それでも東アジアに安定と平和が訪れるなら、大歓迎だ。

「最悪」と思われたアメリカ大統領が、奇跡を起こすことができるのか?

6月12日を楽しみに待ちたいと思う。

 

 

 

 

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